蒲田餃子御三家の1軒。肉汁あふれる羽根付き焼き餃子
蒲田には三大餃子とか、御三家と呼ばれる羽根付き焼き餃子の名店があるが、ここもその1軒。羽根付き焼き餃子の生みの親である『你好(ニイハオ)』のオーナー・八木功さんの弟が営む店だ。
餃子の餡は豚挽肉と白菜のみ。水分調整のために季節によってはキャベツも入る。挽肉3に対して野菜7と野菜が多めだが、皮を破ると肉汁があふれてくる。これは、7時間以上も煮込んだ豚骨白湯スープを挽肉に混ぜ、一晩寝かせて、肉にスープを吸わせてから翌日に野菜とともに包むから。
餃子を焼き上げるとき、最終段階で薄く溶いた小麦粉を流し込んで薄皮の羽根を作る。餃子は餡に味が付いているので、何もつけなくてもおいしく食べられる。パリッとした羽根と、柔らかな皮の異なる食感のハーモニーも味わい深い。
自慢の水餃子は自家製のネギ油タレで味わう
中国では焼き餃子よりも一般的という水餃子も看板メニューの一つ。大きめの餃子は皮が厚めで食べごたえがある。特筆すべきは刻みニンニクを入れた自家製ネギ油タレのおいしさ。このタレは、焼き餃子につけてもおいしいので試してみるといい。
焼き餃子の皮は薄力粉で作るが、水餃子の皮は強力粉で作る。これもそれぞれの料理の特性に合わせたものだ。生餃子をテイクアウトする客には、間違えないように、「気をつけて!」と声をかけるのだそうだ。
「餃子は女性が作っているのですが、男性に比べて手が柔らかく、握る力が弱いので、餃子も柔らかく、もちっとしています」と、スタッフの女性が教えてくれた。
ふらっと立ち寄り、点心をつまみにビールを飲む
冷凍食品は使わず、料理の作り置きはせず、注文を受けてから一つひとつ手作りする。メニューの中に、金春炒飯935円というのがあったのでどのような料理か尋ねると、エビ炒飯を玉子焼きで包み、ケチャップ風味のタレをかけて食べるものだという。さながらオムライスの中華版というところか。店名を冠にしている料理だからきっと自信作なのだろう。
店は京浜蒲田駅から続くアーケード商店街に面したところにあり、駅に近いこともあって、勤め帰りに酒を飲む客も多い。スタッフは全員中国人なので、中国語が飛び交う店内にいると、中国のレストランで食事をしているような気分になる。
ふらっと立ち寄り、点心をつまみにビールを一杯。そんな使い方もしてみたい店だ。
取材・文・撮影=塙 広明