本店と同じ味を楽しめる元祖羽根付き焼き餃子
蒲田といえば「羽根付き焼き餃子」が名物だが、この生みの親が『你好本店』のオーナー・八木功さん。『你好 恵馨閣』のオーナー・永田恵子さんは、その娘さんだ。
永田さんは結婚して専業主婦となり、ご主人の仕事の都合で一時アメリカで暮らしていた。帰国後、子育ても終えたので、何か商売をやろうと考えたときに浮かんだのが、父がやっていた中国料理の店だった。
開店に当たっては、中国人の料理人やスタッフを雇い、本格的な中国料理を提供する一方、看板料理として父の店と同じ羽根付き焼き餃子を出すことにした。
『你好』は蒲田に4店舗あるほか、渋谷や目黒、町屋などにも7店舗出店している。餃子は全店で同じ味を提供するために八木功さんが統括する工場で一括生産しているので、この店でも本店と同じ味が楽しめるというわけだ。
羽根付き焼き餃子は、皮は薄く、焼き面はパリッときつね色。具は豚挽肉、白菜、キャベツ、長ネギで、ニンニクは入らない。野菜が多く、あっさりしているが、下味がついているので、タレがなくてもおいしくいただける。
餃子メニューには力を入れており、鉄板餃子550円、パクチー入り水餃子10個660円、炒め餃子8個715円、サンラータン水餃子880円といったこの店のオリジナル餃子もある。
アメリカの思い出の味を再現した北京風チャンポン麺
永田さんがアメリカにいたときによく通った店がある。その店のチャンポンが好きで、これが食べられなくなるのなら帰国したくないとさえ思ったという。帰国する際に、店のシェフに頼み込んでレシピを教えてもらい、この店で再現した。それが北京風チャンポン麺だ。イカ、エビ、ホタテなどの海鮮に加え、キャベツ、モヤシ、ニラ、玉ねぎなど野菜もたっぷり。コシのある平打ち太麺が汁によく絡み、パプリカの香りが食欲を誘う。
メニューは海鮮、魚、鶏肉、牛肉、豚肉、野菜、玉子など、メイン食材ごとに分かれているので、好みの料理を探しやすい。ご飯のページを開けば、ニンニクチャーハン、豚バラ肉チャーハン、五目チャーハン、レタスチャーハンなど9種類のチャーハンが並ぶ。なかでもおすすめの特製チャーハンは、一味唐辛子で調整した小辛・中辛・大辛の3段階から辛さを選べる激辛メニューだ。
本場の雰囲気に加え、女性ならではの感性を生かした店
店はビルの2階にあり、赤いテントの屋根が付いた外階段から上る。入り口部には当日のランチメニューや、お得な晩酌セットの掲示があるので見逃さないように。
中国の料理店の雰囲気を再現した店内は、テーブル席が中心で、個室もあり、全106席。ビジネスマンのランチから宴席まで幅広い客に対応できる。
「恵」=恵まれた雰囲気の中でくつろげる店。「馨」=香味ただよう中華料理を気軽に楽しめ、親しんでいただける店。「閣」=フレンドリーで活気があり、もう一度行きたくなる店。『恵馨閣』という店名にはそんな思いが込められているという。
蒲田の名店『你好本店』のDNA に加え、女性ならではのセンスと心配りが加味されたこの店は、『你好』の新たな顔として注目されている店なのだ。
取材・文・撮影=塙 広明