朝食や普段のおやつにぴったり!さまざまな感覚が混ざり合うモダンブリティッシュ
通りに面した小窓からのぞくと、マフィンやスコーン、キャロットケーキ、クランブルケーキといった英国菓子がずらり。チョリソーカレーマフィンなどしょっぱい系もあり、サイズが大きめで小腹も満たされそうだ。コーヒーとも相性が良さそうだし、朝食にしたい気もする。『EARLY BiRDS MORNING CLUB』というからには、きっと朝からオープンしているに違いない。
どうやら、午前8時からオープンしているようだ。以前はシェアキッチン付きのレンタルスペースで間借り営業していたそうで、その時にはモーニング専門のカフェだった。2023年にこの街でテイクアウト専門店を始め、「それ以来、営業日になるといつも来てくれるご近所さんもいます」と店主の竹内智美さん。
「気にかけてくれる方が多くて、みなさんいい人ばかり。ここでお店をできてよかったと思います。住宅地でもあるので、日常使いしてもらえる存在でいたいです」
こちらに並んでいるお菓子は、クラシカルな英国菓子というより「モダンブリティッシュ」の括りに入る。伝統的なイギリスのスタイルに、今どきのニュアンスや他の国の要素を加えたスタイルのことだ。竹内さんはかつて、イーストロンドンと呼ばれるロンドンの東側エリアで菓子店に勤めていたことがあり、その街は「ストリートカルチャーのような若者文化が盛んな地域でした。東京だと下北沢に似ています」。同じお店で働く人たちはフランスやイタリア、アフリカ、オーストラリアなど、さまざまな国から来ていて、「みんなの感覚が混ざりあって、自然とこういうスタイルになったのかもしれません」。
味わい深い具材も店内で調理。食べ応えのある食事系おやつが評判
朝ごはんを調達しに来る人には、食事系のマフィンやスコーンが人気。竹内さんはカフェで調理を担当していたこともあり、その経験が生かされている。「八百屋さんに行って、その日並んでいるものを見ながらレシピを考える」らしく、そうやって揃えた新鮮な野菜や果物を使ってていねいに調理。おかげで味わい深く食べ応えがあって、マフィンもスコーンも一個でも満足感が大きい。
「マフィンの具材は、自分の好きなものを入れています」
例えば、チョリソーカレー&なすは子供のファンもいるので辛さ抑えめに。その分、チョリソーの塩味やスパイスの香りが食欲を促進し、その一方でナスの甘みがホッと癒やしてくれる。十分に火が通ったナスは口溶けがよく、持ち味を存分に発揮。しょっぱい系は朝食にもしやすいように、余分な甘みを加えたりしないという。
スコーンのチェダーオニオンアップルは、甘くなるまで炒めたタマネギを生地に混ぜ込む。さらにフレッシュなリンゴも潜ませ、爽やかさを加えている。食べ進めるごとに一つひとつの素材がしっかり主張し、なおかつ支え合い、全体として力強い味わいに。具材の組み合わせによって、いろんな表情を作り出しているのだ。
大きな口でかぶり付いて。日常の中で気軽に楽しめる英国菓子の魅力
バターのかわりにオイルを使うオイルケーキは、イーストロンドンのお店で教わったそう。「イギリスではグレープシードが一般的ですが、うちでは菜種油を使っています」と竹内さん。作り方を踏襲したスパイスパンプキンブルーベリーケーキは、しっとりした食感で、カボチャも使っているのでもっちりもしている。その素朴さと、シナモン、ナツメグなどスパイスの香りが、メリハリのある印象を生んでいる。
スパイスパンプキンブルーベリーケーキの間に挟まれているのは、ブルーベリークリーム。バターと砂糖、クリームチーズ、サワークリームを合わせたものだ。持ち帰って冷蔵庫に入れた場合、食べる前に常温に戻しておくのがおすすめで、そうすると口溶けが滑らかになる。
「常連さんは、お茶を用意する前に出しておくとちょうどいいと言っていました」
格式のある英国菓子も、もちろん重んじている。「でも、うちのお菓子は上品に食べようとしなくてもいいです」と竹内さんは笑う。
「お皿にのせなくてもいいし、むしろ手で持って気軽にかぶりついていいです。きれいに食べなくちゃって考えてしまうと意識がそっちに持っていかれて、味に集中できなくなるから」
子供も大人もみんな『EARLY BiRDS MORNING CLUB』のお菓子を好きになる、その理由がちょっとわかった気がした。
取材・文・撮影=信藤舞子







