歩いたコース[武蔵五日市駅→秋川渓谷→瀬音の湯]

●今回歩いた距離・時間
約11.6㎞・約3時間
●スタート地点(武蔵五日市駅)までのアクセス
JR五日市線武蔵五日市駅下車
※所要時間に休憩は含んでいません。

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駅前ランチから始めるのんびりハイキング

拾ったカエデの葉にも秋の深まりを感じる。
拾ったカエデの葉にも秋の深まりを感じる。

東京都内の自然豊かな日帰りスポットとして、真っ先に挙がる秋川渓谷は、紅葉の時期も素晴らしい。見頃は例年11月上旬から下旬にかけて。

装備を整えて挑むような本格的な登山ではなく、コースのほとんどが舗装路の気軽なハイキングコースだ。山登りとは違ったカジュアルな服装と、硬い路面でも疲れない靴で歩きたい。

今回ののんびり旅は早起き不要。JR五日市線の武蔵五日市駅に11時前くらいに着くのがちょうどいい。

散策前に、駅近くに集中するランチの人気店のいずれかに、早めに入るのが得策だからだ。『寿庵(じゅあん) 忠左衛門(ちゅうざえもん)』でそばを味わい、少し戻って大通りから河畔への階段を下るところからスタートした。

『寿庵 忠左衛門』駅から歩ける一軒は製麺所が営む

天せいろそば2200円。エビやキス、カボチャなど野菜の天ぷらもおいしい。
天せいろそば2200円。エビやキス、カボチャなど野菜の天ぷらもおいしい。
照明を抑えた上品な和風民芸調。昼どきや観光シーズンは行列になる。
照明を抑えた上品な和風民芸調。昼どきや観光シーズンは行列になる。

江戸時代に創業した地元の老舗製麺所「寿美屋」が営むそば店。檜原(ひのはら)街道沿いの便利な立地にある人気店ながらも、閑静で落ち着いた雰囲気がいい。定番人気のせいろやつけ鴨のほか、全粒粉で中太の田舎そばも好評だ。

☎042-595-2438
11:00~14:30LO(土・日・祝は~15:00LO〈なくなり次第終了〉)
水休(祝の場合は営業)
東京都あきる野市五日市64
武蔵五日市駅から徒歩5分

隣接の「寿美屋」には、麺類各種が豊富にそろっているのでお土産に。
隣接の「寿美屋」には、麺類各種が豊富にそろっているのでお土産に。
スタッフの方。「ハイキング前におそばはいかが?」。
スタッフの方。「ハイキング前におそばはいかが?」。
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駅周辺の高台から河岸段丘を下ったところが秋川渓谷ハイクの始まり。
駅周辺の高台から河岸段丘を下ったところが秋川渓谷ハイクの始まり。

さて、まずは秋川橋を渡って向かいの河川公園の土手を上流へ。

歩行者専用のあゆみ橋で渡り返して、欄干のたもとから脇の土手へと降りる。細い踏み跡が続くこの土手は「小庄の桜並木」と呼ばれる春の名所。川のカーブに沿って歩いた先には堰堤があり、そこには堰神と思しき五日市井塩(せいえん)の碑が静かに佇む。

あゆみ橋から「小庄の桜並木」にかけての小道も散策気分を盛り上げる。
あゆみ橋から「小庄の桜並木」にかけての小道も散策気分を盛り上げる。
土手の終わりの堰堤際にひっそりとある五日市井塩の碑。
土手の終わりの堰堤際にひっそりとある五日市井塩の碑。

黄葉、紅葉、カフェ休憩。変化に富んだ渓谷ハイク

小和田橋から再び渡り返した広徳寺はイチョウの名所。観光のお寺ではないので拝観はお静かに。

「その先の岩瀬峡も、紅葉の秋川渓谷のハイライトの1つです」と、あきる野市観光協会の事務局長・田中明宏さんが教えてくれた。雑木林の黄色や橙色の中に、カエデの鮮やかな赤が美しい。

岩瀬峡から先は大通りの西秋川橋を真っすぐ渡ると早いが、下って上るのが苦でないのなら、左手の沢戸橋経由もおもしろい。

秋川散策のポイントを筆者が言うなら、「できる限り大通りを避けて川沿いへ」。それこそが渓谷を感じる旅のコツ。

岩瀬峡の一帯も紅葉名所

岩瀬峡(写真=あきる野市観光協会)。
岩瀬峡(写真=あきる野市観光協会)。

コース中盤には美しい紅葉が続く。佳月橋から上流方向を望んだ岩瀬峡が有名なほか、茅葺きの山門とイチョウの大木のコントラストが美しい広徳寺も森閑とした雰囲気。都内でありながらも自然の豊かさを体感できる。

広徳寺(写真=あきる野市観光協会)。
広徳寺(写真=あきる野市観光協会)。
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そうこうするうちに、スペシャルティコーヒーの人気店『VANCOUVER(バンクーバー) COFFEE Tokyo』の三角屋根が見えてくる。駅と温泉のほぼ中間の便利な立地がありがたい。

マネージャーさんによると、「散策中のハイカーの方から『温泉まではあとどのくらいでしょう?』と聞かれることも多いです」とのこと。

ここまでの道すがらには座る場所もほぼないため、いい場所に立つカフェは文字どおりの救世主。カナダの風を感じてリフレッシュして、さらに先へと歩いていこう。

道端の休憩場所はあんまりない。
道端の休憩場所はあんまりない。

『VANCOUVER COFFEE Tokyo』渓谷見下ろす好位置にある、カナダの風薫るカフェ

アイスアメリカーノ700円。人気スイーツのプノス950円は、バニラアイスがのったデニッシュにメープルシロップをかけて味わう。
アイスアメリカーノ700円。人気スイーツのプノス950円は、バニラアイスがのったデニッシュにメープルシロップをかけて味わう。

建築家のオーナーがカナダのカフェ文化に魅せられて、彼の地にも通じる豊かな自然に抱かれた秋川渓谷のほとりで開業。エスプレッソマシンで抽出するコーヒーにはエチオピアの豆を使う。ゆったり広い店内で、とっておきの一杯を。

☎070-1201-8355
11:00~17:00
木・金休
東京都あきる野市戸倉192
武蔵五日市駅からバス7分の戸倉下車、徒歩2分

「マシンで淹れる本格コーヒーをぜひ」。
「マシンで淹れる本格コーヒーをぜひ」。

この先、コースとしてのおすすめは、星竹橋を渡って行く林の道。時節柄、熊の出没には注意したいが、杉や檜の深い森が紅葉ハイクにひとときの変化をもたらす。

十里木に着いたら集落の奥にひっそりとある五柱神社まで足を延ばし、カエデの赤に包まれた石舟橋を渡れば、ゴールの『秋川渓谷 瀬音の湯』。

pH10.01の強アルカリ性の湯は、入浴中も湯上がりも肌がすべすべ。森の眺めも泉質も大満足。期待以上の名湯で一日を締めくくろう。

巨木に隠れる五柱神社

十里木から徒歩で片道約20分の小さな集落の奥にある神社。訪れる人は少ないものの、杉の巨木と社殿の対比が見事だ。●境内自由/武蔵五日市駅からバス20分の軍道下車、徒歩10分。

終盤の見どころ・石舟橋

コースのフィナーレを飾る紅葉名所。紅葉樹の黄色や橙色の中にカエデの赤が混ざる。橋の直下の急流は“石舟の滝”とも呼ばれる。

吊り橋を渡ったら、ゴールの温泉はすぐ!
吊り橋を渡ったら、ゴールの温泉はすぐ!

『秋川渓谷 瀬音の湯』ゴールはとびっきりの美肌の湯

森に面した広い露天風呂が人気の的。男湯。
森に面した広い露天風呂が人気の的。男湯。
女湯。造りは多少異なるが、どちらも爽快な湯浴みができる。
女湯。造りは多少異なるが、どちらも爽快な湯浴みができる。

秋川と養沢川の合流地点・十里木にある温泉施設。石舟橋を渡った先にあり、敷地内にも多くのカエデが植わる。男女別の内湯と露天風呂はいずれも林を望み、強アルカリ性のつるつるの温泉が満ちあふれる。

☎042-595-2614
10:00~21:00受付(12~3月は~20:00受付)
火(祝の場合は翌日)休(7~11月は無休)。詳細は公式HPを参照
1100円(3時間。土・日・祝は1200円)
泉質/アルカリ性単純温泉
東京都あきる野市乙津565
武蔵五日市駅からバス17分の十里木下車、徒歩8分

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取材・文・撮影=高橋敦史
『旅の手帖』2026年10月号より

東京の西の端へと誘うJR青梅(おうめ)線。終点の少し手前、御嶽(みたけ)駅からバスとケーブルカーを乗り継げば、そこは古より崇められてきた山岳信仰の霊山。武蔵御嶽神社を中心にした宿坊の山里をめぐり日の出山へ縦走すれば、爽快な景色が待っている。
栃木県北部、那須塩原市を流れる箒川(ほうきがわ)の渓谷に沿って、11の温泉地が点在する塩原温泉郷。エリアごとに泉質は異なり、乳白色や茶褐色など7色もの湯が湧くという。紅葉の名所でもあり、見頃は例年10月下旬~11月中旬。錦繍の渓谷を歩いて、個性豊かな湯に出会おう。
東京から半日で登頂できる手軽さと、ほどよく緩急のある斜面。神奈川県箱根町の金時山からは、富士山と御殿場、仙石原から芦ノ湖までを見渡せる。何百回、何千回と登る人もいる名山で、秋の訪れを楽しみたい。
天空の絶景と穏やかな笹原が広がる、高知県いの町の名峰・瓶ヶ森(かめがもり)。山登りを頑張ったあとには、お菓子の行商さんとの出会い&温泉というご褒美も。高知の自然を五感で味わう山旅に出かけよう。