歩いたコース[武蔵五日市駅→秋川渓谷→瀬音の湯]
●今回歩いた距離・時間
約11.6㎞・約3時間
●スタート地点(武蔵五日市駅)までのアクセス
JR五日市線武蔵五日市駅下車
※所要時間に休憩は含んでいません。
駅前ランチから始めるのんびりハイキング
東京都内の自然豊かな日帰りスポットとして、真っ先に挙がる秋川渓谷は、紅葉の時期も素晴らしい。見頃は例年11月上旬から下旬にかけて。
装備を整えて挑むような本格的な登山ではなく、コースのほとんどが舗装路の気軽なハイキングコースだ。山登りとは違ったカジュアルな服装と、硬い路面でも疲れない靴で歩きたい。
今回ののんびり旅は早起き不要。JR五日市線の武蔵五日市駅に11時前くらいに着くのがちょうどいい。
散策前に、駅近くに集中するランチの人気店のいずれかに、早めに入るのが得策だからだ。『寿庵(じゅあん) 忠左衛門(ちゅうざえもん)』でそばを味わい、少し戻って大通りから河畔への階段を下るところからスタートした。
『寿庵 忠左衛門』駅から歩ける一軒は製麺所が営む
江戸時代に創業した地元の老舗製麺所「寿美屋」が営むそば店。檜原(ひのはら)街道沿いの便利な立地にある人気店ながらも、閑静で落ち着いた雰囲気がいい。定番人気のせいろやつけ鴨のほか、全粒粉で中太の田舎そばも好評だ。
☎042-595-2438
11:00~14:30LO(土・日・祝は~15:00LO〈なくなり次第終了〉)
水休(祝の場合は営業)
東京都あきる野市五日市64
武蔵五日市駅から徒歩5分
さて、まずは秋川橋を渡って向かいの河川公園の土手を上流へ。
歩行者専用のあゆみ橋で渡り返して、欄干のたもとから脇の土手へと降りる。細い踏み跡が続くこの土手は「小庄の桜並木」と呼ばれる春の名所。川のカーブに沿って歩いた先には堰堤があり、そこには堰神と思しき五日市井塩(せいえん)の碑が静かに佇む。
黄葉、紅葉、カフェ休憩。変化に富んだ渓谷ハイク
小和田橋から再び渡り返した広徳寺はイチョウの名所。観光のお寺ではないので拝観はお静かに。
「その先の岩瀬峡も、紅葉の秋川渓谷のハイライトの1つです」と、あきる野市観光協会の事務局長・田中明宏さんが教えてくれた。雑木林の黄色や橙色の中に、カエデの鮮やかな赤が美しい。
岩瀬峡から先は大通りの西秋川橋を真っすぐ渡ると早いが、下って上るのが苦でないのなら、左手の沢戸橋経由もおもしろい。
秋川散策のポイントを筆者が言うなら、「できる限り大通りを避けて川沿いへ」。それこそが渓谷を感じる旅のコツ。
岩瀬峡の一帯も紅葉名所
コース中盤には美しい紅葉が続く。佳月橋から上流方向を望んだ岩瀬峡が有名なほか、茅葺きの山門とイチョウの大木のコントラストが美しい広徳寺も森閑とした雰囲気。都内でありながらも自然の豊かさを体感できる。
そうこうするうちに、スペシャルティコーヒーの人気店『VANCOUVER(バンクーバー) COFFEE Tokyo』の三角屋根が見えてくる。駅と温泉のほぼ中間の便利な立地がありがたい。
マネージャーさんによると、「散策中のハイカーの方から『温泉まではあとどのくらいでしょう?』と聞かれることも多いです」とのこと。
ここまでの道すがらには座る場所もほぼないため、いい場所に立つカフェは文字どおりの救世主。カナダの風を感じてリフレッシュして、さらに先へと歩いていこう。
『VANCOUVER COFFEE Tokyo』渓谷見下ろす好位置にある、カナダの風薫るカフェ
建築家のオーナーがカナダのカフェ文化に魅せられて、彼の地にも通じる豊かな自然に抱かれた秋川渓谷のほとりで開業。エスプレッソマシンで抽出するコーヒーにはエチオピアの豆を使う。ゆったり広い店内で、とっておきの一杯を。
☎070-1201-8355
11:00~17:00
木・金休
東京都あきる野市戸倉192
武蔵五日市駅からバス7分の戸倉下車、徒歩2分
この先、コースとしてのおすすめは、星竹橋を渡って行く林の道。時節柄、熊の出没には注意したいが、杉や檜の深い森が紅葉ハイクにひとときの変化をもたらす。
十里木に着いたら集落の奥にひっそりとある五柱神社まで足を延ばし、カエデの赤に包まれた石舟橋を渡れば、ゴールの『秋川渓谷 瀬音の湯』。
pH10.01の強アルカリ性の湯は、入浴中も湯上がりも肌がすべすべ。森の眺めも泉質も大満足。期待以上の名湯で一日を締めくくろう。
巨木に隠れる五柱神社
十里木から徒歩で片道約20分の小さな集落の奥にある神社。訪れる人は少ないものの、杉の巨木と社殿の対比が見事だ。●境内自由/武蔵五日市駅からバス20分の軍道下車、徒歩10分。
終盤の見どころ・石舟橋
コースのフィナーレを飾る紅葉名所。紅葉樹の黄色や橙色の中にカエデの赤が混ざる。橋の直下の急流は“石舟の滝”とも呼ばれる。
『秋川渓谷 瀬音の湯』ゴールはとびっきりの美肌の湯
秋川と養沢川の合流地点・十里木にある温泉施設。石舟橋を渡った先にあり、敷地内にも多くのカエデが植わる。男女別の内湯と露天風呂はいずれも林を望み、強アルカリ性のつるつるの温泉が満ちあふれる。
☎042-595-2614
10:00~21:00受付(12~3月は~20:00受付)
火(祝の場合は翌日)休(7~11月は無休)。詳細は公式HPを参照
1100円(3時間。土・日・祝は1200円)
泉質/アルカリ性単純温泉
東京都あきる野市乙津565
武蔵五日市駅からバス17分の十里木下車、徒歩8分
取材・文・撮影=高橋敦史
『旅の手帖』2026年10月号より







