抜群の開放感が味わえる高い天井
待ち合いや脱衣所、そして浴室すべてが清潔で輝くようだが、建物自体は約50年前と古め。天井が体育館のように高い、昔ながらの銭湯様式だ。
初代がこの地に銭湯を開業したのが約70年前。孫の澤さんが3代目を継いだのが、35年ほど前だという。
番台からフロントスタイルへの改装、タイルの張替え、外壁の修理…と頻繁に手を入れており、この日もちょうど洗い場のアルミ窓の改修が終わったところ。銭湯は設備投資が大変だ、との話に実感がこもる。
そんな中、2015年に行った改装は、浴室の壁をパネル張りにして壁絵を額に入れる、という独創的なものだった。
もともと銭湯絵は劣化が激しく、寿命は2年ほど。せっかくなら銭湯絵師として有名な丸山清人さんに描いてもらいたいが、丸山さんも高齢で、これから何度も描いてもらうことは難しいかもしれない…。
そこで澤さんは額に入れることを思いつく。これなら劣化も少なく、かつ保管もできる。
結果、このアイディアは大成功。スポットライトで照らされた富士山が、まるでギャラリー展示のようだ、とお客さんから大好評となった。
ミルク風呂はしっとりやさしいぬるめの湯
「女性向けにいいかな〜と思ってたんだけど、自分で入ってみたら気持ちよくって」と話す澤さん。
高円寺の『小杉湯』で初めてミルク風呂に入り、「コレはイイ!!!」と感じたそう。保湿成分が配合されていて、入浴後も肌のしっとり感が続く。
ぬるめで4人くらいが入れる広さがある。手足を伸ばしてのんびり楽しもう。
温度差が決め手!4つの浴槽を制覇する
深風呂が43℃、ジェットバス・ミクロバブルバスが41℃、ミルク風呂が39.5℃、そして水風呂と4種の温度が楽しめる。すべて井戸水使用なので、とてもやわらかいと評判だ。
深風呂は深さも十分で熱いため、長く入るのは難しい。そんなときは、ぬるめのミルク風呂と交互入浴するのがオススメ。身体の芯まであたたまるので湯冷めしにくいそう。
交互浴に疲れたら、真ん中のジェットバス・ミクロバブルバスでマッサージ。泡の刺激ですみずみまでリラックスしたなら、最後に水風呂だ。毛穴がきゅっと引き締まり、美肌効果が期待できるかも。
グッズもあるよ!あちらこちらに3匹の看板猫
『天狗湯』のトレードマークといえば、暖簾(のれん)にも登場している3匹の看板猫だ。名前は、てんちゃん、ぐーちゃん、チャコちゃん。カウンターの上や脱衣所など、ひょっこり現れるかもしれないので要チェックだ。
そんな看板猫を愛し、グッズまで販売してしまったアイディアマンの澤さん。浴室からぐーちゃんの甘えた声が聞こえると
「ちゅーるが欲しいだけなんだけどね」と、うれしそうな顔をした。
『天狗湯』詳細
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ