冬の白い吐息は雲が発生するしくみと同じ!?

強い冷え込みの中、はーっと息を吐くと白くなる。まるで雲や湯気のようだと感じた経験のある人は多いと思います。普段、息は目に見えないのに、なぜ白く見えるのでしょうか? その理由は雲や湯気が発生するしくみによく似ています。これは息に含まれている目に見えない水蒸気が、冷たい空気の中、冷えていくことで水滴に姿を変え、目に見える状態になるためなのです。

ポイントは息と周りの空気との温度差です。私たちが吐く息は体温と大体同じ約36℃ですが、真冬の外の空気は10℃を下回ることがめずらしくありません。これだけ大きな差があるため、息を吐き出せば一気に周りの空気によって温度が下げられます。空気は温度が高いほどたくさんの水蒸気を含むので、温度が下がると息が含むことのできる水蒸気の量が減ります。この時、あふれた水蒸気は水滴に姿を変えるのです。これを「凝結」といいます。

気温(温度)が下がると、空気が水蒸気を含むことのできる量が減り、凝結が起こる(画像=気象庁ホームページ・一部加工)。
気温(温度)が下がると、空気が水蒸気を含むことのできる量が減り、凝結が起こる(画像=気象庁ホームページ・一部加工)。

空に浮かぶ白い雲も水蒸気を含んだ空気が上空で冷えて、いくつもの小さな水滴になって集まることで発生しますし、熱々のコーヒーから立つ湯気も周りの空気との温度差によってできます。

ホットコーヒーの表面付近は水蒸気を含んだ湿った空気になり一気に温められますが、温まった空気は軽いので上昇していき、周りの空気と混ざると冷えて水滴となります。寒い日に空に浮かぶ雲を眺め、白い息を吐きながらホットコーヒーで体を温める……。そんな「凝結」のしくみに思いを馳せる散歩なんていかがでしょうか?

ホットコーヒーの湯気も雲と同じしくみでできる(画像=写真AC)。
ホットコーヒーの湯気も雲と同じしくみでできる(画像=写真AC)。

冬の風はなぜ音が鳴る?

ヒューヒューと聞こえる冬の風の音には何だかもの悲しさがありますよね。特に、風で電線が唸る音を聞くと、寒さが一層身に染みるように感じられます。こうした冬の強風を「虎落笛(もがりぶえ)」と呼ぶことがあります。一説によると中国では虎の侵入を防ぐ柵を「虎落」といい、冬の寒風が虎落を吹き抜ける時に立てる音を笛の音になぞらえたことが由来だといわれています。この音は風が物体に当たり、物体の後ろで渦が発生し空気が振動することで生じます。

冷たい風が吹き付ける冬の鉛色の空。
冷たい風が吹き付ける冬の鉛色の空。

この時できる渦をカルマン渦といい、こちらは冬の気象衛星画像でも見られます。九州の南西側に開けた東シナ海でぐるぐると巻く2列の渦がカルマン渦で、冬型の気圧配置の時に発生することがあります。

東シナ海でカルマン渦が発生。2020年11月9日(画像=ウェザーマップ)。
東シナ海でカルマン渦が発生。2020年11月9日(画像=ウェザーマップ)。

大陸から流れ込んだ乾いた冷たい空気が東シナ海に流れ込むと、空気は性質を変えて雲が生まれます。雲が北西の風に流されて筋状になり、その雲が済州島にぶつかって二手に分かれると済州島の風下側で左右に渦を巻くように雲が流れるのです。寒さが厳しい日、冬の気象衛星をじっくり眺めて探してみるのも面白いですよ。

冬の厄介者・静電気はコーディネートの工夫で防いで!

冷え込む日の散歩に厚着は欠かせませんが、マフラーやセーターからバチバチっと痛みを感じることがありますよね。冬の厄介者、静電気です。静電気は物同士がこすれ合うことで電子が移動し、物の中でプラスの電気とマイナスの電気が分かれて偏ることで発生します。冬は気温が低く乾燥し、空気中に静電気が放電されにくい状態が続くため服に静電気がたまってしまいます。

また、重ね着をすることで服がこすれるので、より生じやすくなるのです。静電気をなるべく避けるには、衣類の素材を意識して組み合わせるのがおすすめです。素材によって、プラスまたはマイナスの電気の帯びやすさが変わり、その差が大きいほど、こすれ合うと静電気が発生する傾向があります。

繊維の種類によってプラスまたはマイナスの電気の帯びやすさが変わる(画像=東京都立産業技術研究所研究報告 第6号を参考に作成)。
繊維の種類によってプラスまたはマイナスの電気の帯びやすさが変わる(画像=東京都立産業技術研究所研究報告 第6号を参考に作成)。

たとえば、マイナスの電気を帯電しやすいポリエステルの生地とプラスの電気を帯電しやすいウール(羊毛)など動物性の生地は、静電気が発生しやすい組み合わせです。なので、裏地がポリエステルのダウンコートを着るなら、中にはアクリルのセーターやマフラーを身に着けるといった組み合わせが良いでしょう。上の図を参考にコーディネートを考えてみてください。

冬の海辺を散歩。裏地がポリエステルのダウンコート、アクリルのマフラーで静電気対策。
冬の海辺を散歩。裏地がポリエステルのダウンコート、アクリルのマフラーで静電気対策。

外に出るのは少し億劫になる季節。それでも、この時季だからこそ感じられる小さな変化があります。まもなく迎える春を前に今限定の自然の不思議を散歩で体感してみてください。

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文=片山美紀 TOP画像=写真AC

参考:

片平敦『仕事で得する天気の雑学』いろは出版、2015年2月

倉嶋 厚監修『風と雲のことば辞典』講談社学術文庫、2016年10月

東京都立産業技術研究所研究報告 第6号(2003)  帯電防止糸を用いたアパレル製品開発
https://www.iri-tokyo.jp/uploaded/attachment/539.pdf