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散歩の達人 2025年10月号
散歩の達人 2025年10月号
大特集は「散歩は音楽」!特別インタビューは山内惠介/チャラン・ポ・ランタン/ 寺尾紗穂の3本立て&各方面で活躍中の12人散歩者に散歩プレイリスト作ってもらう特別企画も!プレイリスト作成者は宇多丸/河合郁人/土屋礼央/タブレット純/山崎洋一郎/吉田靖直/石山蓮華/カニササレアヤコ/ふかわりょう/樋口毅宏/DJ吉沢dynamite.jp/MOODMAN。第2特集は奥が深いカルチャーの街をいまこそ再探訪!「50代からの原宿・表参道」。新連載・スズキナオ「いとしい乗り物」もお見逃しなく!

「バイトを休んでしまった日の散歩」——散歩の達人編集部・守利

(1) T-SQUARE『ハワイへ行きたい』

ベテランフュージョンバンドの一曲。ハワイの曲じゃなくて、ハワイに行きたい曲なのが良い。爽やかなのにどこかチープな感じがステキ。

(2) 井上陽水『事件』

井上陽水によるレゲエ調の曲。陽気なメロディにのせて、真冬の角界で起きた(おそらく架空の)傷害事件について歌っています。え?何???

(3) 本日休演『けむをまこう』

続けてレゲエ&ダブ調の曲。終始ぼやぼやした曲の雰囲気が、まさに「けむにまく」感じを出しています。気だるげなボーカルも良いです。

(4) 細野晴臣『フニクリ、フニクラ』

細野さんによる有名な民謡のカバー。がっつりテクノサウンドにのって、細野さんが茶目っ気たっぷりに歌います。絶対にふざけています。

(5) Isayahh Wuddha『Elephant Wave』

謎多きIsayahh Wuddha(イサヤーウッダ)さんの一曲。ヘロヘロのギターと「あ・い・う・え・お・Ah~ ジュメジュメ~」という不思議な歌いだしがクセになります。

(6) Daft Punk『Da Funk』

事故によりロボットになってしまった哀しき2人組の初期代表曲。犬の顔した男性がひたすらみじめな目にあうMVがすごく好きです。

(7) 浜崎あゆみ『Two of us “rub delight mix”』

リミックスアルバム「ayu-mi-x」に収録。失恋の曲ですが淡々としたアレンジが歌詞とよくマッチしています。RIP SLYMEのPESとSUがラップで参加。

(8) 由紀さおり『生きがい』

同じく失恋の曲。幽玄でそっと憂いのある歌声は失恋以上のことを歌っているようにも感じられます。(7)と続けて聴くと面白いと思いました。

(9) Water Melon『SIMPLE KIND OF LOVE』

知ってる人は知っている、中西俊夫さんのプロジェクトの一曲。柔らかな電子音とたゆたうスチールギター、ユーモラスで色気のある歌声。人生で一番好きな曲のひとつです。

(10) ちのはじめ『やつらの足音のバラード』

アニメ『はじめ人間ゴン』のエンディングテーマ。地球の誕生から人類の登場までをすこしの言葉とやさしいメロディで歌う、本当にすごい一曲です。

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プレイリストのコンセプト……特に理由はなくとも、どうしてもバイトに行きたくなくなってしまった。そういう日が、誰しも一度はある(あった)はずです。そんな日に「あーあ」と思いながらぼんやりトボトボ歩くためのプレイリストとしてつくりました。

「『散歩の達人』に登場したアーティストによる散歩ソング集」——散歩の達人MOOK編集長・武田

(1) NOKKO『フレンズ』

NOKKOは2015年のレベッカ再結成時にインタビューし、表紙にもなった。この曲や『OLIEVE』『CHIEP HIPPIES』は浦和の歌なんですか? と聞いたら浦和のことは歌ってないけど、その頃の友達はモデルとして出てきます、と。

(2)寺尾紗穂『北へ向かう』

2025年10月号でインタビュー。お父さんが亡くなり、焼き場から抜け出して、金沢へ向かう途中の新幹線の中で書いた曲。キセルがアレンジとバックボーカルを担当。個人的なプレイリストではこれが1曲目です。

(3)トリプルファイヤー『普通は走り出す』

6年にわたって連載した吉田靖直がボーカルを務めるバンドがトリプルファイヤー。『相席屋にいきたい』『銀行へ行った日』と迷ったが、まあ珍しく前向き(かもしれない)なこの歌をセレクト。

(4) ちあきなおみ『東京の花売り娘』

この曲を聴くと2017年1月号銀座特集で取材した花売り娘さんを思い出す。オリジナルは岡晴夫だが、個人的には断然ちあきバージョン推し。怖いくらい歌がうまい。ムック『50歳からの東京散歩』では、ちあきなおみをオマージュする4ページの記事を作った。

(5) ミドリカワ書房『リンゴガール』

2021年1月号三鷹特集でインタビュー。この時初めてミドリカワ書房の名を知ったが一気に引き込まれた。「リンゴガール」は軽快で散歩にいい。「雄と雌の日々」や「馬鹿兄弟」など毒のある名曲が三鷹の狭いアパートの洗濯機の上で書かれた。

(6) 大江千里『Rain』

2005年3月号「住みたい街」特集でインタビュー、リノベしたご自宅で取材させていただきました。大江さんはその後渡米してしまいますが、樋口さんの連載をまとめた本のタイトルでお名前を使わせてもらったり、お世話になってます(笑)。

(7)中山ラビ『ひらひら』

国分寺特集やら中央線ムックで何度か登場してもらったラビさん、国分寺のカフェ『ほんやら洞』の店主で、本当に気さくに取材を受けていただきました。『ひらひら』は何度聴いてもいい曲です。2021年逝去。

(8) 吉田拓郎『制服』

名盤『御伽草子』収録。作詞は『襟裳岬』の岡本おさみ。東京駅地下道(ヤエチカか?)の人込みのなかで集団就職の学生たちとすれ違う男の歌。Web『さんたつ』の連載「街の歌が聴こえる」で高PVを記録。

(9)RCサクセション『多摩蘭坂』

2018年4月号「国立・立川・国分寺」特集で故・忌野清志郎の聖地巡礼をやったが、梅津和時さんと三宅伸治さんにご登場いただけたのはビビった。2ページしか割けなかったことを反省してます。

(10) THE BOOM『中央線』

コンピレーション『散歩の達人PRESENTS中央線ソングス』(ビクター)のトリを飾ったのがこの曲。宮沢和史さんは一度は登場してもらいたいと思っていますが、いまだ叶っていません。最近は息子さんの方が有名で、若い編集部員はこの曲知らなかったりするんですよ。

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プレイリストのコンセプト……『散歩の達人』はもちろん音楽雑誌ではありませんが、その土地やテーマに関係のあるアーティストをインタビューしたり、アーティストの聖地巡礼みたいなことをやったり。あとコンピCDも1枚だけ作りました。そんなこんなで誌面やWebに登場したアーティストの楽曲から選んだ散歩&街ソング集です。

「耽美派のためのショパン傑作選」——散歩の達人編集部・高橋

(1) 前奏曲 第25番 Op.43/イーヴォ・ポゴレリッチ

終始、弧を描くように主題が繰り返されていく中、フッと意表を突く転調がこれでもかと現れる天才の所業。若かりしポゴレリッチのデリケートな演奏で。

(2) 即興曲 第3番 Op.51/藤田真央

よどみなく流れる明るくも切ない旋律。今や世界の第一線を飛び回る藤田が、2019年のチャイコフスキー国際コンクールで2位を獲る直前に、その才能の片鱗を見せたライブ音源。

(3) エチュード第17番 Op.25 -5/イム・ユンチャン

現在21歳、今後アジア人最高の大器となる予感がするユンチャン。右手内声の半音ズレがユニークな練習曲。コンクールでも見逃されがちの37秒~の左手下降「ソファミレ」を平然とリタルダンドして歌えるところに悪魔が宿る。

(4) ノクターン第13番 Op.48-1 /イーヴォ・ポゴレリッチ

21曲あるノクターンの最高傑作の一つ。奥底から鳴り響く重低音の上に磨き抜かれたタッチでメロディを乗せていく。重厚な彫刻作品か、大聖堂を思わせるような建築物的な「美」が光る。ポゴレリッチの近年の大名演。

(5) ワルツ 第3番 Op.34-2 /ミハイル・プレトニョフ

我が神・プレトニョフの極上のテンポ・ルバートを体感せよ。繊細過ぎる歌い回しにはもはや恐怖すら感じる。人間がこれ以上ピアノをコントロールするのは不可能である。

(6) 3つのマズルカ Op.59/ピョートル・アンデルジェフスキ

同時に出版された円熟期のマズルカを3曲セットで。濃密な設計の第1番、明解な主題ながら左手が地味に難しい第2番、情熱的で舞踏性の高い第3番。さすがショパンと同郷のポーランド人というべきか、知的に舞ってみせてくれるピョートル先生。

(7) ノクターン第17番 Op.62-1 /ダニール・トリフォノフ

一旦本編の締めです。ショパンが生前最後に発表したノクターンの第1曲。もがくような中盤の展開に「人生」を感じる。最終盤のスケールは、ショパンが死を悟っていたとしか思えない、気の遠くなるような美しさ。トリフォノフのショパンコンクール出場時のライブ音源で。

(8) 24の前奏曲 第9番 ホ長調(矢代秋雄 作曲)/藤田真央

ここでアンコールとして番外編。2曲続けて100年時代を飛びます。1945年、ショパンに魅せられた矢代少年が15歳で作曲した24の前奏曲集のこれがメジャーレーベル世界初録音。第9番は和声は近代的だが、音型や曲の構成にエチュードOp.10-8やスケルツォ第2番などの影響が感じられる。

(9)ショパンの主題による変奏曲(モンポウ 作曲)/ダニール・トリフォノフ

日本人なら誰もが知る某胃腸薬の主題(前奏曲Op.28 第7番)に、近代和声をまとわせた演奏効果の高い変奏曲。途中、即興曲第4番(幻想即興曲)の有名なメロディーも顔を出すので見つけてみてください。色彩豊かなトリフォノフの演奏で。

(10) 幻想ポロネーズ Op.61/ミハイル・プレトニョフ

ついに本当のラストです。幽玄なるショパンの最高傑作を、プレトニョフが「シゲルカワイ」の極上の音色で紡ぐオンリーワンの演奏。2023年ベルリンライブより。これは天上の調べか黄泉の音楽か。大作曲家がたどり着いた境地を見よ。

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プレイリストのコンセプト……一般的にはすべて「隠れた名曲」と言っていいでしょう。聴くなら絶対夜。トランス状態不可避なので、車の来ない安全な河川敷などで、夜景を見ながらボーっと聴いてください。今回は全員現役で、各曲ベストと思う演奏家布陣です。異論は一切認めません(笑)。

「歩きながら、わりと大きな声で歌っている歌」——散歩の達人編集長・平岩

(1) 浜田省吾『J.BOY』

にぎやかなスクランブル交差点を渡るときなど。飲み会からの帰り道でも。理不尽な怒りも吹き飛び、やってやるぜ、うぉううぉううぉうという気持ちになる。

(2) サザンオールスターズ『LOVE AFFAIR ~秘密のデート』

横浜の大さん橋あたり、潮風を受けながら。実在の観光スポット名が続々出てきて、図々しくも主人公の疑似体験ができる。シーガーディアンでは勝手に飲む。

(3) 村下孝蔵『陽だまり』

春の午後、夏の夕暮れ、土手から空を見上げて。大好きな村下孝蔵さんの名曲がアニメ『めぞん一刻』オープニングになって興奮した。

(4) スピッツ『ロビンソン』

季節の変わり目、川沿いのサイクリングロードの脇で。中学生くらいの自分に戻れる気がする。「午後の紅茶」のCMなど。

(5) 大橋純子『過ぎてきた河』

鎌倉の滑川でも、中目黒の目黒川でも、小さな橋の上から水の流れを見下ろして。大ヒット『シルエット・ロマンス』のB面。

(6) 水曜日のカンパネラ『バッキンガム』

千歳烏山~仙川あたりを歩きながら。下北沢の『ザ・スズナリ』あたりでも。世田谷区に実在する「給田」と「宮殿」をかけた早口言葉みたいで気分が上がる楽曲。

(7) 横山だいすけ・三谷たくみ『ぼよよん行進曲』

子供が小さいとき、NHKの『おかあさんといっしょ』で流れていた。だいすけお兄さんと、たくみお姉さんの歌唱力と表現力が半端ない。どこでも歌えば元気チャージ。

(8) 五十嵐浩晃『ペガサスの朝』

誰もいない早朝の海辺で。五十嵐浩晃さんの透明感のある歌声のせいで、気持ちが洗われる。「明治チョコレート」のCMソング。

(9) 久保田早紀『異邦人』

迷い道に入ったときに。ちょっとふり向いてみただけなのは、異邦人ではなく、未亡人だと聞き間違えていたのは、不要な余談。

(10) 井上陽水『夢の中へ』

ロケハンで、街中をあてどなくうろうろしているときに歌っている。探しものは見つからなくてもいい。

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プレイリストのコンセプト……私は、聴きながら歩かないけれど、歌いながら歩いていることに、はじめて気づきました。自分のために歌うから、キーがはずれても、高音がでなくても、口が回らなくても問題なしのプレイリストです。誰の迷惑にもならない時と場所で遠慮なく。

「遠くまで歩く、ながい散歩」——散歩の達人/さんたつ編集部・小野

(1) クロマニオン『New Circle Of Children』

揺らぎある生演奏に軽快な4つ打ち、エネルギーが少ないながらも歩みが進んでいく感覚が心地良いです。

(2) レイ・ハラカミ『Unrest』

『散歩の達人』2025年10月号でMOODMANさんも名前を挙げていたレイ・ハラカミ氏。浮遊感ある独自のサウンドで、散歩の歩みに展開をもたらしてくれるような一曲。

(3) Floating Points『Myrtle Avenue』

サクサクとした安定感のあるドラムパートに、ジャズのテイストが相まって有機的に足元が進んでいく感じ。

(4) Joe Almon Jones, Maxwell Owin『SE Discotheque

前曲のジャズのテイストを残して、少しリズムを崩した曲を選びました。ブロークンビーツはジャズのダンサーが踊るために発展したと言われています。

(5) 高橋邦之『Precious Hall』

織り交ぜられた環境音のサンプリングは、音源なのか、イヤホンの外の音なのか、散歩しながら聴くと曖昧になるのも良い。Precious Hallは札幌のクラブの名前です。

(6) Four Tet『Lush』

自然派な音色と、空間の広がりを感じる音像が幻想的。

(7) Quiet Village『Reunion (Extended)』

前曲の幻想的な雰囲気を引き継ぎつつ、タカタカと鳴るブレイクビーツとジャジーなパートが、歩みと風景をより豊かにしてくれる。あえてExtendedバージョンを選んでいます。

(8) 井出靖『A Place in the Sun (Kaoru Inoue Remix)』

サウンドはよりジャジーに。前曲までの、足元を意識したリズムからは一度離れてゆったりと。

(9) Underworld『Cups』

プレイリスト内最長、11分越えの1曲。前半のやや退屈な構成が、後半にかけて大胆に変化していきます。散歩は冒険だったのか?

(10) Daft Punk『Something About Us』

10曲目はエンディングにふさわしい1曲を選びました。ここまで来ちゃったなあ……と何かを眺めながら聴くことがあったら素敵だなと思います。

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プレイリストのコンセプト……私は散歩中に音楽を聴くとそれに集中してしまうため、あえて何も聴かずに歩くことが多いです。今回はジャズや電子音楽を軸にして、リズムを感じつつ、あまり気を取られないテイストで選曲しました。長い曲も積極的に選んだので、気長な散歩を楽しめるはずです。

「季節のすきまを歩く」——さんたつ編集部・桑原

(1)Mort Garson『Plantasia

「植物と植物を愛する人々のための暖かな大地の音楽」をテーマに制作されたアルバムの一曲。水分をふくんだような音にのせられ、ふらふらと歩き始めてしまいます。

(2)Pearl & The Oysters『Water-Lily Waltz』

1曲目と同様に、近くの植物を愛でながら歩きたくなる曲。葉の色や花の移り変わりをじっくり観察して、いまを感じてみたいです。

(3)YELLOW MAGIC ORCHESTRA『シムーン』

細野さんが『STAR WARS』のC-3POとR2-D2が砂漠を歩いているイメージで作ったといわれている一曲。ヴォコーダーも活用されたと思われる歌声に脳がぐらぐらしてきます。

(4)小坂忠『アイスクリームショップガール』

少し汗ばんできた散歩の半ば、途中でアイス休憩を。メロウな音を聴きながら食べるアイスはいつもと違う味がします。味はもちろんバニラとモカ。

(5)下津光史『フレンチブル』

アイス休憩の延長で、ベンチに座りボーッと行き交う犬や人を眺める時間に。下津さんの声は時空を歪ませてくれます。

(6)summer eye『失敗』

目的もなく歩いているとたまに道に迷います。そんな時、この曲のやさしく跳ねるようなサウンドががんばって家に帰ろうと思わせてくれます。

(7)ハンバート ハンバート『オーイオイ』

がんばってもう少し歩こう! と決めた時にはこの曲を。ずんずんと、とにかくずんずんと進めます。

(8)古美術『城がある街で』

映画『音楽』に登場するバンド古美術による曲。街がどんどんとオレンジ色に見えてきて、肉まんが食べたくなります。

(9)折坂悠太『道』

厄病も豊穣も買える……。都会の罪、愛しさを全部ひっくるめて道を踏みしめたくなる曲。

(10)シャッポ『そのあと』

この曲を聴くと、最近起こったこと、なにも起こらなかったことを考え、内省し、次の季節へ向かおうという気持ちになります。

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プレイリストのコンセプト……季節が移り変わる寂しさを抱えながら歩くときに聴きたいプレイリスト。緑のそばで植物を観察してから街中へ抜けていくようなイメージを持ち、環境の変化と音で視界がゆがむような曲を集めました。寄り道しておやつを食べることも忘れずに。

「主人公気分で歩きたい」——散歩の達人編集部・中島

(1) Dabney Morris『Opening』

2024年個人的ベスト映画『時々、私は考える』のサウンドトラックより。散歩は一歩目から、物語の幕開けだ。

(2) Lamp『泡沫綺譚』

ポップに揺蕩(たゆた)う。風に身を任せて歩きたい。

(3) cero『魚の骨 鳥の羽根』

泳ぐように、飛ぶようにどこまでも行こう。

(4) くるり『Smile』

数多くの名曲があるくるり。いつもありのままの自分を受け入れてくれるような、あたたかさにあふれている気がする。人生いろいろあるけれど前向きに。

(5) YeYe&Ginger Root『水面にアイス』

日本の昭和カルチャーを愛するGinger Rootが手がける曲は、新しいのに懐かしい。散歩をアイス人へ。

(6) ステラ・ドネリー『Season’s Greeting』

オーストラリア出身のシンガーソングライターは、かわいい顔してえげつない。英語が分からない方はぜひとも歌詞の和訳を調べてほしいのですが、この曲を歌うに至る彼女のことを思えば10kmは歩ける。

(7) NICO Touches the Walls『image training』

壁はなくなった!と言って突如解散した唯一無二のバンドの初期の曲。確か深夜のレコーディングで見た風景を描いたこの曲は、この先どうであろうが自分の行きたい方へ向かう決意に満ちている。それは日々の散歩も一緒。

(8)MONDO GROSSO『ラビリンス』

満島ひかりが歌うこの曲。踊りながら歩きたくなるのは、MVを何度も見たからか。

(9) KIRINJI『After the Party』

女性ボーカルで歌うこの歌を聞けば、ヨレヨレのわたしも肯定できる気がする。散歩は時に自分と向き合い、自己肯定感を高める時間にもなる。おつかれ!わたし!

(10) 坂東祐大『Final』

ドラマ『大豆田とわ子と3人の元夫』のサウンドトラックより。考え事をしながら散歩するのにぴったり。これを聞きながら夜の豊洲を歩いてみてください。目に映るすべてがきらめいてとっておきになる。

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プレイリストのコンセプト……散歩中は考え事をすることが多く、曲を聴かないことの方が多い。でも、せっかく聴いて歩くなら散歩=物語のサウンドトラック的に、目に映るすべてを脇役や小道具にして、主人公気分で闊歩したい。そんな思いを込めました。

「Where there is music, there is a way.」——さんたつ編集部・阿部

(1) BOYS AND MEN『進化理論』

まずはテレビアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』のOPで「ガンガンズダンダン」と街へ繰り出します。サビで視界がパッと開ける感じが心地いいです。

(2) aiko『ホーム』

映画『阪急電車』の主題歌。学生時代、駅のホームや電車の中でこの曲を聴いていました。「桜も夏もひつじ雲も雪の朝も」、そんな景色と私たちは何度か出逢う。

(3) SUPER★DRAGON『雨ノチ晴レ』

このリズム、メロディー、なんて散歩にうってつけ。MVを見ていると、伊藤壮吾さんとお散歩しているような気分にもなれます。

(4) スピッツ『さわって・変わって』

スピッツの曲は散歩に合う曲の宝庫ですが、好きなこの歌を。天神駅の改札口を目の当たりにしたとき、心から感動しました。

(5) =LOVE『探せ ダイヤモンドリリー』

雑踏に紛れて誰かを思い浮かべる瞬間も、また「散歩」。

(6) 河合その子『青いスタスィオン』

リズム隊の音に背中を押されるように歩みを続けていくと、「思い出だけをそっと着替えて」という印象的なフレーズがアクセントになる、そんな好きな歌。

(7) 欅坂46『避雷針』

ナスカ作曲の名曲は他のグループにもいくつもありますが、この曲は前奏から心をつかまれます。「君の代わりに僕が炎上してやる」という不器用な愛にも。

(8)fhána『ムーンリバー』

アニメ『有頂天家族2』(原作:森見登美彦)のED。歩みに寄り添ってくれるような曲調とtowanaさんの歌声で、心はふわり浮かび上がるよう。

(9) 太田裕美『さらばシベリア鉄道』

作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。テンポの速いメロディーに溶け込む、太田裕美さんの魅力的な声。歌詞の世界観に、雄大な冬の景色が目に浮かびます。

(10) ちあきなおみ『喝采』

一編の小説のような、色褪(あ)せない名曲。「喝采」という曲名がまた……。儚さと背中合わせの意志の強さが、歩み続ける私の背を支えてくれます。

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プレイリストのコンセプト……Xの交通新聞社公式アカウントの中の人時代に、「#妄想鉄道歌合戦」という、鉄道がテーマの曲を募集するハッシュタグ企画を行っていたABです。当時集まった曲の中からプレイリストを組んでみました。電車が来るのを待ちながら、移り変わる車窓の景色に目をやりながら、線路沿いを歩きながら、そんなイメージです。

「海がほしいのは夏だけじゃない」——さんたつ編集長・渡邉

(1) サニーデイ・サービス『スロウライダー』

列車で海へ。小旅行したい気分のときに聴きたい曲。気が急いてもゆっくり行く、それを楽しむのが散歩の醍醐味ですね。1999年。

(2) スピッツ『海を見に行こう』

バスで海へ。眠らずに行くのはもう(体力的に)無理ですが、歌詞のとおり朝いちばんで海に向かうような気分の時に聴きたい曲。2002年。

(3) JUDY AND MARY『自転車』

自転車で海へ。こんな青春は経験していなくても、全力でペダルをこいで海に向かう清々しさとせつなさを追体験できます。1994年。

(4) UA『HORIZON』

なんとなく夜明けや日暮れの海が頭に浮かんでくる、当時のヒットチャートにはない新鮮さを感じたUAのデビュー曲。1995年。

(5) スチャダラパー『サマージャム‘95』

海やプール、湾岸ドライブを思い浮かべながら本屋行ったりそば食べたり近所をふらふら。30年後も散歩者の日常は変わらず? 1995年。

(6) 斉藤和義&浜崎貴司『オリオン通り』

小さな街を抜け出して行きたい海。栃木出身の二人による宇都宮が舞台の曲ですが、鬱屈した学生時代を過ごした大人にも響くはず。2004年。

(7) 真心ブラザーズ『うみ』

海じゃない、うみ。夜中に広い工事現場の前を通るとこの曲を思い出し、1週間くらい頭の中で流れ続けてしまう名曲。1989年。

(8) THE BLUE HEARTS『星をください』

海がほしい。都会の生活でそんな気持ちになったことはありませんか。サブスクにはありませんが外せなかったので、ぜひ脳内補完お願いします……! 1987年。

(9) PUFFY『海へと』

海を求める理由のいくつかはここに。奥田民生的だな~というメロディーラインですが、口ずさむとなぜか泣きそうになる。2000年。

(10) くるり『五月の海』

毎日は難しくても時々海に触れると、日常の中で青色や潮風がよみがえる瞬間がある気がします。たとえばこんなふうに? 2006年。

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プレイリストのコンセプト……実際に海に向かう高揚感から、街なかで遠い海を思い浮かべる瞬間まで、同世代の方の記憶にありそうな“海を求める”名曲を集めました。ちなみに私が初めて自分で買ったCD(8cmCD、小学生のとき)は『アジアの純真』なのですが、PUFFYは2026年でデビュー30周年、『散歩の達人』も創刊30周年です。歴史……。

構成=さんたつ編集部