手塚理美(てづかさとみ)

東京出身の俳優。小学生のころからジュニアモデルとして活躍し、映画、舞台、ドラマと幅広く活動。

「散歩が好きなんです」

—— はじめまして、『散歩の達人』編集部の平岩です。本日はお暑い中、御茶ノ水にある編集部までわざわざお越しいただき、ありがとうございます。さっそくですが、誌面の制作にかかわりたいというお話について、お聞かせください。

手塚 今度、事務所をやめてフリーになるんです。以前から『散歩の達人』が好きで読んでいたので、思い切って、ご連絡をしてみました。私にもなにかできないかな、と思いまして。

——なにかできないか、というのは、私たちが手塚さんに取材をする、というようなことでしょうか?

手塚 いいえ、違います。たとえば、『散歩の達人』さんの取材に、ご一緒させていただけたらおもしろいな、というようなことです。

——ご存じのとおり、私たちは散歩、要するにそこらへんをうろうろ歩きまわって、街や飲食店を紹介するような雑誌です。手塚さんは、散歩はされますか?

手塚 散歩が好きなんです。歩くことも、路地も、踏切も、なにかを発見することが大好き。高校生のときは、同じ道を歩くのがいやなので、毎日違う道を通って学校に通っていたくらいです。

「公園のベンチで乾杯なんてこともしています」

—— 路地に踏切……『散歩の達人』的にも、すいぶんと「玄人」とお呼びすべき、散歩ワードがでてきました。踏切は、どんなところがお好きですか?

手塚 カンカンカンカンって遮断機が下りてきて、電車はどっちから来るんだろうって、そういう感じが好きです。踏切の近くにあるカフェの窓際に陣取って、電車を見たりしています。踏切を待つ時間も好きですね。ただ待つんじゃなくて、楽しみながら待つって、心の豊かさを測るバロメーターみたいな感じですよね。ちょっとせかせかしている自分を「どうどう」と静めるみたいに。

電車に乗ることも好きです。この前世田谷線に乗ろうとしたら、100周年記念のマークの付いた車両があって、うれしくなっちゃって、写真を撮ってきちゃいました。

——散歩中に食べ歩きはされますか?

手塚 食べ歩きも好きですよ。そういえば、子供が小さいときは、ママ友ランチのツアーガイドみたいなこともしていました。まずはランチをする場所を決めて、そのまわりを歩くコースを下調べして。私ひとりのときは、ふらっと駅に降り立って、駅の売店で缶ビールを買って、少し歩いてから、公園のベンチで乾杯なんてこともしています。おいしいんですよ、これが、アハハ。

「ロケハンをしてみたいです」

——手塚さんが、とっても“散歩の達人”だということはわかりました。では、誌面でやってみたいことはありますか? たとえば、特集エリアについてエッセイを書くとか、お好きなジャンルのお店を紹介するとか?

手塚 (しばらく考えて)私、ロケハン(ロケーション・ハンティング=事前に取材場所を下見すること)をしてみたいです。これまではスタッフの方がロケハンした場所に行って、本番の撮影をするだけでした。ロケハンに連れて行ってほしいとお願いしても、実現したことがなくて。

——ロケハンですか! ……わかりました。今、編集部で浅草近辺の情報を集めているので、浅草を一緒にロケハンしていただくのは、いかがでしょうか。

手塚 浅草、いいですね。せっかくなので浅草寺や仲見世ではなく、観音裏も探ってみたいですね!

——ところで最後に、本当に俳優の手塚理美さん、あの、みんなが知っている本物の手塚理美さんということで、よろしいんですよね? 

手塚 もちろん本物ですよ! こんなふうに、自分からご連絡したのは、『散歩の達人』さんがはじめてなんです。どうぞよろしくお願いします。

ということで、とんとん拍子に決まったように見えた、俳優・手塚理美さんによる『散歩の達人』新企画。タイトルはその場で即決、「手塚理美のガチロケハン」になりました。予定としては、『散歩の達人』2025年11月号から本誌に登場。はてさて、どうなることやらですが、ご期待ください。

浅草ロケハンの様子。「ずっと行ってみたかったおにぎりのお店」と手塚さん。詳しくは11月号で!
浅草ロケハンの様子。「ずっと行ってみたかったおにぎりのお店」と手塚さん。詳しくは11月号で!

取材・構成=平岩美香(『散歩の達人』編集長)