第1問

正解は……立川駅

『散歩の達人』2023年7月号でデッキ愛好家による熱い対談が繰り広げられた場所であり、快適さの面で「最強」と称されたのがここ。北口と南口が、駅構内の自由通路だけでなくデッキでもつながっていて、方々の商業施設やビルに接続しているさまはまさにクモの巣だ。

写真の右奥を横切っているのが多摩モノレール。デッキは立川駅の南北にある多摩モノレールの駅にもつながっていて、その高架が頭上を走っている立体的な景色も立川ならでは。ランドマークともいえる赤いオブジェがあるので、一発でわかったという人も多いはず。

商業施設やバス乗り場など、あちこちへつながる階段や通路が。
商業施設やバス乗り場など、あちこちへつながる階段や通路が。
駅西側の南北をつなぐ部分。
駅西側の南北をつなぐ部分。
北口に比べると小規模、とはいえ立派な南口のデッキ。
北口に比べると小規模、とはいえ立派な南口のデッキ。

第2問

正解は……高輪ゲートウェイ駅

高輪ゲートウェイ駅の西口に広がるデッキで、この広場はゲートウェイパークと名付けられている。地上にいるような錯覚を起こさせる開放感で、もはや高輪ゲートウェイシティなる街の地面だと言っていいかもしれない。写真は改札前から北方面を見たところで、左が高輪ゲートウェイシティの一角をなす「THE LINKPILLAR1 NORTH」のビル。

今後は地下鉄泉岳寺駅まで延伸する予定もあるほか、東西の連絡通路もできるようで、今まさにニョキニョキとクモの巣を張り巡らせているところ。進化が楽しみなペデストリアンデッキだ。

改札前から見たゲートウェイパーク。
改札前から見たゲートウェイパーク。

第3問

正解は……三鷹駅

三鷹駅南口に広がるデッキ。大規模とはいかないまでもちょっぴり複雑な構造で、屋根には円い天窓があったり、中央通りの商店街を見通せるバルコニー的な場所があったり、うろちょろするだけで思いのほか楽しめる。ベンチの数も多く、座って休んでいる人がいたり、電車を眺める親子連れがいたりと、ほのぼのした空気が漂うのも魅力だ。ペデストリアンデッキ愛好家であるさんたつ編集部・阿部氏おすすめのひとつというのも納得!

弧を描くスロープが美しい。
弧を描くスロープが美しい。
商業施設に向かってびよんと延びる通路。
商業施設に向かってびよんと延びる通路。
ここから南口の商店街を眺めるべし。
ここから南口の商店街を眺めるべし。

第4問

正解は……上野駅

上野駅の東南側、浅草口や正面玄関口、東上野口を出た先に広がるデッキ。写真は入谷改札を出て階段を下る途中のあたりから南方向を撮影したもの。一部は首都高の高架をくぐり昭和通りを跨いだ先に通じているほか、南側は商業施設に直結している。

広々としているので上野散策のひと休みにもぴったりな場所で、中央通りとJRの架道橋、その向こうの「上野の森さくらテラス」を望む景色は筆者のおすすめ。

駅舎側から東方面を望む。奥にスカイツリーもちらり。
駅舎側から東方面を望む。奥にスカイツリーもちらり。
夕暮れ時、行き交う人々と電車をデッキから眺めるのもまたいとをかし。
夕暮れ時、行き交う人々と電車をデッキから眺めるのもまたいとをかし。

第5問

正解は……渋谷駅

近年は「行くたびに変わる迷宮」として名高い渋谷駅。なかでも、構造の理解を諦め人の流れに乗ってぼんやり歩きがちなのが、西口のデッキ網ではなかろうか。写真は「しぶにしデッキ」との接続部分から、南方面の「渋谷フクラス接続デッキ」を見たところだ。

渋谷駅周辺の大規模な再開発は2025年にいよいよ最終章に突入。東急・JR・東京メトロの発表によれば、「2030年には東西南北をデッキで結ぶ歩行者ネットワークが誕生する」とのこと。今までにないスクランブリングなペデストリアンデッキが完成するのを楽しみにしよう。

「渋谷フクラス接続デッキ」の中ほどから見る、渋谷駅と「しぶにしデッキ」。
「渋谷フクラス接続デッキ」の中ほどから見る、渋谷駅と「しぶにしデッキ」。
南側を見ると、神宮通り、渋谷西口歩道橋、そして奥には「渋谷サクラステージ」も。
南側を見ると、神宮通り、渋谷西口歩道橋、そして奥には「渋谷サクラステージ」も。
ラッシュ時には人の激流地帯と化す「しぶにしデッキ」。
ラッシュ時には人の激流地帯と化す「しぶにしデッキ」。

第6問

正解は……練馬駅

ここも編集部・阿部氏おすすめ! 練馬駅の北口に広がるデッキで、地上とあわせて練馬駅北口広場と名がついている場所。特徴はなんといってもレンガ風のデザインと緑の多さ、そしてメイン通りの中央に鎮座するピラミッド……に見せかけた時計台。これが夜には鮮やかに光り、しかも季節やイベントによって色も変わるよう。ペデストリアンデッキには待ち合わせのための目印も兼ねたオブジェが設置されていることが多いが、なかでも少々異彩を放つ存在だ。

時計台の脇から見る練馬駅。
時計台の脇から見る練馬駅。
デッキ北川の階段を下ると、『練馬文化センター』へ。
デッキ北川の階段を下ると、『練馬文化センター』へ。
駅舎とデッキのデザインに統一感がある。
駅舎とデッキのデザインに統一感がある。

第7問

正解は……池袋駅

「池袋駅にペデストリアンデッキなんてあったっけ?」と思ったかもしれないが、お恥ずかしながら筆者も全く同じ感想を抱きつつ訪れたのがここ、メトロポリタン口。南口よりさらに南にあり、池袋駅で唯一地下ではなく、かつホームより上の階にある改札だ。それ以外の出口が大きく利用頻度も高いので、よく利用する人でなければなかなか候補に上がらなかったかもしれない。写真奥が改札口で、左の建物は「ルミネ」、その奥に「東武」がある。ゆくゆくは駅の南北に、東西をつなぐデッキを造る計画もあるとか。

改札前から南方面を見る。左奥は「ダイヤゲート池袋」。
改札前から南方面を見る。左奥は「ダイヤゲート池袋」。
デッキの南側から改札方面を見るとこんな感じ。
デッキの南側から改札方面を見るとこんな感じ。

第8問

正解は……品川駅

品川駅港南口、地上に広がる「品川港南ふれあい広場」の半分を囲むように広がっているペデストリアンデッキ。写真は、駅南側の品川インターシティに向かって延びる通路の部分で、奥に見えているビルで見分けがついた人も多かっただろう。この先は「スカイウェイ」と名がついていて、品川セントラルガーデン脇に立つ各ビルに接続している。

奥に見える円柱型のものはエレベーター。
奥に見える円柱型のものはエレベーター。
各所に曲線があるデザインに注目するのも楽しい。
各所に曲線があるデザインに注目するのも楽しい。

第9問

正解は……日暮里駅

JRや京成線ではなく、日暮里・舎人ライナーの日暮里駅をメインに周辺のビルや施設をつなぐペデストリアンデッキだ。写真奥に見えているのが日暮里・舎人ライナー日暮里駅のホームで、左端が「ステーションガーデンタワー」、右端が「ステーションポートタワー」。存在感控えめで、必要最低限の通路として各建物をつないでいる感じが健気で落ち着く空間だ。

写真奥、駅とつながる通路に傾斜があるというつぎはぎ感。
写真奥、駅とつながる通路に傾斜があるというつぎはぎ感。

第10問

正解は……竹芝駅

ゆりかもめの竹芝駅から、オフィスビルなどを経由してJR浜松町駅方面までつながるデッキ。「東京ポートシティ竹芝」の整備と連動し、ポートデッキと呼ばれているようだ。写真は浜松町駅側から東方向を撮影したもの。臨海エリアらしいスタイリッシュさで、数々の高層ビルや東京タワー、旧芝離宮恩賜庭園を眺めながら歩くとなんとも気持ちがいい。

ゆくゆくは浜松町駅に接続するには違いないのだが、2025年の撮影時点では浜松町駅北口の目と鼻の先で途切れている。浜松町駅の改装が終わってデッキとつながったら、また新しい「ペデストリアンデッキの景色」が生まれるだろう。

2層構造になっていて、左の2階通路はオフィスビルへ、前方の3階部分は竹芝駅方面へ向かう。
2層構造になっていて、左の2階通路はオフィスビルへ、前方の3階部分は竹芝駅方面へ向かう。
左から奥へ延びているのがポートデッキ。右が旧芝離宮恩賜庭園。
左から奥へ延びているのがポートデッキ。右が旧芝離宮恩賜庭園。
山手線、新幹線、ゆりかもめなどと、トレインビュースポットでもある。
山手線、新幹線、ゆりかもめなどと、トレインビュースポットでもある。
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全10問、フィニッシュ! おつかれさまでした。

普段何気なく「通路」として利用しているものも、着目してみると造形のおもしろさに夢中になれる。利便性をホスピタリティと捉えると、なんとも愛おしく感じられる。しかも、駅を出た時にデッキの有無を意識するだけで、ダンジョンと呼ばれる駅でも構造を理解しやすくなるというオマケつきである。

通路として、広場として、路上観察の対象として、そして迷子にならないための切り口としても、ペデストリアンデッキに注目してみるひととき。おすすめです!

日本初のペデストリアンデッキとして知られる柏駅東口(2023年撮影)。『散歩の達人』2023年4月号で江口寿史先生に立ってもらったのがまさにここでした。
日本初のペデストリアンデッキとして知られる柏駅東口(2023年撮影)。『散歩の達人』2023年4月号で江口寿史先生に立ってもらったのがまさにここでした。

文・撮影=中村こより