【上層雲】まるで空飛ぶ鳥のような雲も!?
雲は発生する位置に注目すると「上層雲」、「中層雲」、「下層雲」の3つのグループに分けられます。さらに、その特徴によって10種類に細分化され、この分け方を「十種雲形」といいます。
まず、上空5~13㎞の空高い場所にある上層雲は、「巻雲(けんうん)」や「巻積雲」、「巻層雲」です。巻雲は筆でサッとはいたような筋状の見た目をしています。鳥の羽根のように見えることもあり、白い鳥が青空を気持ちよく泳いでいるようで、個人的には一番好きな雲です。巻積雲は「うろこ雲」や「いわし雲」などと呼ばれる雲で、地上からは小さくて丸い粒状に見え、まるで魚のうろこのようです。
巻層雲はぼんやりと広がる薄い雲で、太陽の光を通します。巻層雲を構成する氷の粒に光がぶつかると、ハロという現象(太陽の周りにできる光の輪のこと)が現れることがあります。ハロは“天気下り坂”のサインとして知られています。雨を降らせる低気圧や前線が接近する時、空高いところから空気が湿って薄い雲ができ、次第に厚みのある雲がやってくるためです。
【中層雲】「ひつじ雲」「おぼろ雲」のほか天気を乱す雲も
上空2~7㎞にある中層雲には、「高積雲」や「高層雲」、「乱層雲」があります。高積雲は「ひつじ雲」とも呼ばれ、巻積雲とよく似ていますがひと回り大きく見えることが特徴です。ベール状の高層雲が広がると、太陽がぼんやりと見えるようになります。乱層雲は名前に「乱」という字が入っているように、天気を乱して雨を降らせる雲です。
【下層雲】雷雨をもたらす危険な雲も!
下層雲は地面から2㎞ほどの私たちのいる地上から最も近いところに浮かぶ雲で、「層雲」や「層積雲」、「積雲」、「積乱雲」があります。層雲は霧雲とも呼ばれる雲で、霧雨を降らせることもあります。霧との違いは地面と接しているかどうか、地面から離れていれば雲ですが、くっついていると霧になります。層積雲は畑のうねのように細長く並ぶ雲で、別名「くもり雲」ともいいます。
積雲は綿雲とも呼ばれ、その名の通り綿のように丸みを帯びたフォルムをしています。積乱雲は雲の底は地面に近くても、雲のてっぺんは10㎞を超えることがあり、とても背が高いことが特徴です。この雲は強い雨や雷のほか、突風やひょうをもたらすこともあるため大変危険です。気温の上がる夏は暖かく湿った空気が入りやすく、雲が発達する条件がそろうため積乱雲も発生しやすくなります。急にあたりが暗くなったり、ゴロゴロと雷の音が聞こえたりするのは、積乱雲が近くまで迫っているサインです。空模様の変化を見逃さないように気を付けてください。
気象衛星ひまわりで宇宙から雲を楽しもう
地上で見つけた雲を宇宙から眺めるのは、いつもとは違ったツウな楽しみ方かもしれません。天気予報でも登場することが多い、気象衛星ひまわりの画像は、雲の様子を宇宙からとらえたもので、気象庁のwebサイトでいつでも誰でも見ることができます。気象衛星とは気象観測を行う人工衛星のことで、宇宙から地球上の広範囲の雲や水蒸気、海氷等の分布を観測しています。日本が打ち上げた気象衛星は「ひまわり」の愛称で親しまれているのです。
ひまわりは、赤道上空3万6000kmの位置を地球の自転と同じ速さで回っています。このため、地球から見るとずっと同じ場所で止まっているように見え、連続して同じ場所の画像を得ることができるのです。ひまわりの画像は時間を戻せば過去のものも見られます。地上から空を見上げて発見した雲がどこから流れてきたものなのか、その足跡をたどることもできるのです。
また、人の目で見たような色を再現した「トゥルーカラー再現画像」を使えば、雲のほかにも黄砂や紅葉などの様子も見られ、さまざまな楽しみ方を体験できます。
眺める雲の名前が分かると、いつもよりちょっと空を見上げるのがワクワクするものです。気象衛星ひまわりはスマホで手軽にチェックできるので、お散歩のお供に利用してみてくださいね。
文・撮影=片山美紀
出典:「気象衛星ひまわり」(気象庁ホームページより)
参考:『天気予報が楽しくなる 空のしくみ』朝日新聞出版(荒木健太郎、太田絢子、片山美紀、津田紗矢佳、佐々木恭子)