栄養バランスのいい定食にするか、がっつりセットメニューにするか

東京観光には外せない浅草寺や上野公園など、国内だけでなく海外からもたくさんの人が訪れる台東区。2025年NHK大河ドラマ『べらぼう』の舞台となったことで、ますます注目が集まっている。

台東区役所はJR上野駅パンダ橋口から徒歩5分ほどの場所にある。パンダ橋は上野駅の東西自由通路で、東に進むと上野恩賜公園につながる。区役所は西側。改札を背にして左に進み、エスカレーターで下ると区役所の建物が見えた。

左前方に区役所が見える。高速道路をくぐった先の階段を下りよう。
左前方に区役所が見える。高速道路をくぐった先の階段を下りよう。

高速道路の下を通る昭和通りを進み、浅草通りにぶつかったら信号を渡って右折。その先の上野警察署の手前を左折すると、台東区役所に到着する。

手前の入り口は「上野側(西側)出入口」。
手前の入り口は「上野側(西側)出入口」。

食堂に行くには「浅草側(東側)出入口」から入るのがわかりやすいので、ぐるりと建物の反対側に回る。

こちらは「浅草側(東側)出入口」。
こちらは「浅草側(東側)出入口」。

浅草側から入ってすぐ左手にある階段を下りると、目の前が食堂の入り口だ。

食堂の入り口にはメニューのサンプルが並ぶ。
食堂の入り口にはメニューのサンプルが並ぶ。

日替わりメニューはA定食660円、B定食660円、お弁当550円の3種類。カレー、ラーメン、そば・うどんは、定番メニューのほかにそれぞれ週替わりメニューが用意されている。

「小鉢なし」や「少なめ」など食券購入の時点で細かい注文が選べるのは便利。
「小鉢なし」や「少なめ」など食券購入の時点で細かい注文が選べるのは便利。

おなかがペコペコな筆者、サンプルや写真を眺めているうちにあれもこれも食べたくなってしまった。よし、今日はお得なセットメニューにしよう!

メニューに券売機番号が書いてあるのってすごく親切。
メニューに券売機番号が書いてあるのってすごく親切。

定番メニューのかっぱ橋らーめんに、定番のアメ横カレーまたは週替わり丼が付くさくらセット710円(カレーと丼はミニサイズ)。ちなみにこの日の週替わり丼はさっぱり豚丼。……悩んだ末に定番同士、ラーメンとカレーの組み合わせでいただくことに決めた。

定番のメニュー名はみんな知ってる区内の名所

店内は丸や四角のテーブルが並び、ポップな色調で明るく、食堂というよりはカフェテリアみたい。席数は70席ほどで、こぢんまりとしている。

椅子のグリーンと床タイルの赤。色のバランスがおしゃれ。
椅子のグリーンと床タイルの赤。色のバランスがおしゃれ。
厨房カウンターと座席はついたてで仕切られている。
厨房カウンターと座席はついたてで仕切られている。

食券を握りしめ厨房カウンターへ。鮮やかなオレンジ色のトレーを用意して待つと、すぐにかっぱ橋らーめんとミニアメ横カレーが到着。福神漬けはセルフで盛り放題だ。

さくらセット(カレー)710円。カレーがだいぶ大きく見えるがこれでミニサイズ。
さくらセット(カレー)710円。カレーがだいぶ大きく見えるがこれでミニサイズ。

通常サイズのラーメンにミニカレーのはずなのだが、これ、カレーも通常サイズなのでは? 店長の岸田望生(もつお)さんに質問してみると、「ミニカレーですよ。ちょっと量が多いですかね」と笑顔で答えてくれた。通常サイズのカレーはもっと大きな皿に盛られているそうだ。

では麺がのびてしまう前に、ラーメンからいただきまーす。

かっぱ橋らーめん。この日はサービスで雲吞(ワンタン)がトッピングされていてラッキー!
かっぱ橋らーめん。この日はサービスで雲吞(ワンタン)がトッピングされていてラッキー!

かっぱ橋らーめんは、醤油味の、いわゆる東京ラーメンだ。ちなみに、都内の役所の食堂の醤油ラーメンには、土地ならではの名前が付けられていることが多いらしい。

麺はのど越しのいいストレートの中細麺。
麺はのど越しのいいストレートの中細麺。

鶏ガラと香味野菜を煮込んだ自家製スープに、具はチャーシュー、メンマ、のり、ナルト、ワカメ、ネギ。

チャーシューは脂が少なく、適度な歯ごたえがあって肉の旨味がたっぷり! 思わず「すごくおいしいです!」と、語彙力の乏しさ丸出しの表現で岸田さんにお伝えすると、「豚の肩ロースをぎゅっと縛って丁寧に焼いてますから」とにっこり。

豚肉の旨味が詰まった自家製チャーシュー。
豚肉の旨味が詰まった自家製チャーシュー。

そしてたまたま取材日はワンタンサービスデー! ぷりぷりのワンタンが3つものって幸せ―。

月替わりでさまざまなサービスが用意されている。
月替わりでさまざまなサービスが用意されている。

続きましてはミニアメ横カレー。何度も言うようだが、これでミニサイズだ。

ミニアメ横カレー。単品でも注文できる。単品は300円。
ミニアメ横カレー。単品でも注文できる。単品は300円。

ひと口目は甘口に感じたが、ふわーっとスパイスの香りが口の中に広がってきて、後から辛さが追いかけてきた。野菜の甘みとスパイシーさのバランスが絶妙だ。これはなにか隠し味がありますね?

大きくカットされた野菜がゴロゴロ。
大きくカットされた野菜がゴロゴロ。

「火を止めてから、最後にガラムマサラを加えるんです。最初から入れたらダメ」と岸田さんがこっそり教えてくれた。さっそく家でもやってみます。

ラーメンとカレー、果たして食べきれるのだろうか……。なんて心配していたけれど、ぺろりと平らげた。おなかいっぱい大満足! ごちそうさまでした!

不定期で登場する季節のご飯。出合えたらラッキー!

筆者がラーメンとカレーをぱくぱく食べている間も行列が絶えず、活気ある厨房カウンター。スタッフさんが定食を注文するお客さん一人ひとりに「白いご飯とタケノコご飯、どちらにしますか?」と聞いている。え、タケノコご飯が選べるの?? 店長の岸田さんに話を聞いた。

取材当日のA定食は鶏ネギの味噌焼き。ちなみに筆者が聞いている限り100%の人が「タケノコご飯」と答えていた。
取材当日のA定食は鶏ネギの味噌焼き。ちなみに筆者が聞いている限り100%の人が「タケノコご飯」と答えていた。

「毎日やっているわけではないのですが、ご飯を選べる日をつくっています。季節のご飯の日もあれば、雑穀米の日、中華がゆの日もあります」。1週間分の日替わりメニューは店内に掲示されているが、ご飯が選べる日はあえて公開していない。「『次に来たときは何かな』っていう期待感が、また足を運んでもらえるきっかけになれば」と岸田さんはほほえむ。

定食に付く小鉢は、カウンターに並ぶなかから自分で好きなのを1つ選ぶシステム。小鉢は日替わりで、毎日10種類ほど用意されている。

定食を注文する流れで好みの小鉢を1つチョイスしてトレーにのせる。
定食を注文する流れで好みの小鉢を1つチョイスしてトレーにのせる。

ラーメンやカレーのメニュー名には「かっぱ橋」「アメ横」と台東区の名所が入っていたが、台東区ならではのメニューで人気なのが上野動物園のパンダにちなんだ、双子のベジぱんだカレー。このカレーはヴィーガン対応で、動物性の食材や調味料は一切使っていない。

ヴィーガンメニューはほかにかき揚げうどんとキーマカレーがある。「ヴィーガンを推奨しているということではなくて、いろいろ選べるというところを大切にしています」と岸田さんは話す。

ライスがパンダの顔になっていてかわいい双子のベジぱんだカレー640円。1日10食限定。
ライスがパンダの顔になっていてかわいい双子のベジぱんだカレー640円。1日10食限定。

「米も野菜も高騰して本当に大変。そんな中でもお客さまに喜んでもらいたい。そのためには、手間ひまをかけないと」と岸田さん。前述のご飯が選べるサービスやワンタン無料などの月替わりのサービス、だしがらで自家製のふりかけをつくって「ご自由にどうぞ」と調味料カウンターに置いたのも岸田さんのアイデアだ。

今日はラーメンとカレーをいただいたので使わなかったが、手作りのふりかけなんておいしいに違いない。次に来たときは絶対に定食を食べることに決めた。季節のご飯が選べる日だったらうれしいけど、白いご飯だけの日でもふりかけをたっぷり味わえるもんね!

JR上野駅パンダ橋口には体調3m超のパンダがお座り。工事中のフェンスに囲まれちょっと窮屈そう。
JR上野駅パンダ橋口には体調3m超のパンダがお座り。工事中のフェンスに囲まれちょっと窮屈そう。

取材・文・撮影=マルヤマミキ