ゲーム仲間と出会えるのはここ!『16SHOTS』
今でも新しい仲間はできる
よく思い返してみると、ゲームをすることよりも、ゲームについて話すことのほうが楽しかった時期がある。いわゆる「クソゲー」を掴(つか)んでしまっても、それを笑って楽しめたのは、そこに友達がいたからなのだろう。高校を出て一人暮らしを始めた後も、友達の家でだべる時には延々とゲームをやり続けるなんてこともあった。ゲーム好きなら、誰しもそんな青春の一コマがあったのではないだろうか。
しかし、就職すると人間関係は仕事が中心になり、家族もでき、自然にゲーム友達は減っていく。それどころかゲーム自体、やらなくなってしまう。子供と一緒にゲームができる家庭もあるだろうが、友達と遊んだ時とは少し違う。ネットで友達を作ろうとしてもままならず、新作を始めても独り延々とプレイするしかない、もうそんな年なのか——。
いや、そんなことはない。今でもゲームの話を求めて人が集まる場所はある。その1つがゲームバーだ。特にレトロゲームをコンセプトとした店には、懐かしのゲームやアイテムが置いてあり、それを介して知らない人とでも会話ができる。ある日の『16SHOTS』では『ドルアーガの塔』『グラディウス』『戦場の絆』といったゲームを「魂のゲーム」と言う、25年来のゲーム仲間の集いもあった。個室を貸し切って、PS2のゲームや秘蔵の資料を持ち寄り、レゲー話に花を咲かせていた。
店長の安部さんも「自分の本当に好きなゲームの話をしてもらえれば、タイミングにもよりますが、きっと話が合う人はいます」と言ってくれた。
今でも新しい仲間はできる。そう、ずっと信じていたいものである。
ゲーム関連本から話題を見つける
当時、ゲームと共に、関連本を楽しみにしていなかっただろうか? 特にゲーム漫画は、攻略本と並んで多くのキッズが夢中になっていた。年代それぞれに、その時代のゲーム好きが「全員読んだ」と言っても過言ではない作品がある。
まずはなんといっても『ゲームセンターあらし』(すがやみつる著)だろう。石野あらし、通称ゲームセンターあらしが挑戦したゲームは今も人気作品としてゲーム史に残っている。90年代なら『ファミ通(前:ファミコン通信)』に連載されていた『しあわせのかたち』(桜玉吉著)なども人気作品といえるだろう。ゲームというジャンルを越えて、日記漫画の嚆矢(こうし)としても人気のある作品だ。
ゲームそのもののみならず、こういう漫画作品の話題も、新しい友達を作るとっかかりにできそうである。
取材・文=来栖美憂 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年3月号より