岩手産菜彩鶏(さいさいどり)のしっとりむね肉と香り高いジャスミンライスの魅力

周辺にたくさん飲食店がある中で、ひときわ明るくやさしい雰囲気。
周辺にたくさん飲食店がある中で、ひときわ明るくやさしい雰囲気。

中目黒駅から目黒川方面に向かって歩く道は、飲食店の密集地帯。『タイランドキッチン たびする子ぞう 中目黒店』は、近辺にたくさんある飲食店の中でも、どんな人も立ち寄りやすい雰囲気が魅力だ。テイクアウト用のカウンターを横目に、扉を開くと白とグリーンを基調とした明るい店内が、ジャスミンライスの香りとともに迎えてくれる。

店内はカウンター8席のみ。人目も気にならず、女性が1人でサクッとランチするにもぴったり。お店の佐藤さんは「脂肪の少ない鶏むね肉を使っているので、トレーニングをされている方が“良質のタンパク源”として召し上がることも多いですよ」と話す。

店内はカウンターのみ。カオマンガイは辛くないので親子で食べに来る人も。
店内はカウンターのみ。カオマンガイは辛くないので親子で食べに来る人も。

『たびする子ぞう 中目黒店』のカオマンガイに欠かせない鶏肉は、岩手県北部の二戸市で育てられているブランド鶏・菜彩鶏のむね肉を使っている。「オープン前からもも肉ではなく、むね肉を使うことは決めていました。いろんな銘柄を食べ比べて、いちばん柔らかく、しっとりゆであがったのが菜彩鶏だったんですよ」と佐藤さん。

厳選したジャスミンライスは鶏出汁スープを吸ってますますいい香り!
厳選したジャスミンライスは鶏出汁スープを吸ってますますいい香り!

仕入れた菜彩鶏はお店で皮の部分を取り、しっとりゆで上げている。その鶏出汁スープで、こちらも厳選したタイのジャスミンライスを炊く。ジャーの蓋が開いた瞬間、ジャスミンライスが放つ香りがたまらない。

6種のソースで楽しむ味変

カウンターの中で手際よく盛り付けられていくカオマンガイ。
カウンターの中で手際よく盛り付けられていくカオマンガイ。

『たびする子ぞう』のカオマンガイは、肉の量とライスの量を選べる。肉の量は4段階あり、120gだと1320円、180gだと1595円、240gだと1760円、いちばん多い360gだと2200円。ライスは小中大と3つの大きさがあるが、こちらは量によって値段の違いはなし。

カオマンガイには、キュウリ、トマト、パクチーが添えられる。パクチー好きならプラス220円で山盛りのパクチーを追加できるし、パクチーが苦手ならパクチーなしにすることも可能。さらに、通常は鶏出汁スープが一緒に提供されるが、プラス220円で辛くなく酸味の効いたトムヤム風スープに変更できる。好みに応じて組み合わせを変更できるのも楽しい。

カオマンガイの肉180gを選んで1595円。ライスは中盛り。ランチタイムのみソムタム風ドレッシングのサラダとタピオカ入りココナッツミルクのデザートも付く。
カオマンガイの肉180gを選んで1595円。ライスは中盛り。ランチタイムのみソムタム風ドレッシングのサラダとタピオカ入りココナッツミルクのデザートも付く。

お皿の上のむね肉はしっとりつややかに仕上がっていて見るからに柔らかく、ひと切れ口に入れると味がしっかり染みている。パサつくイメージがあるむね肉が、こんなにもしっとりゆでられるのかと感心するほどだ。

ソースは全部で6種類。メインは自家製ジンジャーソースとソイソースだ。特にジンジャーソースは生姜の辛味と共に、爽やかな味わいがあって人気がある。

そしてあとの4種は卓上に置かれている。青唐辛子をナンプラーと酢で漬けた自家製の青トウ酢、エスニック料理でおなじみのスイートチリソース、黒くてとろみがあり甘みのあるブラックスイートソース、そして赤唐辛子粉末だ。はて、どのソースをどうかけたらいいのか。

上から時計回りにブラックスイートソース、青トウ酢、スイートチリソース、赤唐辛子粉末。
上から時計回りにブラックスイートソース、青トウ酢、スイートチリソース、赤唐辛子粉末。

「まず、ジンジャーソースとソイソースを肉にかけて、ブラックスイートソースをライスに。青トウ酢とスイートチリソースも肉にかけます。スプーンで肉や野菜を切りながら全体をよく混ぜてください。赤唐辛子粉末はかけすぎ注意ですが、辛いのが好きな方はちょっとずつ」

しっかり混ぜていただくと、より複雑な味わいに変化。自家製のジンジャーソースの味も気に入ったが、ライスにかけたブラックスイートソースのコクのある甘みがもう少し食べたくなって、途中で追加した。

スプーンですくったときのとろみや香りが何かに似ていると首を傾げていたら「みたらし団子ですよ」と佐藤さん。確かに、みたらし団子のタレのような懐かしさがある。粘度の強い糖蜜を使ったタイの甘い醤油で、料理にもよく使われるそうだ。

カトラリーもタイで作られたものを採用。このカトラリーは、スプーンの縁で肉もキュウリもひとくち大に切ることができる。
カトラリーもタイで作られたものを採用。このカトラリーは、スプーンの縁で肉もキュウリもひとくち大に切ることができる。

夜はタイのビールと岩手の味わいでちょっと一杯も

丁寧に運んできてくれたのは、スタッフの伊藤優里奈(いとうゆりな)さん。
丁寧に運んできてくれたのは、スタッフの伊藤優里奈(いとうゆりな)さん。

やさしい色合いと柄が美しい焼きもの、タイ製のセラドン焼きにのせられたカオマンガイは提供スピードの速さも自慢。「タイミングによっては牛丼屋さんより速いかもしれませんよ」とのこと。

夜はおつまみのメニューとして、青パパイヤのサラダ用のドレッシングを使った鶏むね肉と水菜のサラダや、菜彩鶏のとり皮ポン酢和えも。タイのビールもシンハーやチャーンなど4種類が用意されている。

レオビール、シンハービール、チャーンビール、プーケットビール各615円。
レオビール、シンハービール、チャーンビール、プーケットビール各615円。

店のオーナーと佐藤さんは2人とも岩手県出身。「菜彩鶏を使ったのはおいしかったからです。岩手推しってわけじゃないですよ」と冗談のように話すが、おつまみには岩手で作られる小岩井レーズンバターも用意されていて、しっかり岩手推しである。

店名には、「ぞうさんが旅するように店舗展開していきたい」という願いが込められているそうだから、いずれは岩手にもお店ができるかもしれない。

取材・撮影・文=野崎さおり