ただひたすら、クラフトビールの裾野を広げるために

醸造したてのビールを買えて、タンクを眺めながら気軽に飲める。ここは、三鷹市唯一のブルワリーだ。2019年1月19日に開設、2025年で7年目に突入したのに今もなお「ここでビール造っているの?」と、初めて気づいた近所の人が入ってきては、喉を潤していく。

「クラフトビールってまだまだそんなもん。認知度が低いからね」と、その一人に飲んでもらえたことがうれしそうな代表の小笠原恵助さん。三鷹駅近くや吉祥寺エリアでビアバーを営みながら、ゆっくりとビール造りの夢をかなえた。今はただひたすら、クラフトビールの裾野を広げるために奮闘している。

OGAのビジョンをスタッフみんなで共有。
OGAのビジョンをスタッフみんなで共有。

農産物、学生、アニメ。三鷹の魅力をビールで表現

ビールのラインアップは、定番3種を基本に、三鷹周辺のいろんな人々との関わりから生まれるコラボビールを中心に展開する。

例えば、地元農家との出会いで始まった旬の農産物を使うシリーズや、近所に拠点があるアニメーション会社との縁で誕生した限定ビールがある。地元産のキウイのビールなら、好きなアニメのラベルなら、クラフトビールに興味がなかった人にも手に取って飲んでもらえるかもしれない! そんなポジティブな想像と願いも込めて造っているのだ。

出来たてを飲めるタップルームを併設。
出来たてを飲めるタップルームを併設。
飲み比べを楽しめるビアフライト1000円~。
飲み比べを楽しめるビアフライト1000円~。

「工程の中で最も重要で楽しいのは、どんな味のビールにするかアイデアを構築していく時間です。スタッフみんなで意見を交わして試行錯誤します」

そう熱く語るのは、醸造を担当する上田篤志さんだ。ブルワー自身が造りたいテイストよりも、題材やテーマの背景をビールに落とし込んで表現しようとするのがOGAのスタイルだ。さらに「クラフトビールを飲み始めた人、これから飲む人にも分かりやすいビール造りを大切にしています」と、初心者ウエルカムのブルワリーだと堂々宣言する。

理学療法士から転身したブルワーの上田さん。「ビール造りは奥が深いです」。
理学療法士から転身したブルワーの上田さん。「ビール造りは奥が深いです」。
2021年より、東京ヴェルディのオリジナルビール『1969BEER』も醸造中。
2021年より、東京ヴェルディのオリジナルビール『1969BEER』も醸造中。

まずは気になったラベルから。三鷹が原料のビールで乾杯!

ブルワリー前にて、代表の小笠原恵助さん(右端)とスタッフのみなさん。幅広い世代が働いている。
ブルワリー前にて、代表の小笠原恵助さん(右端)とスタッフのみなさん。幅広い世代が働いている。

コラボレーションが止まらない!

定番の「三鷹ペールエール」「三鷹ウィートエール」「吉祥寺IPA」のほか、誕生したビールは500種類を超え、シリーズ化したものもある。その一部をカテゴリーごとにご紹介。

『OGA BREWING』×地元の農産物を使って

三鷹の農産物使用の「M.C(Mitaka Consecutive)」シリーズ。都市農業が元気! 旬を楽しむビール。
三鷹の農産物使用の「M.C(Mitaka Consecutive)」シリーズ。都市農業が元気! 旬を楽しむビール。

『OGA BREWING』×近隣の人々や店と協力

国際基督教大学の学生や地元の人気店・名店とコラボして生まれるビール。久住昌之さん作のラベルも。

『OGA BREWING』×街の文化・魅力を表現

中央線沿線の街をイメージしたシリーズもある。右から2番目は太宰治が愛した跨線橋をイメージ。

『OGA BREWING』×懐かしの国民的アニメから壮大な作品まで

地元のアニメーション会社とも多数コラボ。『おそ松さん』『ハクション大魔王』といった、リメイクされ話題となった国民的作品から『キングダム』『攻殻機動隊』などの青年誌系作品もある。

住所:東京都三鷹市下連雀4-1-16/営業時間:タップルームおよびビールの販売は11:00~19:30LO/定休日:火/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩10分

取材・文=松井一恵 撮影=原 幹和
『散歩の達人』2025年2月号より