梅雨の晴れ間は熱中症に要警戒。その理由は?

年によっては真夏よりも梅雨時に熱中症で救急搬送される人が多いこともありますが、梅雨の晴れ間に熱中症のリスクが高くなるといわれるのはなぜでしょうか?

梅雨の晴れ間、綺麗な青空が広がる。
梅雨の晴れ間、綺麗な青空が広がる。

理由は主に2つあります。

①体が暑さに慣れていない中、突然気温が上がるため

雨が続くと日差しが遮られるため、気温の上がり方は晴れの日に比べて抑えられます。このため、体はしばらく暑さにさらされていない状態になってしまうのです。

特にさんたつユーザーの多い関東地方では「梅雨寒(つゆざむ)」という言葉があるように、梅雨時に雨でヒンヤリとすることが度々あります。たとえ梅雨入り前に暑さに慣れていたとしても、一度涼しい状態を経験した後、急激に暑くなると体はこたえるものです。

梅雨入りした後、梅雨前線が南下。関東地方は晴れて気温が急上昇した。
梅雨入りした後、梅雨前線が南下。関東地方は晴れて気温が急上昇した。

②気温だけでなく湿度が高いと、体に熱がこもるため

もう一つの理由は湿度にあります。雨や曇りの日に湿度が高いのは当然ですが、雨が上がった後にまだ湿気が残っている中、日が差す時は蒸し風呂のような不快な暑さになることがあります。

特に梅雨前線が北上して離れる時は、南から湿った空気に覆われやすいため注意です。こうした時はたとえ晴れていても湿度が高く、非常に蒸し暑くなります。湿気があると汗が乾きにくくなり、体に熱がこもりやすくなるため熱中症のリスクが高くなるのです。

夏のお散歩に必須。「経口補水液」のすすめ

梅雨時に少しでも青空がのぞけば、私はついうれしくなってお散歩へ出かけたくなります。まだ真夏ではないからと気を抜いてしまうかもしれませんが、基本の熱中症対策は真夏と同じように行いましょう。

・時間を決めて、こまめに休憩と水分をとる
・日傘や帽子などで強い日差しはなるべく避ける
・なるべく風通しの良い服装にする

どれも基本的なことですが、安全に楽しくお散歩するために必須の対策です。

梅雨の晴れ間も油断せず熱中症対策を(出典=ウェザーマップ)。
梅雨の晴れ間も油断せず熱中症対策を(出典=ウェザーマップ)。

熱中症対策として水分補給する時におすすめしたいのが、経口補水液です。

経口補水液とは、食塩やブドウ糖を水に溶かした飲み物で、脱水状態になった際に素早く水や電解質の吸収を進めてくれます。

下痢や嘔吐、発熱などのほか熱中症による脱水時にも効果的です。ドラッグストアなどで市販されていますが、商品によっては糖分が多く含まれるものもあるため、気になる方は自分で作ってみるのはいかがでしょうか?

日常的に使う調味料でできるレシピを紹介します!

経口補水液を自宅で作ってみよう。
経口補水液を自宅で作ってみよう。

【材料】
・水    1リットル
・塩    小さじ1/2
・砂糖   大さじ4と1/2(糖分を控えたい方は 砂糖の分量を調整するか ⽢味料を使用してください)
・レモンやグレープフルーツなどの果汁 少々(お好みで分量を調整してください。)

【作り方】
①水に塩、砂糖を加える。よく混ぜ合わせて溶かす。
②お好みでレモンなどの果汁を加えると、すっきりと飲みやすくなります。

※経口補水液は普段の水分補給ではなく、熱中症の予防や熱中症の症状が現れた際にお使いください。

蒸し暑い日のお散歩のおともに。
蒸し暑い日のお散歩のおともに。

大量に汗をかいた時は体内から水分だけでなく、塩分も失われます。水だけを飲むと体液中の塩分濃度が下がるため、体が上手く水分を吸収できなくなります。このため、喉の渇きはおさまっても尿として大量に水分が失われるおそれがあるため、水分と塩分を同時に摂取することが大事です。

「熱中症警戒アラート」発表時はお散歩中止の判断も

熱中症に特に警戒が必要な日には「熱中症警戒アラート」が発表されます。この情報は「暑さ指数」という気温、湿度、輻射熱(ふくしゃねつ=日射しを浴びた時に受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱)を考慮した指数を基に出されます。

注目したいのは湿度を考慮する割合が高いことです。真夏ではなくても梅雨の晴れ間の蒸し暑い時に出される可能性もあります。

熱中症警戒アラートが発表された時は、なるべくお散歩を中止する、日程や時間帯を変えるという判断を取るようにしてください。

「暑さ指数」が33以上になると予測される地点があると、「熱中症警戒アラート」が発表される(出典=ウェザーマップ)。
「暑さ指数」が33以上になると予測される地点があると、「熱中症警戒アラート」が発表される(出典=ウェザーマップ)。

2024年からは「熱中症特別警戒アラート」(都道府県内のすべての観測点で「暑さ指数」が35以上と予測された場合、前日に発表)の運用も始まりました。この情報が出た時は広い範囲で過去に例のない危険な暑さとなり、命に関わるような重大な被害を受けるおそれがあります。熱中症警戒アラートのほか最新の気象情報も確認しながら、貴重な晴れ間のお散歩を楽しみましょう。

文=片山美紀 写真=片山美紀、ウェザーマップ

参考HP
環境省 熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/

農林水産省 熱中症対策には、どのような飲料が適していますか
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/2007/02.html

厚生労働省 水分補給と休憩
https://jsite.mhlw.go.jp/niigata-roudoukyoku/content/contents/1kenan-neccyuguide-06-02.pdf

川崎北労働基準監督署 平成29年5月~9月 STOP!熱中症クールワークキャンペーン
https://jsite.mhlw.go.jp/kanagawa-roudoukyoku/var/rev0/0120/4076/20176994932.pdf