月に500匹以上のペット撮影を手がける。
七色の声を使い分けてわんちゃんの気を引き、猫じゃらしで猫を操りながら撮影するペトグラファー。
その巧みな猫じゃらしさばきから「猫じゃらしの魔術師」の異名を持つ。
写真教室講師、原稿執筆、テレビ出演、レンタルフォト撮影など多岐にわたる活動をしている。著書多数。
その① 絞り(F値)を小さい数字に設定する
使い方がわからないからオートモードで撮っている初心者さんも多いはず。最近のカメラはとても優秀なのでちゃんと撮る事は出来ますが、上級者が撮るのような写真を撮る為にはF値の設定が必要です。
まずはカメラのモードを絞り優先モード(AモードやAVモード)に切り替えます。そしてF値を一番小さい数字に設定しましょう。F値を小さくすることでピントの合う範囲が狭くなり、被写体の前後がボケやすくなります。一番小さい数字を開放値と言い、開放値は使用するレンズによって異なります。「絞り」や「開放値」といった用語が出てきたので難しく感じる方もいるかもしれませんが、まずは数字を小さくすればボケて、数字を大きくするとくっきり写ると覚えておいて下さい。ご使用のレンズの一番小さい数字に設定して撮って違いを確かめてみましょう。
その② 望遠レンズ、単焦点レンズを使用する
レンズには望遠にするほどボケやすくなるという性質があります。ズームレンズをお使いの場合は一番望遠側で撮りましょう。屋外や広々とした屋内では70㎜-200㎜などの望遠ズームレンズを使えばよりボケ味のある写真になりますよ。
また単焦点レンズは開放値が小さいのでズームレンズよりも良くぼけます。暗くなりがちな室内にも強いのでオススメです。
F2で撮影。F値を小さくするほどピントの合う範囲が狭くなり、被写体がちょっと動くだけでピンボケの写真になってしまいます。その場合は少しF値の数字を大きくしてピンボケにならないように撮りましょう。
その③ 背景と被写体の距離を離す
カメラの設定でボケやすくしても背景と被写体の距離が近いとあまりきれいにボケてくれません。被写体と背景の距離を離すほどボケ味が増していきます。
この3つのポイントを使うと、背景がふんわりとボケた写真に仕上がりますよ。
スマホで撮影する場合はF値を変える事が出来ません。被写体と背景の距離を離し、自分が被写体に近づいて撮る事で背景がボケやすくなります。iPhoneの場合はポートレートモードで撮影する事でボケのある写真に仕上がるので、お使いの方は試して見てください。
さらに! 前ボケにも挑戦しよう
3つのコツを使ってきれいにぼかす事ができるようになりましたね。
同じ場所で撮っても背景がスッキリとし、被写体が浮き立ったと思います。これはピントの合う範囲を狭くし、被写体以外の物をぼかしているという事なので背景だけではなく、被写体の前にある物も当然ボケます。そこで今度は前ボケにも挑戦してみましょう。
お花のすぐそばから撮影する事で前ボケが入り、ふんわり感が増しました。前ボケは入れすぎるとうるさい写真になってしまうので程よく入れるように意識しましょう。
ぼかしが上手に出来るようになると仕上がりのレベルが一気に上がります。ふんわりかわいいペット写真にぜひ挑戦して下さい。
文・写真=湯沢祐介