惹かれるビン牛乳のデザイン
そんなある日、長野に行った友人からおみやげとして松田乳業の牛乳ビンをもらった。
「デザインがかわいいから」とのことだったが、確かに帽子に半ズボン姿の坊やのイラストと、「富より健康」のキャッチコピーが印象的なデザインだ。
以降、にわかに牛乳ビンのデザインが気になり始めた。温泉施設の自動販売機で売られているような大手メーカーの牛乳ビンは、大体が無地である。一方で、各地の乳業会社のビンは、それぞれに特徴的なデザインが施されており、レトロでかわいらしい。
東京近郊にも、こうしたかわいらしいビン牛乳は存在する。鴻巣市の大沢牛乳では、事務所で直接ビン牛乳を購入することができる。
事務所前には紙パック牛乳を販売する自動販売機もあり、これはこれでかわいらしいのだが、
ビン牛乳のシンプルなデザインに惹かれてしまう。
相次ぐビン牛乳の販売終了
ところが、ここ数年でビン牛乳まわりの雲行きが怪しくなってきている。需要の減少や運搬時のコストなどの問題で、大手乳業メーカーが次々とビン牛乳の販売を終了しているのだ。小岩井乳業は2020年にフルーツ牛乳を、次いで2021年に全ビン製品の製造終了を発表した。そして2024年、森永乳業も3月いっぱいでビン牛乳の販売を終了したのである。
今後はもうビン牛乳を飲めなくなってしまうのだろうか……と心配になるところだが、まだまだ存続の動きはある。JR秋葉原駅の総武線上下ホームにあるミルクスタンドでは、近年「ご当地牛乳」のビン製品が数多く販売されている。
移動途中のサラリーマンや親子連れ、外国人客などがひっきりなしに訪れ、そのほとんどはビン牛乳を選んでいるのだ。
また今年2024年1月、渋谷駅構内に、雑誌『Hanako』がプロデュースするショップ「Hanako Stand」のミルクスタンドがオープンした。こちらでは、日本全国からセレクトされた牛乳が「濃厚/スッキリ」「旨味/甘味」の表で示され、その日の気分によって選ぶことができる。味のみならず、長野県のオブセ牛乳や三重県の山村乳業、富山の八尾乳業協同組合などのビン牛乳が並び、ビンのデザインにもこだわりが感じられる。
今後もビン牛乳が存続することを願って
牛乳そのものの消費量が減少していると言われる現在、ビン牛乳の存続は一層厳しくなるのかも知れない。それでもビン牛乳文化が消えてしまうのは何とももったいない。今後も残っていって欲しいという願いを込めて、私は今日も行く先々で牛乳を飲む。
イラスト・文・写真=オギリマサホ