注文後に作り始める本格ナポリピッツァ
『Pizzeria CARROZZE』の魅力は、なんといってもナポリ窯で焼く本格ナポリピッツァだ。火~金曜限定のランチタイムメニューはこのピッツァに、無農薬いろどりサラダや本日のスープなどがそれぞれプラス料金で付けられるA、B、C、Sというセットメニューを選べる。
今回は、マルゲリータ1200円とSセット(前菜サラダプレートとスープ)500円、しらすの豆乳濃クリーム1300円とCセット(無農薬いろどりサラダと本日のスープ)300円。
ちなみにAセットはプラス150円でスープ、Bセットは200円でサラダがつけられる。土曜の昼営業はホリデーランチメニューになる。ホリデーランチは前菜、スープ、ピッツァ又はスパゲティ、そしてドリンク、デザート盛りが付いたコースだ。
注文後、ピッツァは生地を伸ばすところからスタート。板に敷いた生地のふちを伸ばし、ある程度の大きさになったらパタパタと手の平に叩きつけてさらに引き伸ばす。このとき、生地に気泡を入れるのがポイント。久保田さん曰く、その方が焼き上がりがおいしくなるそう。
「体に優しい料理を食べてほしい」
伸ばした生地に具材をのせ、準備ができたらナポリ窯に投入。火の通りを見て、回転させながら焼く。窯で焼く時間はなんと90秒ほど。あっという間に焼けるのが、本場のナポリピッツァだ。
なぜこんなにも早く焼けるのか? その秘密は450度の高温で焼くことのできるナポリ窯にある。ドーム型が特徴の石窯であるナポリ窯は、ドーム上部に弧を描くように熱が伝わり、遠赤外線効果で食材に火を通すのだ。
マルゲリータをいただくと、モッツァレラチーズが溶けて伸び、トマトソースはさっぱりとしていて甘い。新鮮なバジルの香りがアクセントになる。トマトソースはイタリアから直輸入したホールトマトに塩を混ぜるだけ。材料はいたってシンプルだが、ナポリ窯で焼きあげることでトマトを煮ているような状態になるため、トマトの甘さが引き立つのだとか。
しらすの豆乳濃クリームは、しらすの塩味とコーンの甘さが相性抜群。豆乳のクリームはまろやかで濃厚だが、後味はさっぱりとしている。ちなみに、このピッツァはしらすの旬である春限定のメニューで、他のシーズンは、サーモンとコーンのピッツァが提供される。
ピッツァはもちもちとした生地で、耳までおいしい!「いつもピザの耳を残すお子さんが初めて耳まで食べたとお客さんに言われたこともあります」と久保田さん。
「体に優しい料理を食べてほしい」との思いから、素材と調理法にはこだわりがある。野菜は無農薬で、なんと久保田さんのご実家で作られているそう。特に自慢なのは、バターナッツだ。サラダには生でのせたり、ポタージュスープにしたり、栄養たっぷりで久保田さんの一押しだ。
サラダはランチタイムメニューのB・C・Sの各セットで、日替わりのスープはA・C・Sの各セットで食べることが可能だ。
そして調理でのこだわりは、フライヤーを使わず揚げ物は一切しないこと。玉ねぎをまるごと焼くときもナポリ窯を使うそうだ。素材の甘さを引き出すだけでなく、表面はこんがり、中はとろとろに仕上がるのだそう。
「本場のピッツァをお気軽に」。地元に愛されるピッツェリア
お店の始まりは「本場のピッツァを気軽に食べてもらいたい」という思いから。久保田さんは30代前半のころ、イタリアのフィレンツェで修業経験を積み、本場のピッツァの焼き方を教わった。
『Pizzeria CARROZZE』の店名は、修業していたイタリアのお店の名前から取っている。
内装はほとんど自ら手がけ、2024年には輸入したタイルアートをカウンターに貼り、さらに彩りを添えた。
久保田さんの思いが詰まった『Pizzeria CARROZZE』。お客さんが9割以上が常連で、ランチタイムには、近くで働く方だけでなく、学生もよく足を運ぶという。
本郷三丁目に出かけたら、そんな風に地元で愛されているピッツェリアで、本場のナポリピッツァを味わってみるのはいかがだろうか。
取材・文・撮影=千乃あいみ