地元の人気店が合併してパワーアップ
立川の南口エリアで、かつて地元民を中心に人気を博していたイタリアンレストラン「LOJI (ロジ)」と、古民家ビストロ「Jlio (ジリオ)」という姉妹店が、建物の老朽化により、惜しまれながら約9年間の歴史に幕を閉じた。
その後、オーナーが2店舗を統合、移転・リニューアルという形で2020年8月にオープンしたのが『cafe sov』だ。料理はイタリアンが中心で、こだわりのナチュラルワインも多数用意。お酒に合う小皿料理やコース料理など、幅広いシーンで利用しやすいメニューを展開している。
奥行きのある店内は、コンクリート調のなかに木の温もりを感じる、洗練された空間だ。そのおしゃれさから、いつもは女性客を中心ににぎわっているというが、年齢や性別に関わらず誰でもゆったりと過ごせそうな居心地のよさがある。
『cafe sov』は、ちょうど「LOJI」と「Jlio」の両店をミックスしたような雰囲気になっているそう。椅子などのインテリアも前店から受け継ぐなど、さりげなく「LOJI」と「Jlio」への愛が散りばめられている。
ボリュームに驚き! 個性豊かな鎌倉野菜&名物ミートパイの欲張りランチ
おなかいっぱい食べたい人やヘルシー志向の人、どちらの願いも叶えてくれるメニューがランチタイム(11~15時)に提供しているランチセットだ。5種類あるセットの中で人気No.1のメニューが、鎌倉野菜のファーマーズサラダ&ミートパイランチ。テーブルに運ばれてきた瞬間、野菜の想像以上のボリュームにびっくり! 2、3人で分けても十分な量の鎌倉野菜を一人占めできるのは、贅沢以外のなにものでもない。
契約農家から直送される旬の鎌倉野菜たちは、実に彩り豊かだ。生野菜以外にも、グリルや和え物など野菜によって調理法を変えてあるので、味わいも食感も多種多様。特製の甘酸っぱいドレッシングも野菜の個性を引き立ててくれて、ボリューム満点の野菜を最後まで飽きずにもりもりと食べられる。
もう一つの主役のミートパイは、前店の「LOJI」時代から愛される名物だ。鶏のレバーと豚のネックを白ワインで煮込み、玉ねぎやにんじんなどの香味野菜を、じっくり炒めて作ったソフリットと合わせてパイ生地で巻いた一品で、仕上げには自家製のデミグラスソースがたっぷりとかかっている。
サクサクのパイ生地の中には、ほろほろでジューシーな肉の旨味、香り高い野菜の風味と甘み、スパイスの香りがギュッと詰まっている。一口でいろんな素材の味わいが一気に押し寄せてきて、食べるほどに深みにはまっていく。
パイ生地やソースに至るまで全て店内で仕上げているためか、手作りならではのおいしさを感じ、真心さえ感じられるようだ。ミートパイが気に入ったら、単品(825円)でオーダーもできる。ワインとの相性もぴったりなので、一品料理としてもじっくりと味わってみたい。
パティシエ特製。あふれんばかりのクリームに魅了されるクッキーシュー
『cafe sov』では、デザートも全てパティシエによる手作り。店のいちおしのデザートが、店名を冠したSOVのクッキーシュー。コロンとしたフォルムのシュー生地からはあふれんばかりにクリームがサンドされていて、見ているだけで幸せな気分になってしまう。
サクサクとした口当たり軽やかな生地の中には、カスタードとシャンティクリームの2種類を混ぜたクリームが入っている。2つのクリームをあえて混ぜすぎずマーブル状にしておくことで、カスタードを感じるところ、生クリームを感じるところと、一口ごとに味わいの変化を楽しめるところがこだわりだ。甘さは控えめなので、特に甘党ではない人でもおいしく味わえるだろう。
ランチもデザートも魅力的だが、実はディナーがこの店の真骨頂とのことで、こちらも気になるところ。料理よし、味よし、雰囲気よしの『cafe sov』は、一度足を運べば誰かにおすすめしたくなる。
取材・文・撮影=稲垣恵美