中野 純 Nakano Jun
体験作家、闇歩きガイド。負の走光性がある。おもな著書に『「闇学」入門』(集英社新書)、『闇と暮らす。』(誠文堂新光社)、『東京洞窟厳選100』(講談社)、『月で遊ぶ』(アスペクト)などがある。散歩の達人Webメディア「さんたつ」で「闇で逢いましょう」を連載中。

泣きたいときには泣くのがいいし、暗い時代には暗さを満喫するのがいい。

私は、夜の闇や月明かりを積極的に楽しむ闇遊びや月遊びを、いろいろ考えて楽しんできた。とりわけ、夜遅くから朝まで歩き通すミッドナイトハイクが大好きで、もう四半世紀以上、ハマり続けている。ミッドナイトハイクは、終電に乗って深夜の登山口から闇の森に入るのがふつうだが、せっかくだから、家から全部徒歩でミッドナイトハイクをやってみよう。

マジシロクマ

家から完全徒歩のミッドナイトハイク

山に入る必要はない。街の中だけでもいい。深夜、自宅から行けるところまで静かに歩いて行って、帰りも全部徒歩で夜明けまでに帰ってくる。ほとんど人に出会わないから3密の対極だし、「こんなとこまで徒歩圏なのか!」「徒歩圏にこんなとこがあったのか!」と、すごく楽しい。片道5km、往復10km程度でも十分だが、体力が余っていれば、片道10km、往復20kmくらい、行っちゃおう。

ムーの一族
白髭蛙

ド深夜になると、車もほとんど通らないから、道の真ん中をのんきに歩けて実に解放的。人の活動がつくり出す雑音や雑臭がなくなって、遠くのアオバズクの声や虫の音や花の香りなども感じられるし、街の中でタヌキに会う。都会にも結構いる。ハクビシンやアライグマにも会うし、郊外ではキツネを見ることもある。街の中でも、この時間は人間以外の気配だらけだ。

電柱光環
食人トンネル

深夜は人とすれ違うことはあまりないが、向こうに人影を見つけたら、急いでもいないし目的地も決めなくていいのだから、ちょっと迂回しよう。そうすると、まったくひとりにも会わずに歩けたりして、ほとんど夜の森を歩いているような状態だ。だれにも会わずに帰還すると、なにかミッションをクリアした達成感に包まれる。

鉄塔親子の月見

ほかにも、いい歳してスキップしたり、木漏れ日ならぬ木漏れ灯(び) を楽しむ穴空き傘をつくったり、魔法を使ってライトを点けたり、夜行性植物が跋扈(ばっこ)したり、公園の動物の目がマジだったりなどなど、ご近所闇には楽しみがいっぱい。さらに、自分の家の闇、宅闇でもいろいろ遊べる。プロの不審者の私が言うのだから、間違いない!