“TRYラーメン大賞”での受賞。期待の新鋭
店名を聞けば、有名競走馬である“ドゥラメンテ”を思い浮かべる人が多いと思うが、まさにその通りで、下手さんが競馬好きでこの店名になったという。スペルに“RAMEN”(ラーメン)と“TEI”(亭)が含まれていることがお気に入りなんだそう。
店内は、白を基調とした内装。全席カウンターの7席。内装について伺うと、
「そうですね。やはり内観にはこだわりたかったので」と下手さん。
シンプルでとても清潔感がある。女性1人で来店する方も少なくないという、この内装は「誰もが入りやすく、安心してラーメンを楽しんでほしい。」という下手さんのこだわりなのだ。
平日は近隣にお勤めやお住まいの方、週末はラーメンマニアからカップル、亀戸天神社の参拝者など、お子さんからご年配の方までさまざまな層が来店する。2023年4月にオープンして間もないのに人気なワケがある。
『DURAMENTEI』は講談社が発行する日本のラーメン情報雑誌で発表されるアワード、TRYラーメン大賞の「2023-2024新店部門しょう油」第5位を受賞。現在、話題沸騰中の新鋭店舗となる。
券売機で食券を買うスタイルだ。メニューを見てみよう。支那そば、味玉そば、それぞれ白と黒、そして、下手さんがワンタン麺の名店『八雲』で働かれてたことから、ワンタン麺もメニューに。下手さんのおすすめは肉と海老ワンタン麺。今回は贅沢に白・黒の2種類のラーメンを注文。
これが淡麗系スープの究極体‼
今回、調理工程を特別に見せていただいた。
はじめに具(海老・肉)それぞれをワンタンに包む作業から始まる。ワンタンの具もチャーシューも全て下手さん自身が作っている。
チャーシューの仕込みは国産の豚肩肉を2日間特製しょうゆダレに漬け、スチームコンベクションで低温調理する。さらに提供直前にオーブンで焼き色をつけることで、しっとりと柔らかく、味のしみ込んだチャーシューになる。
麺は『三河屋』の製麺を使用している。全粒粉入りの中細麺ストレートだ。さまざまなサンプルを試し、今の麺に落ち着いたそう。麺をよく見てみると、全粒粉の殻を粗く挽いたものが見える。
ラストはスープで完成。出汁とタレ(カエシ)を合わせたものがスープになる。
白・黒それぞれ違うカエシ(しょう油)を使用している。白は茨城県龍ヶ崎市、『清原醤油醸造店』の白醤油、黒は香川県小豆島、『正金醤油』桶仕込濃口純を使用している。
ラーメン一杯に、全国各地から素材を仕入れ、麺からスープまでこだわっているのだ。
シンプルな具材に、ひと際目立つワンタン。透き通ったスープ。完璧な一杯。いただきます。
まずは黒のスープを一口すすってみると、魚介系のコクのあるダシが口触りよく喉を通る。そこからまろやかな旨味が広がり、程よい塩味と調和している。
続いて、白はどうだ。透明感ある魚介スープは、まろやかであるが、濃厚さとは異なる、さっぱりとした後味が心地よい。これが淡麗系スープの究極体である。
麺はどうだろうか。滑らかに喉を通る中細麺ストレートはスープの風味をしっかり引き立てる。さらに全粒粉の力強い香りの存在感がスープとの相性抜群だ。おいしい。すごく上品。
チャーシューも程よい分厚さでとても柔らかい。
さあ、お待ちかね。ワンタンを食べてみよう。海老はプリプリ、肉はギッシリ。ワンタンの皮も三河屋から発注している。このワンタンの皮がもちもちして、具の弾力との触感を堪能できる。
あっという間に完食。ワンタンのボリュームのおかげでとても満腹感がある。
謙虚な姿勢が導くラーメンの極み
『DURAMENTEI』は「毎日でも食べたいと思えるようなラーメン」をコンセプトに掲げている。スープには化学調味料を一切使用していない。
「旨味は化学調味料一振りで簡単に再現できる。でもそれじゃ満足できなかった」と語る下手さん。ワンタンの具も無添加を使用。安心してラーメンを食べれるよう、お客様の健康を気遣う気持ちが、コンセプトに繋がっている。そんな下手さんに、今後の目標を聞いた。
「まあ、ずっとラーメン屋を続けることかな。やっぱり、維持するということは簡単じゃないかと」
とても謙虚な姿が、ラーメン大賞受賞という結果に繋がっているのだろう。
なお、今後は地元広島に出店したいとのこと。
「まずは今の店を安定させて良い弟子が見つかればかなと。自分1人でやれるところまでやろうと思っています。」
自分を飾らないそんな姿がかっこいい。
/営業時間:11:00~15:00・ 17:00~20:30(日・月・木は~15:00)/定休日:火/アクセス:JR総武線亀戸駅から徒歩10分
取材・文・撮影=村松輝人