透明でキラキラしたスープ、一口で魅了されてしまう

チャーシューも脂がのっておいしい。
チャーシューも脂がのっておいしい。

まずはスープを一口。うまい! 透明なスープがキラキラと光っている。醤油ベースであっさりとしていながらも、コクがあるスープ。スープだけを飲み干してしまいそう。

続いて麺。ストレートで細い麺。ツルツルとのど越しも滑らか。ちぢれ麺ではないところに、食べやすさを感じた。チャーシューは薄いけれど、丼を覆うほどの大きさのものが2枚。ブランド豚を使用しているのだそうだ。薄いのにしっかりとした食べ応えがあり、適度な脂が乗っていてる。

今も試行錯誤!ラーメンの追求は続く

藤崎さんは、いまでも理想の味を求め続けている。
藤崎さんは、いまでも理想の味を求め続けている。

「レシピはまだ固まっていなくて、常においしいラーメンを追求しています。さらにメニューを広げたいという気持ちはもちろんあるのですが、まだラーメンの完成ができていないので、今のラーメンをおいしいものに仕上げていきたいと思っています。それこそ、オープン当初は鶏と水のみをつかった、もっとクリアな味のスープだったんです」と藤崎さん。

さらに、素材へのこだわりも深まり、地鶏・ブランド豚・天然醸造の醤油などを使用している。採算を度外視してでも追求していきたい。おいしければ、お客さんもよろこんでくれるという思いなのだ。

何杯でも食べられそうな味付けにやみつきになりそうだ。
何杯でも食べられそうな味付けにやみつきになりそうだ。

お客さんが食べ残したスープの量を確認し、1週間、2週間と食べ残しの量が多くなっていれば受け入れられていないと感じ改良する。

「“扁桃体にささる”ラーメンを作りたいんです。というのもおいしいものを食べた時に、扁桃体から幸せな気持ちになる物質が出るといわれているんです。お客さんがおいしさに感動してくれるラーメンを作りたいですね。さらに僕の個性をラーメンに出したい。麺が太いとか、細いとか、そういった単純なものではなく僕の今までの経験や、真剣に取り組んだ結果できあがっていく、そうした僕だけの個性がつまったラーメンを作りたいと考えています」と藤崎さんの熱い思いが伝わってくる。

清潔感のある入り口。開店前から行列ができてしまう日も多い。
清潔感のある入り口。開店前から行列ができてしまう日も多い。

「高校時代にたまたま東京でラーメンを食べたんです。豚骨魚介系のラーメン、これがめちゃくちゃ旨かったんですよ」と藤崎さんは当時を思い出す。

「地元の茨城では、まだ豚骨魚介系のラーメンがなかったのと、東京のラーメンがどのお店もおいしくて驚きました。もともとラーメンは好きだったし、お店を持ちたいなぁというのもありましたね」。それから藤崎さんは、経営を学ぶために大学に入る。

大学時代に、すでに結婚をされた藤崎さん。

「大学卒業後は、商社に勤めていました。仕入れや見積もりなど多くのことを学べて、このまま会社勤めをしていくのも悪くないと思うこともありました」

でもラーメンのお店を出したいという気持ちは、高校生の頃からの夢だった。ラーメン店で修業をしよう。藤崎さんは2年で会社を辞めて、ラーメン店で修業をすることになる。

「会社員時代ももちろん大変でしたけど、修業も大変でした。でも妻の後押しがなかったら、ラーメンはやっていなかったかもしれない」

いま『麺 ふじさき』があるのは、家族のおかげでもあるのだ。きっと奥さんも藤崎さんのラーメンに対する情熱に、心を動かされていたのだろう。

お客さんによろこんでいただけるために

藤崎さんのラーメンに対する思いは、とても熱い!
藤崎さんのラーメンに対する思いは、とても熱い!

話を聞いていて感じるのは、藤崎さんのラーメンに対する思いの強さ。

「お客さんがよろこんでくれると一番うれしいです。賞もいただきましたが、それよりもお客さんがよろこんでくれる、おいしいといってくれることを一番大切にしたいと思っています。食材も良いものを仕入れて、味を追求しています。利益を考えずに、良いものを仕入れているので経営者としては失格かもしれません」と笑顔で話してくれる。

だからこそ『麺 ふじさき』は繁盛しているのだろう。

お店は亀戸駅から10分ほど歩く場所にある点、駐車スペースもないという点では少し不利な場所にある気もした。しかし、開店前から行列ができる人気店だ。人気の理由が味であることに間違いない。おいしいラーメンを提供してくれるお店であることに加え、藤崎さんの根底にあるお客さんへのホスピタリティや、現状に満足せず常に攻めていく姿勢。これも人気店の理由なのだ。

そして藤崎さんのラーメンの追求はこれからも続いていくのである。

住所:東京都江東区亀戸2-8-11 アドリーム亀戸 1F/営業時間:11:30~14:00(土・日・祝は~15:00)・18:00~20:15 /定休日:火/アクセス:JR総武線亀戸駅から徒歩10分

取材・文・撮影=アサノカツヒト