ここ数年、多様性やダイバーシティという言葉が広まってきて、日本人の価値観も様々になってきています。そうなると、神社でのお願い事も100人いれば100通りあっても不思議ではありません。今回は、そんな時代にもマッチする東京の「珍しいご利益」のある神社をご紹介します!

『宝来宝来神社』天狗がバイクの神様?ライダー御用達の神社【熊本県】

熊本県、雄大な阿蘇の自然の中に赤い社殿が点在する場所があります。こちらは『宝来宝来(ほぎほぎ)神社』。

阿蘇の雄大な自然の中に立ち並ぶ朱塗りの建物。
阿蘇の雄大な自然の中に立ち並ぶ朱塗りの建物。

平成16年(2004年)のこと、重機を使ってこの地の造成工事が行われている際、大きな岩を壊そうとすると、重機が故障して動かなくなりました。

重機を修理して再度壊そうとするも、同じ結果に。

そんなある夜、重機の運転手の夢にその岩が登場し宝くじを買うよう話します。運転手が宝くじを買ってみると、大金が当選!

それをきっかけにこの神社が建立され、宝くじの当選祈願や金運アップの神社として親しまれています。

鳥居に「バイク」というカタカナは不思議な違和感。
鳥居に「バイク」というカタカナは不思議な違和感。

さらに境内には、様々な社殿が立っています。その中には『バイク大明神』なる社も。

バイク大明神には天狗が祀られる。
バイク大明神には天狗が祀られる。

バイク大明神の社殿の中には天狗が。

天狗は古来から、人間が調子に乗っている時に戒めてくれる存在です。

また、天狗は山の神様でもあることから、阿蘇の山を縫うように駆け回るバイク乗りの方々がお参りに来るのです。景観もよいため、たくさんの人が無事故祈願に訪れています。

『歯神社』虫歯にも効く神社が都会の真ん中に【大阪府】

鳥居の掲額もストレートでわかりやすい。
鳥居の掲額もストレートでわかりやすい。

大阪市の中心部、梅田のビル街の隙間に『歯神社』という珍しい神社があります。

その名の通り、歯痛などにご利益があるとされる神社です。

元々の興りは数百年前。現在の梅田周辺が大洪水に見舞われそうになった時に、地元の人が祀っていたお稲荷様の御神体である大きな石が、流れてくる大量の水をせき止めて、街を浸水の被害から守った出来事がありました。

洪水を「歯止め」したことに始まったこの神社が、いつの頃からか口の中の歯にまつわるご利益が得られる神社として信仰されるようになったのです。

周辺は梅田のビル群。
周辺は梅田のビル群。

現在は、歯医者さんや歯科技工士、またそうした職業を目指す学生さんがたくさんお参りにきているそう。

様々な神社仏閣を見てきた筆者の個人的解釈としては、どう節約しても色々な物入りでお金が出て行ってしまうことも「歯止め」してくれるような、他の神社とは少し方向性の違う金運アップもあるのではないでしょうか。

ちなみに実は私ツバキング、先日酔っ払って転倒して前歯を2本折ってしまいました。

歯神社に訪れた時、もっと敬虔にお参りしていればこんなことにならなかったのかもと、思ったりしております。

『貧乏神神社』棒で叩いて蹴飛ばして!日本一暴力的な神社?【長野県】

貧乏神だって神様。
貧乏神だって神様。

神社仏閣での参拝方法といえば、合掌や柏手が一般的。

しかし今回は、暴力的でアクロバティックな参拝方法をとる神社をご紹介いたします。

長野県茅野市にある『貧乏神神社』。

神社でこの行為はどこか背徳感も。
神社でこの行為はどこか背徳感も。

こちらの参拝方法はまず、御神木を貧棒(びんぼう)と呼ばれる棒で3回ぶっ叩くというもの。貧棒でぶっ叩いた後は御神木に3回蹴りを入れます。

参拝方法の説明書きにもある作法とはいえ、御神木を蹴るのはさすがに憚(はばか)られますが、思いっきりいかないとご利益がないのだそうです。

貧乏神に豆を投げつける筆者。
貧乏神に豆を投げつける筆者。

そして次は、大樽の中に祀られた貧乏神と対峙。用意された豆を鷲掴みにして投げつけます。その際には大きな声で「貧乏神、出て行けー!!」と叫ばなくてはいけません。

おかしな参拝方法にも感じますが、豆をぶつける行為については、節分でもおなじみの豆まきが思い出されます。

これは「魔を滅する」という意味を持ち、古くから行われてきた風習です。

また、この貧乏神神社はロケーションも特殊で、『丸井伊藤商店』という味噌店の一角にあります。

長野の旅で、ご自身についた貧乏神を払ってみてはいかがでしょう。

『七郎権現社』咳が出たらお薬と神頼み【福岡県】

わかっていても通り過ぎるほど隠れた場所に建つ。
わかっていても通り過ぎるほど隠れた場所に建つ。

福岡県と佐賀県の県境、海辺の幹線道路沿いにひっそりと祀られているのが、『七郎権現社』です。

こちらの珍しいご利益は「咳止め」。

このとてもわかりにくい立地とご利益には関係があります。

身を隠しやすい藪の中の窪地に社がある。
身を隠しやすい藪の中の窪地に社がある。

昔、七郎という男が敵から身を隠すため、この藪の中に身を隠しました。

しかし、寒かったこともあって七郎は咳をしてしまったのです。それにより、敵に見つかってしまった七郎は自害してしまいました。

それを哀れんだ村人たちが、この場所で七郎を供養して神様として祀ったのです。

そこから、咳が出ないようにと願う人がお参りに来るようになりました。

おもちゃの刀が山積みに。
おもちゃの刀が山積みに。

また、ご利益だけでなくその光景も珍しいものがあります。

山積みにされた、プラスチック製のおもちゃの刀。

ここでは古くから、お参りや祈願が叶うと、木刀をお供えする風習がありました。木刀が手に入りにくくなった現代、それがおもちゃの刀に変化して、今でもこうして奉納されているのです。

 

珍しいご利益の神社仏閣は、ニッチなお願いにもフィットするだけでなく、広く「開運のご利益」と言われるより専門性が高くて、より効果がありそうな感じもしますね!

あなたにぴったりな神社が見つけられたら、お参りに出かけてみましょう!

写真・文=Mr.tsubaking