立川に上陸したトマトらーめんの店
立川駅の北口から約8分歩くと現れる『らーめん カッパファクトリー(FC)』。辛ごま味噌らぁ麺など独創性あふれるラーメンを提供していた「らぁ麺 THE FACTORY」が、福生をはじめ都内や埼玉に展開するラーメン店のグループ、(株)カッパジャパンとコラボして誕生した店だ。
(株)カッパジャパン初のフランチャイズ店として、トマトらーめんやとまと味噌つけ麺など“カッパ系列”おなじみの看板メニューを提供している。
カウンター席のみのこぢんまりとした店内には、カッパ系列のファンと、旧店「らぁ麺 THE FACTORY」のファンが混在している。駅から少し離れた立地にありながら学生からビジネスマンまで客層は幅広く、リピーターも多いそうだ。
独立後に生まれ変わった店で再出発
店長の篠崎智好さんは、祖母がケーキ屋を営んでいたり、親戚がさくらんぼ農家だったりと、子どもの頃から食にまつわる仕事が身近な環境で育ってきた。そして自身も19歳でラーメンの世界へ入り、三鷹の『健やか』など名だたる店で腕を磨いていく。
その後『健やか』の社長から誘いを受け、2022年に前身の「らぁ麺 THE FACTORY」を立ち上げる。立川に店を構えたのは、高校生時代を過ごした思い出深い街だからだそう。
「前の店では、辛みのある味噌ラーメンにごまダレを加えた個性的なラーメンを作っていました。僕自身、我が強いので(笑)。ただ『健やか』出身とうたって店をオープンしたので、ギャップが生じてしまい思うようにはいきませんでした」
そんななか、(株)カッパジャパンと縁があり2023年7月に“カッパ”と“ファクトリー”を融合した『らーめん カッパファクトリー(FC)』として生まれ変わる。メニューはすべて入れ替え、カッパ系列の顔といえるトマトらーめんを提供するように。カッパ系列の店は店舗ごとにメニュー構成が異なり、『らーめん カッパファクトリー(FC)』では月替わりの限定ラーメンで、篠崎さんの個性が詰まったラーメンを味わえる。
トマトの旨味がぎっしり! 魚介も香る新感覚ラーメン
今回は、人気ナンバーワンの特製トマトらーめんとチーズごはんのセット1450円をチョイスした。特製トマトらーめんは、通常のトマトらーめんにチャーシュー2枚(計4枚)と味玉が追加された贅沢な一品だ。
カウンターに運ばれてきた瞬間、真っ赤な輝くスープがなみなみと注がれた、迫力満点の一杯に思わず息をのむ。分厚くカットされたチャーシューのインパクトも抜群で、見た目から一気に心を掴まれてしまう。
「スープの赤い色は唐辛子とかではなく、すべてトマトの色です。まじトマトっす(笑)」と笑顔で説明してくれた篠崎さん。
豚骨魚介系のスープに秘伝のトマトスープを合わせたラーメンは、洋風になりがちなトマトらーめんをしっかり“ラーメン”として成り立たせている。トマトの存在は「これでもか!」と感じられるのに、ラーメンらしい複雑な出汁の風味もちゃんと主張していて脱帽してしまう。
一口食べれば食べるほど、トマトの旨味に溺れていくようなラーメンだ。
スープに絶妙に絡むのは、自社で手打ちしたオリジナルの細麺。歯切れがよく、もちもちとした食感の麺もトマトらーめんの旨さを確実に底上げしてくれている。
チャーシューは、低温調理の豚ロースと煮豚のバラ肉。2種類のチャーシューの、味わいと食感の違いが楽しい。トマトに合わせてセレクトされたキャベツ、もやし、玉ねぎなどの野菜たちもシャキシャキとした食感でアクセントをくれる。
濃厚なトマトのスープは満足感がすさまじいのに、実は化学調味料不使用なところもうれしい。今までトマトらーめんに抵抗があった人もぜひ味わってみてほしい。きっとイメージを変えてくれるはずだ。
こんがりとした焦げ目がたまらないチーズごはんは、炙ったチーズに醤油ダレがかかっており風味豊か。そのまま食べるのはもちろん、ラーメンの残ったスープにチーズごはんを入れてリゾット風にアレンジもできる。一度試したらやみつきになること必至の、反則級コンビだ。
ラーメンを食べたあとは、(株)カッパジャパンの全店共通で使えるポイントカード「kucca(クッカ)」の存在も忘れてはならない。カッパをモチーフにしたカードは、某ICカードにそっくり(!)なデザインでくすっと笑える。店舗によってスタンプのマークが異なるため、スタンプラリー感覚でコレクションしてみよう。
取材・文・撮影=稲垣恵美