いよいよ始まる紅葉シーズン そもそもなぜ葉が色付くの?

そもそもどうして葉は秋になると色付くのでしょうか?

実は、紅葉とは葉の老化現象のようなものなのです。

夏の間は、葉は若々しい緑色をしていますよね。これは「クロロフィル」という色素があるためです。クロロフィルは葉が光合成によってエネルギーを作る時に働きます。秋になり気温が低くなると、日差しも弱まっていくため、葉はエネルギーの生産活動を徐々に抑えるようになります。すると、クロロフィルは分解され緑色が薄まっていき、いよいよ紅葉が始まります。

このタイミングは大体気温が8℃以下になる頃だといわれています。

真っ赤に染まったモミジはまさに秋の風物詩。
真っ赤に染まったモミジはまさに秋の風物詩。

赤く色付く葉には、光合成によって作られた糖分と日光が反応して「アントシアニン」という色素ができます。アントシアニンはりんごやぶどうなどにも含まれている色素で、アントシアニンによって葉は赤く染まります。イチョウなどの黄色く色付く葉は、もともと黄色の色素・カロチノイドを持っています。クロロフィルがなくなると、カロチノイドが目立つようになるため、葉は黄色く変化するのです。

”フレッシュなグリーンの若葉”から”赤や黄色に染まり成熟した大人の葉”へ……紅葉のように美しく年を重ねていきたいものです。

イチョウ並木の紅葉は都会ならではの景色。
イチョウ並木の紅葉は都会ならではの景色。

きれいな紅葉が生まれる気象条件って?

年によって葉の色付きには多少の差がありますが、きれいな紅葉が生まれるには、気象条件が深く関わっています。

鮮やかに色付くためには、1日の気温差が大きくなることが必須です。秋といえば、日中は過ごしやすくても朝晩は冷えて、体調を崩しやすくなりますよね。この寒暖差こそが美しい紅葉を生み出します。このほか、十分な日照時間があること、葉が台風などによってダメージを受けていないことも重要です。

2023年は秋になっても気温が高く、季節の歩みはスローペースです。山沿いの地域を除き、例年に比べて紅葉の見ごろも後ろ倒しになるかもしれません。紅葉鑑賞の散歩計画は、ゆっくりと進めてもよさそうです。

ライトアップされた紅葉を眺めながら、夜の散歩を楽しむのも風流だ。
ライトアップされた紅葉を眺めながら、夜の散歩を楽しむのも風流だ。

青空チャンスをねらうなら「高気圧の位置」にも注目を

鮮やかに色付く紅葉。目に焼き付けるのもいいですが、せっかくなら写真に収めて見返したいですよね。紅葉の写真を撮るなら葉がよく映えるように、晴れてすっきりとした青空の広がる日をおすすめします。

ですが、天気予報で晴れと聞いたのに意外と曇っていた……そんな経験はありませんか?

天気予報では空全体を見渡して雲が全くないか1割ほどある状態を「快晴」、2割から8割ほど雲がある状態を「晴れ」といい、9割以上を雲が占めると「曇り」としています。このため、一概に晴れといってもイメージした通りの空ではないかもしれません。

澄んだ青空は鮮やかな赤がよく映える。
澄んだ青空は鮮やかな赤がよく映える。

どうしても青空をねらうなら、少しマニアックですが天気予報と合わせて「天気図」にも注目してみてください。

たとえば、図1の天気図では、晴れをもたらす高気圧が日本付近をおおっていますが、高気圧の中心は北日本に偏っています。こうした時は高気圧の縁に沿うようにして、海から湿った空気が流れ込むため、関東では雲が広がりやすくなります。

図1。高気圧の周辺では時計回りに風が吹く。海から湿った空気が流れ込み、関東では雲が広がりやすくなる。※ウェザーマップ提供
図1。高気圧の周辺では時計回りに風が吹く。海から湿った空気が流れ込み、関東では雲が広がりやすくなる。※ウェザーマップ提供

図2のように高気圧の中心が本州付近にある時は、関東はすっきりと晴れて青空が広がることが多いです。

図2。高気圧の中心は本州付近にある。関東は晴れて、すっきりとした青空が広がる。※ウェザーマップ提供
図2。高気圧の中心は本州付近にある。関東は晴れて、すっきりとした青空が広がる。※ウェザーマップ提供

テレビの天気予報などでもおなじみの天気図は、気象庁のウェブサイトやお天気アプリなどでも見られます。

ぜひチェックしてみてくださいね。

写真・文=片山美紀

参考
『史上最強カラー図解 プロが教える気象・天気図のすべてがわかる本』岩谷忠幸 ナツメ社
キヤノン株式会社 キヤノンサイエンスラボ・キッズ 光のなぞ光や色のたのしい知識がいっぱい!光の“正体”は? 紅葉のしくみ
https://global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_01_15.html