数々の名店を取材してきた町中華探検隊が、中華にとどまらず和食や洋食も併せ飲む「町中華」の気になるメニューを研究。前編では、テーマとなるメニューを扱う町中華の名店を取材。後編(5月5日更新予定)ではそのメニューについて隊員が大いに語り合います。第8回のテーマは「酢豚」。トロ隊長のお気に入り、荻窪『光陽楼』の味とは?

外れるとがっかり感大、実は頼むのに勇気がいるメニュー?

半澤

待望の酢豚回ですね。意外と今まで取り上げていなかった!!

マグロ

酢豚は小説で知った料理なんですよ。野坂昭如の小説『エロ事師たち』の登場人物に「スブやん」というのがいて、酢豚が好きだからつけられたニックネームだったんです。それを知り、あぁ、酢豚というものを食べてみたいなって思ったのが最初です。

トロ

僕はわりと早くて、初めて知ったのは小学生のときだと思う。中国料理店みたいなところで、酢豚ってごちそうなんだと思った記憶があるなあ。

マグロ

そうなんです、ごちそうなんですよね。

山出

酢豚は嫁さんが好きで、すぐ頼もうとするのですが、自分はさほど好きでなくいつもケンカになります。酸っぱいところ、チョイ高価なところが不満(笑)。

増山

私は大好きだけど高くて頼めない印象ですね。豚はほかの料理でいくらでも使っているし、エビとかいろいろ入っている中華丼の方が高くてもよさそうな感じがするのですが。

半澤

確かに高級なのですよ。一品料理で店の最高額メニューなんてこともありますね。

トロ

町中華酢豚の謎は、単品だと店で一番高いメニューなのに、ランチにも気軽に登場すること。

増山

以前某店で、作るのが面倒くさいからあえて高くしてオーダーが入らないようにしている、という話を聞きました(笑)。

山出

リーズナブルな値段だと思って、頼むと貧相だったりしますね。

トロ

甘さと酸っぱさの同居なので店ごとに全然味が違う印象があり、外したときのショックが大きくてなかなか頼めない!

マグロ

大学生のときに食べに行ったら、あまりの高さに手が出ませんでした。外したガッカリ感も大きいですね。昔、脂身だけの酢豚があって、げんなりしましたね。

山出

打率の低いホームランバッター?

半澤

そうですね、打率は低いが、当たればでかい!

増山

当たりさえすれば大大大好きなメニューです。

黒酢にパイナップル、ついつい語りたくなる酢豚トピックス

マグロ

そうですね。僕もビジュアル、かなりそそられます。食品サンプルにつられて注文し、ガッカリっていうことが多かったですね。

増山

ところで、とんかつは酢豚に比べると比較的すんなり出してもらえるという不思議……酢豚に独特の何かがあるのかな。

トロ

酢豚をちゃんと作ると、工程が多いんじゃないかな。あと、はやりの黒酢はどうでしょう? 僕は苦手なんだよなあ。

半澤

僕は嫌いじゃないですけど、酢がきつすぎるのは苦手ですね。

マグロ

黒酢、自分は好きですよ。黒酢で野菜なしの豚肉オンリーという酢豚がありますよね。豚も揚げてなくて。でも酢豚というネーミング。

増山

私は黒酢LOVE。マグロ副長が言ってらっしゃるタイプは、定食じゃなくて単品でお酒と飲むためのものって感じしますよね。

山出

自分は黒酢チョー苦手! 香りが苦手なんです。

半澤

意見が分かれるところですね。それと、酢豚といったらパイナップル問題も語っておかないと。みなさん許せますか?

増山

私は許すどころか大歓迎ですが、みなさんはどうですか?

マグロ

今はもうないのですが、荻窪の教会通りにあった「福龍」というお店がわりとリーズナブルだったので、お昼によく食べていたんです。ちょうどその頃でしょうか、酢豚にパイナップルが入っているのは許せるか許せないか問題が勃発しましたね。

半澤

パイナップルは小さいときは嫌だったけど、今はアリかなあ。が、昔ほど見ないような。

マグロ

ああ、そうなんですよ、半澤隊員。僕もパイナップル、昔は嫌だったけど、今はOKというかむしろ好きです。

トロ

パイナップルは果物の王様ですからもちろんOKよ!

近所にあったら通いたくなるレベルの『光陽楼』酢豚!

増山

ほんとこれは仮説でしかないんですけど、酢豚がハズレの店の場合、作ってるオヤジが酢豚好きじゃないという可能性も? やっぱりお客さんのリクエストとはいえ、作っている人がおいしいと思ってないと味がぼんやりするというか、自信作として味を磨こうという気にはなりにくいと思うのです。酸っぱいの嫌いな人ってけっこういるので。

半澤

そういう意味では、『光陽楼』の佐京さんは酢豚愛がある方だと思います!

マグロ

『光陽楼』の酢豚は超お値打ち。お肉がしっかりしてましたね。おいしかった! 光陽楼さんの酢豚、近所にあれば、通いたくなるレベルでした。やさしい酸っぱさはレモンだとおっしゃってましたね。

山出

酸っぱいの苦手ですが、『光陽楼』さんの酢豚の酸味は爽やかでよかったです。

マグロ

火を止めてすぐにレモン1個をしぼるそうです。レモンには火を入れないのがポイントだとか。

トロ

そうそう、レモン! ツンとしない。

増山

レモンの酸っぱさって酢よりも親しみやすいですよね。

山出

人参も油を通ってほっくりしてました。ピーマン、玉ねぎはシャキ!

半澤

そう、肉に目が行きがちですが、野菜も主役なのが素敵でしたね。

マグロ

『光陽楼』もそうですけど、おいしい酢豚は残ったタレをメシにかけたくなりますね。

半澤

タレでおかわり、みたいな店が理想的です。

トロ

生卵付きも初体験でした。あと漬物がいい仕事してたね。

半澤

確かに、定食という総合力でも『光陽楼』はスゴいんですよ。スープもきのこが入っていておいしい。

山出

『光陽楼』の親父さんが「あちこち仕事で回っているガテン系のお客に褒められるとうれしい」と言ってらっしゃいましたね。『光陽楼』さんは定食としての完成度高い!

増山

単品ではなく絶対定食でいきたい酢豚ですね!

次回のテーマは「あんかけ焼きそば」。前編6月1日/後編6月5日の更新(予定)をお楽しみに!