ピエール瀧

1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。
近著は「ピエール瀧の23区23時 2020-2022」(産業編集センター)。

1年半ぶりのモンチッチ公園

―― 今回は始める前に、2023年8月8日付の東京新聞朝刊で、この連載に関わりそうなニュースが掲載されていたので、要約して紹介します。

 了解。よろしく。

―― 「都心の公園で遊具が減っている」という内容です。「2002年に国土交通省の指針に沿って、遊具メーカー各社が『遊具の安全に関する基準』を策定し、これにより“安全領域”が公園内に設けられることになった。これは“子供が遊具から落ちたり飛び出したりして事故になりそうな範囲には何も置かない様にしよう”という意味。その結果、土地が狭い都心部の公園からは遊具が撤去される様になり、多いところだと江戸川区は167の公園で遊具を撤去していた。更に怪我を防ぐために遊具が小型化、そして狭い範囲に多種類置くために複合化が進んでいる。そして大人向けの健康遊
具の設置も増えてきている」とのことです。色々と腑(ふ)に落ちるところがありますよね。

なるほどね。うちの近所の猫の額みたいな公園でも、真ん中にドーンって設置してあった滑り台みたいなやつが15年くらい前に撤去されたもん。そういうことだったんだな。

―― あとは小型のロッキング遊具、またがって乗るヤツですね、それもバネのものじゃなくて、完全にガチッと固定されてるやつが増えているそうです。安全への配慮ということで。

ぐにゃぐにゃ揺れないってことはさ、もうそれは動物や乗り物の形をした動く椅子だよね(笑)。

―― 本当そうですね(笑)。そして、動物といえば今回の公園ですよ。モンチッチ公園! 久しぶりですね。ミニミュージアムにもなってるモンチッチゾーンと、遊具が置いてある広場と、二つに分かれてます。

 矢吹くんと一緒に23区を歩いた、『ピエール瀧の23区23時 2020-2022』で以前来たよね。一年半ぶりか。

―― でもあの時は深夜に来たから、このモンチッチゾーンは開いてなかったんですよね。夕方には閉まっちゃうので。

そうそう。なので、改めて昼間に来てみましたよ、と。こっちのゾーンには初めて入るけど、モンチッチを作ったセキグチのドールミュージアムって趣だよね。

―― おっしゃるとおりで、色んなモンチッチのシンボルモニュメントや、モンチッチができるまでの歴史が園内で紹介されてます。葛飾区はセルロイド発祥の地なので、その辺の解説から丁寧にされてますね。

 ほほう。モンチッチの噴水で水遊びもできるようになってるんだな。

ここでちっちゃい子がビショビショになってる姿はいいよね。それと、夜来た時は気づかなかったけど、ベンチの上にある屋根とかにも、モンチッチがちゃんといるんだね。

この天使のモンチッチのモニュメントもかわいいな。ここにあるモンチッチの数々ってさ、ハードコアなコレクターにしてみたら、喉から手が出るほど欲しいだろうね。全部一点物のモンチッチだろうし。

ちょっとした仕掛けは現地で確かめてください

―― こっちで歴代のモンチッチがパネルで紹介されてます。オズの魔法使いモンチッチ、忍者モンチッチ、色々あるんですね。

実は俺もさ、モンチッチを一体作ってんのよ。宇川(直宏)くんの奥さんのジェナちゃんて、モンチッチのコレクターなの。もうセキグチと直で話ができちゃうくらいの。それで「色んなアーティストが考えたモンチッチを展示する企画をやるから、瀧さんも参加して欲しい」って言われて、俺が作ったのが天ぷらモンチッチ。

―― 何度見ても笑えますわ(笑)。

 人形の毛の部分を食品サンプルの天ぷらの衣にしてもらったのよ。モンチッチをからっと揚げてみました的なさ。あ、東屋のところに秘密のボタンがある! これは押してみよう……はあ~、こうなるのか(笑)。これは来た人のためのお楽しみということで、写真を載せるのはやめとこう。

―― 読者に散歩しながら実際に確認してほしいですよね。フォトポイントがあるんで、一枚撮りましょうか。

 そうね。ここはおっさんなら確実に笑える写真が撮れるな。もしここに来るならさ、やっぱノリノリな気分で来るべきだよね。今回もこのモンチッチTシャツを用意してもらったけどさ、どうせ来るなら上から目線というよりも、「やった! モンチッチだ~!」っていうマインドで来る方が正解な気がする。まあでもこっちはこんな感じか。見て楽しむエリアだったね。

―― そうですね。じゃあ横の広場を抜けて、行ったことのある遊具エリアの方へ移動しましょうか。

 区の公園としてのエリアね。この遊具が置いてあるエリアなんだけどさ、さっきの話を体現した様なスペースだわ。複合型遊具があって、安全領域があって、大人向けの健康器具もある。

モンチッチに乗る遊具も、バネじゃなくて前後限定の動きで固定されているし。

でもこれからはこうなっていくんだろうな。このちびっこひろばのゲート、モンチッチが十二支になってるのに今気づいた!

申年はそのままでもいいのにな(笑)。遊具の周りは地面もフッカフカで、安全感ハンパないな。ここって、いつ出来たんだっけ?

―― この形で完全に開園したのは2022年4月2日みたいですね。

そんな最近なんだ! じゃあもう完全に現代のフォーマットの公園だわな。最新の公園らしく、もうゴミ箱も無いしね。ただ、中学生くらいから上は秒で飽きちゃいそうだな。

―― 4歳の娘がいる身からすると、安全安心ではありますけどね。

 確かにね。周囲を金網で囲われてるからさ、どっか行っちゃった!とかは無さそうじゃない。

―― 新小岩駅前からモンチッチのラッピングバスも出てるんで、親子連れだとそれに乗って来てもいいかもしれないですよね。この公園の前に停まりますし。

 うんうん。でもさ、新小岩の駅からここまで川に沿って歩くと、上平井水門とか、かつしかハープ橋が見られるじゃない? あれってすごい葛飾区らしい光景だからさ、『散歩の達人』的には、やっぱり歩いてきてほしいよね!

葛飾区・西新小岩五丁目公園(モンチッチ公園) Data

モンチッチ度:★★★★★
セルロイ度:★☆☆☆☆
葛飾度:★★★★☆

水飲み場:あり  トイレ:あり
自販機:なし  灰皿:なし

※駐車場なし

住所:東京都葛飾区西新小岩5-2-4/営業時間:モンチッチゾーンは9:00~18:00(10~3月は~17:00)/定休日:入園自由/アクセス:JR総武線新小岩駅から京成タウンバス「市川駅」行きバス約10分の「上平井町」下車、徒歩3分

構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2023年10月号より

――毎月ピエール瀧さんと一緒に公園の魅力を探求していく「ファンキー!公園」!第5回は調布市・「鬼太郎ひろば」に来ました。2015年に亡くなった、調布市名誉市民の漫画家・水木しげるさんの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するキャラクターのオブジェや遊具が楽しめる公園で、2019年に開園しました。かなり新しい公園です。(C)水木プロ