エビが好きでトマトも好き! 新しい味との出会いを楽しめるラーメン
エビの出汁が効いたラーメンはおいしい。太陽の光をたっぷり浴びたトマトも大好きだ。
しかし、この2つをまとめてラーメンとしていただくという発想はなかった。エビとトマトを合わせて食せるラーメン店が開店したと聞いて興味津々。早速、新宿へ向かった。
今回の目的のお店は新宿にある『東京海老トマト』。エビとトマトという、そのままの店名だが、ストレートに新しい味のラーメンと向き合っているように感じ、好感が持てる。
店は新宿西口から小瀧橋通りを大久保方面へ少し歩き路地を入ったところにある。新しい味との出会いに期待しながら店に入ると、店内には厨房を囲むようにコの字のカウンター席が並ぶ、ラーメン屋台を感じるようなほっとする空間だ。
「2023年8月に開店しました。もともとは50年以上の歴史あるラーメン店だったんですが、店主が高齢で引退したタイミングでお店を引き継いでリニューアルし、海老トマトラーメンのお店にしました」と教えてくれたのは店長の清家史哉さん。
「この周りは有名ラーメン店が多く、ラーメン激戦区ともいえる場所なんで、ほかと違う個性のあるラーメンを出したいなと考えたんです」。なるほど、確かにエビとトマトの組み合わせは注目を集めそうだ。
「海老が大好きで、さらにトマトスープも大好きなんで、だったら両方合わせたラーメンで挑戦してみようということになったんです。」と清家さん。エビ出汁とトマトの味わいのバランスを十分に研究し、自慢の一杯が出来上がったそう。
エビ出汁とトマトスープが調和する異次元のラーメン
基本メニューは、東京海老トマト890円とオマール海老SOBA890円の2種類。ほか、トッピングを追加したサービス盛り980円と最強盛り1350円がある。
早速、店長おすすめの東京海老トマトサービス盛り980円を注文。基本の東京海老トマトにキャベツとバゲットのトッピング。カウンター越しに手際よく調理する様子を眺めながら出来上がりを待つ。
数分で着丼。丼ぶりの中央にはキャベツとバゲットがそそりたつ。盛り付けの美しさも印象的だ。
丼ぶりから立ち昇るエビの香りに我慢できずに一口すすると、しっかりとしたエビの味、そして、まるまる1個使っているというトマトの甘みと旨味がバランスよく重なって口の中に広がる。見た目はこってりとろとろとしているが、塩味も控えめで食べやすい。
うーん、エビの味わいを中心とした絶妙なバランス。久しぶりにはまりそうな味だ。
「数種類の海老からとった濃厚な出汁に豚と鶏の動物系タブルスープをあわせ、特製トマト出汁とフルーツトマトを加えています。トマトはイタリアの契約農園が栽培した、酸味をおさえた甘みの強い完熟フルーツトマトをラーメン一杯にまるごと1個使っているんですよ。油や塩分を控えめにしてあっさりと仕上げて、毎日でも食べられる味を目指したんです」と清家さん。
トマトたっぷりで塩分も控えめなのでヘルシー系ラーメンとして女性や年配のお客さんにも大好評。スープまで完飲する人も多いそう。半分は女性客というのも納得だ。
麺は中細ストレート麺。茹で時間は40秒と短く、歯応えのある食感だ。低加水麺で、麺の茹で時間も短めなので、麺がスープを吸い、海老トマトの旨味と一体化する。食べ始めるタイミングで一番おいしくいただけるように計算して調理しているそう。
トッピングのキャベツとバゲットは、どちらもスープと相性抜群だ。キャベツは軽く茹でてあるので、スープの旨味を吸ってしんなりとなりおいしくいただける。バゲットも、サクサクで食べてもいいし、スープでしんなりさせてもおいしい。どちらも海老トマトの味を引き立てるので、店長がサービス盛りをすすめた理由がよくわかる。
食べるまではエビとトマトが丼ぶりのなかでラーメンとしてまとまるのか少々心配していたが、実際にいただくと、酸味が少なく甘みの強いトマトを使うことで、しっかりとしたエビの出汁とうまくバランスがとれている。まさに新しいおいしさのラーメンだ。
お楽しみはこれからだ! ご飯を頼んでリゾット風でしめる
そして、店長おすすめの〆は、残りのスープへご飯150円を入れるリゾット風おじや。エビとトマトの旨味が凝縮したスープがご飯に染み込んで、最初にラーメンを一口食べた時の味わいを再びご飯で楽しめる。贅沢にも本日2度目の「おいしい!」だ。 そして、チーズが欲しくなる!
〆までしっかりと海老トマトスープの旨味を味わえて大満足。もう1つの自慢メニューであるオマール海老SOBAは、高級オマールエビからとった出汁に特製味噌でコクを出し、エビそのもののおいしさを味わえるそう。東京海老トマトがこれだけの完成度だと、オマール海老SOBAも大いに期待できそうだ。近いうちに食べに来ようと心に決めた。
新しいラーメンとの出会いに感謝! ごちそうさまでした。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=羽牟克郎