地元の方が足繁く通う、緑の壁のパン屋さん

『coneruya』は、歴史を感じる街・京都の二条城エリアにお店を構えるパン屋さん。まるで小さなお花屋さんのような、ふらっと立ち寄りたくなるかわいらしい外観が特徴です。

ウィンドウに描かれているのは、おすすめのパンや季節のお便り。かわいらしいイラストも盛りだくさんで、前を通るたびに目で追ってしまいそう。

パンへの想いと日々の感謝をこめた店名

親鳥がヒナにゴハンを持ち帰る姿が描かれたロゴマーク。
親鳥がヒナにゴハンを持ち帰る姿が描かれたロゴマーク。

店名である「coneruya」には2つの意味が込められています。1つ目は、「こねる」と言うパンづくりの基本作業。一つひとつのパンと向き合って丁寧に向き合う姿勢が伝わります。

2つ目は、感謝の意味のある「ハレルヤ」という言葉。五感が似ているため、「お客さまへの感謝を常に忘れないようにしたい」という意味も込められています。

「お客さまがいてお店がある」という日々の感謝が伝わってきます。

定番から変わり種まで、地域を第一に考えたラインナップ

お店を見渡すとお花や絵が所狭しと飾られた、アットホームな空間が広がっています。

ウインナーパンやコロッケパンといった定番のお総菜パンから本格的なハードパン、さらに『coneruya』オリジナルの「マスカルポーネあんぱん」などの変わり種まで、幅広いラインナップのパンが並んでいて、どれを選ぶか迷ってしまうお客さんも少なくありません。

パンのラインナップについて内山さんは、毎日足を運んでくれる地域の方を第一に考えていると語ります。

パン職人歴35年以上の内山さん。愛称は「けんちゃん」。
パン職人歴35年以上の内山さん。愛称は「けんちゃん」。

お店のとなりのおばちゃんに『おいしい』って言ってもらえないことには、となりのとなりのおばちゃんに買いに来てもらえないよね、って思うんです。となりのおばちゃんに『おいしい』って言ってもらえることで、やがては、となり町のおばちゃんを連れて来てくれる。マーケティングの基本ですけど、これを常に心がけながら、商品構成を考えました」。

取材時にはお客さんが店員さんと話しながら楽しそうにパンを選ぶ姿も多く、「やっぱり毎日来てくれる自分たちのお客さんが一番!」と語る内山さんの笑顔が重なりました。

人気の秘密は家族の会話を生む「大きいパン」

『coneruya』のパンは、他のパン屋さんよりもどれも少し大きめ。理由は家族でいろんなパンを分け合いながら食べてほしいから。

ひとりで食べるパンもいいですが、パンを囲んで「これおいしいね」「こっちはこんな味だよ」と、話しながら食べるのもステキな時間ですね。

実はフランスパンの一種である「カンパーニュ」の語源はラテン語の「カンパニオ」で「パンを分け合う人々」の意味があり、「カンパニー(company)」の語源にもなっています。大きく焼いたパンを分け合うことが、「仲間」や「家族」の原点とも言えるんです。

『coneruya』の人気no.1はほんのり冷たい「エンゼル・ノア」

香ばしいくるみとメープルシュガーがたっぷり入った「エンゼル・ノア」は、常連さんも太鼓判を押す人気ナンバーワン。

内山さんは、「本当においしいパンはほんのり冷たい」といいます。

なぜかというと、冷たく感じるということは粉と水分がしっかり混ざり合い水和して、うま味が中に閉じ込められているから。

「冷たく感じるのが僕のおいしいパンの定義です。なので、エンゼル・ノアに関しては、しっかり水分を包み込むことを心がけてます。口どけもよく食べ応えもあって、ほんのり甘い。だから大きいけど意外と食べれちゃう」と語ってくれました。

「エンゼル・ノア」。どんなものなのか、とっても気になりますよね!

もう一つのおすすめ、マスカルポーネあんぱん。あんこの優しい甘みにコクのあるマスカルポーネがベストマッチ。
もう一つのおすすめ、マスカルポーネあんぱん。あんこの優しい甘みにコクのあるマスカルポーネがベストマッチ。

京都で愛される『coneruya』のパンをその手に

ひとつひとつ、お客さんの顔を思い浮かばながら作っている『coneruya』のパン。お話を聞いているだけで、内山さんの人柄やパンづくりのこだわりが伺えました。ちょっぴり大きくて家族で分け合いたくなる『coneruya』のパンをぜひ一度味わってみては?

住所:京都府京都市中京区聚楽廻西町71-2
/営業時間:8:00~19:00(商品が無くなり次第終了)/定休日:不定/アクセス:JR山陰本線・地下鉄東西線二条駅から徒歩10分

取材・文・撮影=パンスク編集部