洗練された店内で、“私だけのくつろぎ時間”を楽しんで
『ブランジェカイチ』がある福岡市南区は、九州一の繁華街としてにぎわう天神にほど近い場所にある街。人口が密集する住宅地と、山笠の滝がある静かな山間地域に分かれています。
学生時代にやっていたパン屋さんのバイトが忘れられず、パン職人を志した二日市さん。妻と一緒に行った占いで「自営が向いている」と言われたことをきっかけに、2011年の4月に『ブランジェカイチ』をオープンしました。
「店を出す前から『いつかここでパン屋ができたらいいな』と思っていました。大通りにあるのにちょっと引っ込んでいる感じが『くつろげる空間』みたいで、すごく気に入ったんです」
元々高宮駅から一駅離れた場所にあった『ブランジェカイチ』。2021年、高宮通りにある現在の店舗に移転してきました。隠れ家のような雰囲気に、胸を高鳴らせながらドアを開けるお客さんの姿が想像できます。たまたま物件に空きが出て、憧れの場所でお店ができるようになったと思うと、「ここでパン屋を開きなさい」という神からのお告げのようにも感じますね……!
お店には近所に職場や自宅がある人がよく訪れるそう。主に30代から40代後半の女性でにぎわいをみせます。『ブランジェカイチ』は、普段から当たり前にパンを食べる人にとって「お気に入りの隠れ家的存在」です。
手作りの具材とこだわり製法で作る、バラエティ豊かなパンたち
白を基調としたシンプルな店内には、具材たっぷりのサンドイッチや定番のクロワッサン、朝の食卓に欠かせない食パンなど、さまざまなパンが並びます。 特にオリジナルの総菜パンが豊富。具材もお店で一から作るのが、『ブランジェカイチ』のこだわりです。
「日常に寄り添うパン」をコンセプトにしているという二日市さん。その背景を聞くと、「パン職人はこだわりが強くなりすぎるあまり、固くて酸味のあるとっつきにくいパンをつくりがち。だから食べやすく万人に好まれるパンをメインに作っています。その裏に職人のワザが隠されているんです」といいます。
パン職人の二日市さん。パンを作る姿は真剣そのものです。
「実はパンごとに製法を変えています。柔らかく仕上がる長時間発酵が向いていれば、48時間熟成させることも。逆にサクッと感を楽しんでほしい食パンの熟成は、16時間くらいで済ませます。『どういうパンを作りたいか』を考えて製法を選択することが、お客さんにとっては代わり映えしない『普通のパン』をおいしく作る秘訣です」
「たとえばフランスパンは、食べたときに口の中の水分が取られすぎないしっとり感を意識しています。噛み応えはありつつ、口どけの良さも残すみたいな。ハード系のパンにも親しんでもらえたらうれしいです」
もはやカレー屋さん?一番人気の牛スジカレーパンのこだわり
『ブランジェカイチ』で一番人気なのは、牛スジカレーパン。トロトロになるまで煮込んだ牛スジカレーがたっぷり入ってます。
イベントでは1日600個販売した実績も。「私自身カレーが大好きで、よく家で牛すじカレーを作っていたんです。『このカレーをベースに自分が納得するカレーパンができれば、多分お客さんも好きになってくれるだろう』と思い、研究しました」と話す二日市さん。パンを食べるお客さん目線で考える、二日市さんの人柄が垣間見えますね。
お肉は黒毛和牛を使用。牛すじ肉とバラ肉がたっぷり入っています。二日市さん自らスパイスを調合し、一からルーを作るこだわりっぷりです。もはやパン屋なのかカレー屋なのかわからなくなるほど。カレーがおいしすぎるあまり、お客さんから「ルーだけ買えませんか」と言われることもあるそう。
冷凍してもおいしく食べられる牛スジカレーパン。おすすめの解凍方法をお聞きしました。「手間はかかりますが、レンジで温めて、オーブントースターで表面をちょっとだけカリッとさせたら、一番おいしいかなと思います」
「パンひとつひとつに大きなインパクトがなくても、噛み締めた奥にあるじんわりとしたおいしさを感じてくれたら嬉しい」と話す二日市さん。お客さんファーストで考えられたパンの数々に、ほっとすることでしょう。ぜひ、あなたの生活に寄り添う福岡県の『ブランジェカイチ』に足を運んでみては?
取材=パンスク編集部