ラーメン店らしくない、レゲエが前面に出た内外観
まるでオシャレな飲み屋のような外観に、ジャマイカの国旗……。ポスターやメニューがなければ、ラーメン店だとは気づかれないだろう。『Rahmen Yahman』という店名を見ただけでは判断が付かないという人もいるだろう。
レゲエが大好きな店主の町田好幸さんは「店名のYahmanはジャマイカで使われているパトワ語で“調子はどう?”“元気かい?”といった挨拶として使われるレゲエ用語です。Rahmenは、もしジャマイカにラーメンがあったらこうなるんじゃないかという造語です」と話す。
店内には、ボブ・マーリーのポスターやレコードなどが飾られ、BGMはレゲエ。町田さんの好みが表れている。
幾重にも旨味が重なるスープ。自家製麺とトッピングも旨い
今回注文したのはつけめん902円(会計時1円単位は切り捨て)。
つけ汁は、鶏や豚などのさまざまな部位を使い、そこにサバ節や宗田節などの魚介系を加えたWスープ。化学調味料は一切使っていないという。町田さんは「今はそれほどでもないのですが、若い頃は化学調味料に抵抗があったので、いろいろと試行錯誤して作りました。価格との兼ね合いもありますが、食材をケチらずにふんだんに使うのも味を守るために必要なことだと思っています」と話す。
無化調スープを謳う店舗に何軒もいったことがあるが、何か物足りないと感じていた。しかし、ここでは一切感じない。むしろ、各食材の旨味が絡み合って芳醇さを感じ、ほんのりとした酢の酸味が食欲をそそる。「かえしにエビを入れているので、味わい深くなっていると思います」と町田さん。さらに鶏油や特製の香味油を入れることで味の膨らみが増すのだという。
麺は自家製の中太ストレート麺を使用。
多くのラーメン店は麺をテボといわれるザルに入れて茹でるのだが、この店ではお湯の中に麺を入れて平ザルで湯切りをしている。麺がお湯を泳ぐように茹でられるので、麺がくっつくことがなく、いい仕上がりになるのだという。
つけめんの麺の量は並で240g・中で280g・大で320gでどれも同一料金。これは茹でる前の量なので、実際に茹で上げると1.65倍ほどになるという。今まで深く考えずに大盛りを頼んでいたが、こんなに量があったとは。いつもペロリと食べていたので気づかなかった。
つけ汁と合わせる麺はモチッとした弾力ががある。この弾力はタピオカ粉が練り込まれているからだという。
トッピングにも定評があり、味が染み込んだ分厚いバラロールのチャーシューが短冊状に入っていて、しっかりとした歯ごたえがたまらないメンマもいい。シャキッとした江戸菜も食感の変化を楽しむ格好の食材だ。
季節限定や隠れメニューにも注目
つけめんやラハメン(ラーメン)、あぶらは(汁なし)などが定番メニューになっているが、季節に合わせて限定ラハメン・つけめんも提供している。
いろいろなメニューがある中でさらに作るのは大変だろうと町田さんにうかがうと「同じものばかりを作っていると飽きちゃうんですよね、僕が。だから季節限定を入れたたりしています」と話す。
カウンターに座ったら、メニューの裏側やメニュースタンドなどにも注目を。そこには隠れメニューが書かれている。ザンネン玉子は形が悪かったり、割れてしまった味玉のことで通常の半額で食べることができる。ほかにもいろいろあるので、宝探しのように探してみるのも楽しいだろう。
町田さんは「外観や内観でちょっと引いてしまう方もいるようですが、勇気を出して入ってみて下さい。ビルドイン方式の水をスープや麺を茹でる際、お冷やにも使っています。この水は飲むだけでおいしいですよ」。さらに「お店のオリジナルTシャツも受注販売しています。カラーは52色ありますので、ぜひお声がけください」と話してくれた。
ジャマイカンな印象が強く残るが、スープは動物系と魚介系がしっかりと調和した和のテイスト。このギャップも楽しい。ジャマイカン好き、レゲエが好き、ラーメンが好き、そんな町田さんの人間性まで感じられる楽しい店だ。
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン