仏像は大きく分けて4種類
仏像には、様々な姿をしたものがありますが大別すると「如来」「菩薩」「明王」「天」の4種類に分けられます。
それぞれ、特徴や役割があるので、まずはその区別を学んでみましょう。
今回は、その中でも「如来」について。
如来は「悟りを開いた者」
みなさんが「仏像」と聞いて最初にイメージする姿。おそらく鎌倉の大仏のような見た目ではありませんか?
それが「如来」と言われる種類です。
如来とは「悟りを開いた者」という意味なので、物欲もな布切れをまとっただけの簡素な服装をしています。
見た目でわかる如来の特徴
見た目の特徴は他にも、パンチパーマのようなヘアスタイルや盛り上がった頭頂部、眉間にある点のようなものなどがイメージできるでしょう。
如来像が持つ特徴は32種類(細かく分けると80種類)あって「如来の三十二相八十種好」と言われます。
パンチパーマのような髪型は螺髪(らほつ)、頭頂部の盛り上がりは肉髻(にくけい)、眉間の点は白毫(びゃくごう)といったように
それぞれの特徴に名前があります。
また、如来という存在の働きを表現した特徴もあり、手の指の間の水かきが大きいのは「苦しむ人を誰一人漏らさず救います」という表現です。
如来の種類①「阿弥陀如来」
ひとくちに如来像といっても、さらに細かく種類が分かれます。「阿弥陀如来」「釈迦如来」「薬師如来」「大日如来」がポピュラーでしょう。
阿弥陀如来は「OKサイン」が目印。親指と人差し指(中指や薬指で表現する場合もあります)で、OKのようなマークをつくっていたらそれは阿弥陀如来です。
鎌倉の大仏も阿弥陀如来ですが、OKマークが見えませんね。
ですが、おなかの前に置いた手をよく見てください。指でOKマークをつくってあります。なので阿弥陀如来だとわかるのです。
如来の種類②「薬師如来」
また「薬師如来」もわかりやすい特徴があります。その名の通り、手に「薬壺(やっこ)」を持っています。
ここに入っているのは、万病を治す薬。現代のコロナのように疫病が流行した時代には篤く信仰されました。
誰の未来にも待っている死。その瞬間に迎えに来てくれて、極楽に連れて行ってくれるのが阿弥陀如来であるのに対し
薬師如来は、まさに「今」の苦しみを取り除いてほしいと願う人が進行することの多い、現世利益(げんせいりやく)の仏です。
なお、写真の武蔵国分寺にある薬師如来坐像は、普段はその扉が閉ざされている秘仏ですが、年に一度10月10日だけご開帳され、誰でも拝観可能!
如来の種類③「釈迦如来」
仏教を開いたのが、お釈迦様だということは、皆さんご存じの通り。このお釈迦様とは、紀元前5世紀ごろにインドに実在した
ゴータマ・シッダールタという人物です。「釈迦如来」とはこの開祖の姿を表現したものです。
仏教誕生から約2500年の歴史の中で、民衆の様々な悩みを救うように阿弥陀如来や薬師如来といった、特殊な役割を持った仏が出てきましたが
その根本にあるのが釈迦如来なのです。しかし、いわばプレーンの如来なので見た目的な特徴が少ないのが釈迦如来。
OKサインを出していなかったり、薬壺を持っていないので消去法的に釈迦如来だと判断することもよくあります。
如来の種類④「大日如来」
教科書にも登場する有名なお坊さん、空海と最澄が中国で密教を学び、日本に広めました。この密教の最高仏といえるのが「大日如来」です。
空海の開いた真言宗では、世界を二つの宇宙としてとらえ、それぞれに大日如来が存在します。
一方の宇宙の最高仏は、見た目の特徴として、忍者のようなポーズをとっている像です。
他方の宇宙の大日如来には、特徴的なポーズはありません。
ただ、最高仏であることを表現するために、悟りを開いた存在であるにかかわらず王冠や首飾りなどで、着飾っている像が多いのが大日如来の特徴です。
今回は如来についてのみでしたが、これだけでも知っておくと博物館やお寺で仏像を見る角度が変わるはずです。
例えば、仏像を眼の前にした時に、螺髪などの特徴が見られ、薬壷を持っていなくて、指でOKマークを作っていなければ「これは釈迦如来かな」などと考えたり、友人に話したりすると、仏像を見るのがもっと楽しくなること請け合い!
有名なお寺でなくても、散歩がてらに近所のお寺に行ってみるのもいいですね!
写真・文=Mr.tsubaking