煮干ラーメンの行列店が北千住に進出!
店主の長谷川裕亮さんは、都内有名つけ麺店の出身。2018年1月に『亀戸煮干中華蕎麦 つきひ』をオープンするやいなや、連日大勢の人でにぎわう行列店となった。多くの人を魅了するラーメンは、動物系に煮干を合わせたいわゆるセメント系と呼ばれる濃厚スープの濃厚煮干蕎麦と、淡麗スープに煮干の旨味が詰まった中華蕎麦の2枚看板。
その勢いはとどまるところを知らず、2022年8月8日に、ここ『北千住煮干中華蕎麦 かれん』を『つきひ』と同じ2枚看板でオープンした。店長は、高野将弘さん。これまでフレンチ、イタリアン、居酒屋などさまざまな飲食店を巡りたどり着いたのが、亀戸のラーメン店だった。2020年12月の入社後、わずか半年で本店の店長になり、さらに1年後には新店舗を任されることになる。
「『つきひ』は亀戸横丁っていうディープな場所にあって、濃厚煮干もただの濃厚ではなく、“かなり”の濃厚。好きな人にとってはたまらない味。『つきひ』でしか食べられない味を求めて、わざわざ足を運んでくる。あの場所にあのマニア向けの味がマッチしてるんです。『かれん』は北千住駅からすぐのところで、一見さんもいらっしゃるから、どなたでも満足できる味にしてます」と高野さん。
『つきひ』『かれん』ともに店名はアニメ好きな長谷川店主が好きなキャラクターからつけたものだ。そのおかげもあって、アニメファンが足繁く通う。それぞれのフィギュアが店に飾ってあるのだが、全部お客様からの頂き物だとか。
「皆さん、写真を撮って満足そうに帰りますね」と高野店長。アニメファンが来てくれることを、長谷川店主も「話もめちゃめちゃ弾みますし、自分の好きなことを共有できるお客さんが来てくれるってうれしいです! めちゃめちゃWin-Win-Winだなって(笑)」。ラーメン以外の部分でも、店と常連客との繋がりの深さが伺える。
洗練された煮干スープは老若男女問わず愛される味
肝心のラーメンのおすすめは、「うちは2枚看板でやってるので、どっちかっていうのはないです。カップルで来たら、1杯ずつ頼んでシェアしたほうが楽しさ2倍かなと。多く出るのは濃厚ですが、僕のおすすめは中華です」ということで、店長いち押しをオーダー。
おすすめの中華蕎麦にチャーシューなどを増した、特選煮干し中華そば1150円。丼に顔を近づけると、少し濁りある清湯スープから煮干の風味が立ち上る。すかさず中細麺をズズッと啜ると、煮干の旨味が口の中に広がる。パツッと歯切れもよく、いつまでも啜れてしまう。
麺は本店と同じ製麵所だが、太さが違う。「『つきひ』は濃厚と中華で麺が違いますが、濃厚は『かれん』よりも太く、中華は細めです。スープの濃さが違うからですね。『かれん』は濃厚・中華で同じ麺を使っています」。姉妹店だけど、各々が努力して作りあげていると、高野店長が教えてくれた。
鶏と豚の2種のレアチャーシューに味玉、海苔と具沢山で、隙のない一杯。煮干系は塩分も気になるところだが、本店より洗練された仕上がりの煮干スープはあっさりだけど旨味たっぷり。ほどよい塩味、旨味で、あっという間に汁まで完食してしまった。
味も接客も大切に、お客様に喜ばれるものを作り続ける
煮干ラーメンのニューリーダーと言える長谷川店主。高野さんが本店の店長になってすぐの頃は、「長谷川さんいないの?」とよく言われたそう。「最初は社長にしかあの接客はできないと思ったけど、それでも社長の接客を真似してみたんです。そうしたら自分のお客様も増えていったんですね。時間はかかりましたが、今ではその接客をスタッフにも伝えています」。
そんなカリスマ店主・長谷川さんに伺うと、「僕は、目の前のお客様を楽しませることが一番大事だと思ってます。味も大事ですが、お客様を覚えているかとか、接客もしっかりやるようにしてますね。かれんのメンバーもお客様としっかり対面して創意工夫しながらいいものを作って、お客様も喜んでくれてる。ちゃんと結果が伴って、めちゃめちゃよくやってくれてますよ!」。長谷川店主の思いは、高野店長はじめ、全スタッフにしっかり届いていた。
2店舗目も好調の長谷川店主に今後の予定を聞いてみると、3号店も構想中だとか。「煮干しももちろん追求しますけど、それ以外のラーメンにもどんどんチャレンジしていきます。粗削りだけどお客様を楽しませるために、いろんなチャレンジを随時していくんで、今後も楽しみにしてください!」。
長谷川店主と高野店長、たくさんのスタッフたちが創りあげてきた味と店。今度はラーメン好きな友達を誘って、中華&濃厚をダブルで味わいたい!
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=大熊美智代