真夏を前に強まる紫外線 5月は夏の終わりと同じくらい届く?!

真夏に出歩くときは帽子や日傘で日差しを遮って、紫外線対策を徹底するという方はきっと多いでしょう。日焼け防止だけでなく暑さ対策にもなるため、最近は性別を問わず日傘を持ち歩く人が増えています。ですが、本格的な夏を迎える前から強いレベルの紫外線が届いています。

紫外線は一年を通して地表付近に届き、緯度の低い南の地域ほど強まります。気象庁のデータによると、特に紫外線量が多いのは7月~8月ですが、4月~5月も残暑が厳しい9月と同じくらい届いているのです。まだ暑くないからと何もせずに出掛けたら、日焼けしてしまった……という経験のある人もいるのではないでしょうか?

月別の紫外線照射量 出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル2020。
月別の紫外線照射量 出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル2020。

また、この時季は移動性高気圧に覆われて、カラッと晴れる日が多いため、空気が乾燥しやすい季節です。お肌の大敵ともいわれる「紫外線」と「乾燥」。ダブルで肌にダメージを与えかねないため、いまからきちんと対策をするのがおすすめです。

曇りの日でも油断禁物 天気別の紫外線量 

紫外線が地表付近に届く量は天気によって左右されますが、晴れの日だけでなく、曇りの日も油断できません。空に雲がほとんどない快晴の日のUVインデックスを基準とすると、晴れの日は快晴の場合とほとんど変わらない強さの紫外線が届きます。また、薄曇りといって、雲が空のほぼ全体を覆っていても、上空の薄い雲が中心の場合は快晴時の80%以上、曇りの場合は快晴時の約60%の紫外線を浴びることになります。日差しが少ないからといって対策を怠ると、気づかぬうちに肌に負担がかかるのです。

※UVインデックスとは、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いをわかりやすく示すために、紫外線の強さを指標化したもの。

快晴時のUVインデックスを100%とした場合の天気毎のUVインデックスの割合  出典:気象庁ホームページ(一部加工)。
快晴時のUVインデックスを100%とした場合の天気毎のUVインデックスの割合 出典:気象庁ホームページ(一部加工)。

意外と知らない 日焼け止めクリームの「PA」と「SPF」の違いとは?

紫外線から肌を守る必須アイテムといえば日焼け止めクリームです。毎年たくさんの商品が売り出されますが、パッケージに記載されている「PA」や「SPF」といった数値の意味をご存知でしょうか?どちらも紫外線を防ぐ効果を示すもので、紫外線の種類によって使い分けられています。

紫外線にはUV-A波、UV-B波、UV-C波の3種類があります。このうち、UV-C波はオゾン層に吸収されるため、地面付近までは届きません。私たちが注意したいのは残りの2種類です。

UV-A波は、長い時間浴び続けると肌にダメージを与え、しわやたるみの原因になります。ガラスや雲を通り抜けて肌に届くため、買い物や洗濯物を外に干すときなど日常生活の中で知らず知らずのうちに浴びている人が多く、わずかな時間でも油断できません。

UV-B波は、肌の表面にある細胞の遺伝子を傷つけ、日焼けのほか、シミや肌荒れにもつながります。赤く炎症を起こす場合もあり、ひどい炎症を繰り返すと皮膚がんの原因にもなるといわれています。

日焼け止めクリームの「PA(Protection Grade of UV-A)」はUV-A波、「SPF(Sun Protection Factor)」は「UV-B波」による影響を防ぐ効果を示す指数です。

軽い散歩や日常生活で受ける紫外線を防ぐなら「PA++」や「SPF10~20」のもので十分ですが、海や山でのレジャーやスポーツにはより高い指数のものがおすすめです。ただし、指数が上がるにつれ肌への負担も大きくなるため自分に合ったものを選んで使いましょう。

太陽光と紫外線 出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル2020。
太陽光と紫外線 出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル2020。

要注意のお散歩スポットはどこ?

紫外線は太陽から直接届くもののほか、地表面で反射して届くものがあります。紫外線の反射率は新雪で80%、砂浜・水面は10~20%、コンクリート・アスファルトで10%、草地・芝生、土面で10%以下です。過ごしやすい陽気となる季節は、海辺を散歩するのも気持ち良いですが、砂浜はアスファルト以上に対策必須のお散歩スポットです。

また、標高が1000m上昇するごとに、紫外線量は10~12%増加するため、ちょっと足を延ばして山や小高い丘などを散歩するときも万全な対策をしておきましょう。

紫外線の反射と透過 出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル2020。
紫外線の反射と透過 出典:環境省 紫外線環境保健マニュアル2020。
紫外線対策 出典:ウェザーマップ。
紫外線対策 出典:ウェザーマップ。

紫外線は身体の中でビタミンDを作るなど良い面もありますが、長年にわたり浴び続けると皮膚がんの原因になるほか、白内障など眼の病気を進行させる健康被害が心配されます。日焼けはあまり気にしないという人も、適度な紫外線対策をして健康な肌を守ることが、長くお散歩ライフを楽しむ秘訣となるかもしれません。

 

参考:「日本化粧品検定協会公式 コスメの教科書」株式会社主婦の友社 小西さやか

気象庁ホームページ https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-73uvindex_mini.html

環境省 紫外線環境保健マニュアル2020 https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf

 

文・写真=片山美紀