“日本一”のパティシエールが手がけた低糖質タルト
『TARTE & LOVE CAFE』は、下北沢駅から徒歩3分ほどの場所に店を構える。店のすぐそばに立つ、色とりどりのタルトを写した大きな看板が目印だ。ショーケースには、看板に写っていたタルトを中心に、12種類が並ぶ。
製造監修を務めるのは、ジャパンケーキショーで日本一を獲得した実力を持つ、パティシエールの川田幸子さん。『名古屋マリオットアソシアホテル』での勤務を経て、2011年から『幸蝶(さっちょう)』のオーナーシェフとして活躍し、2018年からは低糖質スイーツの開発にも力を注いでいる。
このタルトも、そんな川田さんの知見が存分に活かされていると林さんは話す。「砂糖を控えめに作られたタルト台は、従来のものより30%も糖質がカットされています。タルト台の甘さを抑えた分、クリームチーズをメインにしたクリームの塩味でフルーツなどの甘さを引き立てているんです」。
クリームチーズは、フランス産の最高品質のものを使用。合わせるフルーツや食材ごとに塩の分量を変えたり、相性のよい食材をプラスしたりして、常時12種類あるタルトそれぞれに異なるクリームを用意しているという。
フルーツは毎朝市場で仕入れ、新鮮な状態で提供する。「なるべく農薬を使わずに作られている果物を選ぶようにしていますね。天候の問題などで、常にそういった果物を仕入れられるわけではないのですが、お客様に安心して食べていただくことを第一に考えています」と林さん。
そんな作り手の想いが詰まったタルトは、クリスマスやバレンタインといったイベントや季節ごとに種類を入れ替えながら提供している。取材時には、桜のタルトやいちご大福をイメージしたタルトなどがシーズナルメニューとして販売されていた。
これらのタルトは店内でも味わうことができる。座席はテラス席のほか、2階のカフェスペースから選べる。2階にはカウンター席と二人掛けのテーブル席が用意されており、ナチュラルな雰囲気でまとめられた空間には、取材当日ほぼ満席に近い数のお客さんが飲食を楽しんでいた。
東京初上陸のグリーンコーヒーが飲める希少なカフェ
この店のおすすめは、タルトだけではない。提供しているドリンクにも、こだわりが詰まっている。まず、メニュー表やホームページなどでさらっと紹介されているグリーンコーヒー。初めて耳にする人も多いと思うが、このコーヒーは焙煎前の生豆を使用しているのが最大の特徴である。
この店では、生豆を細かいパウダー状にして、一般的なコーヒーと50:50の割合でブレンドしたものをグリーンコーヒーとして、生豆の分量をより多く配合したものをレアグリーンコーヒーとして提供している。
実際に飲んでみると、普段飲んでいるコーヒーと大きな違いは感じない。しかし、林さんによれば生豆を使用することで、焙煎時に壊されてしまうコーヒー豆本来の栄養素を摂り入れることができるのだとか。「グリーンコーヒーには高い抗酸化力があるんです。緑茶の約5倍にあたります」。
また、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸も豊富に含まれるため、動脈硬化予防や高血圧予防など様々な健康効果にも期待できるという。そんな高いポテンシャルを秘めたコーヒーが一杯630円で飲めるとは驚きである。しかも、まだ日本に上陸したばかりのため、一般に提供しているのは「国内でもこの店だけ」と林さんは話す。近く、遠方の人にも手軽に飲んでもらえるようオンライン販売の予定も控えているとか。
また、グリーンコーヒー以外のコーヒーメニューにも、オーガニックの豆を採用。グルメを公言する林さんのお眼鏡にかなった中から選ばれた、自慢のオーガニックコーヒーを提供している。
さらに、紅茶はすべて高級ブランド『マリアージュ・フレール』から茶葉を仕入れている。本家では一杯1000円前後するところ、この店では550円から味わうことができるのだ。「今のところ、ドリンクについては大々的にPRしていないのですが、さりげなく最高品質を提供しているという自負があります」と林さん。
甘いタルトのほかに、名古屋に店を構える洋食店『シェフむらい』の邨井(むらい)シェフが監修した食事系タルトの提供もスタート。ほかにはない、新たなアイデアや商品を取り入れながら、ますます人気を高めていくに違いない。
『TARTE & LOVE CAFE』店舗詳細
取材・文・撮影=柿崎真英