ラーメン作り約30年の店主が生み出したオリジナル

店は成蹊大学の正門、バス乗り場のある交差点に立つ。
店は成蹊大学の正門、バス乗り場のある交差点に立つ。

『台湾茶房 桃李』は、西荻窪の熊本ラーメン店『ひごもんず』の系列店として2018年6月にオープンした。歩道橋の足下にあり、成蹊大学の前ということもあり、店名には大学の名前の由来にもなっている中国の歴史家・司馬遷(しばせん)の『史記』に出てくる、「桃李成蹊」という言葉を店名に付けたという。

代表取締役の長谷川端(ただし)さんは、「都内では、西荻窪の熊本ラーメン店と、武蔵小金井のつけ麺店と合わせて全3店舗を運営しています。なぜ台湾料理かというと、旅行で訪れて以来好きになりまして、周辺には台湾料理店がないこともあって、この地にオープンさせました」と話す。

台湾料理専任の料理人を迎え、最初は台湾料理のみを提供していた。「豚バラ肉を使った、台湾名物の魯肉飯(ルーローハン)はこの店の一番人気のメニューなのですが、その肉を使って何かできないかと思い、うちの店独自の台湾ラーメンが生まれました」と長谷川さん。

試行錯誤の末完成した台湾ラーメンは、評判を呼び、今では看板メニューになっている。

テーブル26席が配され、夜はグループ利用も多い。座席は事前予約が可能だ。
テーブル26席が配され、夜はグループ利用も多い。座席は事前予約が可能だ。
2019年から店に入った息子の長谷川淳一さん(右)さんとスタッフに任せている。
2019年から店に入った息子の長谷川淳一さん(右)さんとスタッフに任せている。

味の決め手はトッピングの挽き肉

スープは豚骨のほか鶏ガラも少し加え、コクがあるが軽い仕上がりだ。
スープは豚骨のほか鶏ガラも少し加え、コクがあるが軽い仕上がりだ。

台湾ラーメンの味は、長谷川さん自身がオリジナルで作りあげた。スープは豚骨ベースで、あまり煮込まないようにしている。というのも、合わせる豚挽き肉の味を引き立てるために、調和のよい濃度に仕上げるためだ。

豚挽き肉自体に唐辛子で辛味をつけ、干しエビや干しシイタケなどを合わせることで、辛さだけではなく、旨味も加わっている。

麺は、製麺所にオリジナルの麺を特注して作ってもらっている。ラーメンには手もみの中太麺、つけ麺にはラーメンよりやや太い麺を合わせている。長谷川さんの長年の経験と、スープに合わせて何度も試行錯誤を重ねて作りだしたものだ。

ジワジワと辛さがきいてくる1杯

台湾ラーメン820円。白髪ネギのシャキシャキ感や卵の甘さがたまらない。
台湾ラーメン820円。白髪ネギのシャキシャキ感や卵の甘さがたまらない。

早速台湾ラーメンをいただく。オーダ時に辛さを小・中・大辛の3段階から選べるということなので、辛いのが苦手な人は小辛でオーダーしてみよう。

赤いスープは一見するとかなり辛そう。一口飲んでみるとトッピングの挽き肉から出たラー油の辛さがスープに溶け出し、ピリリと刺激はあるものの旨味がある。動物系特有の味に厚みがあり、コクが口の中に広がる。

挽き肉をご飯にかけて味わったら、さぞおいしいに違いないと思ったら、「小ライス1杯無料」とメニューにあるじゃないか! お腹の空き具合にもよるが、辛いスープとライスは最高の組み合わせだから、ぜひ小ライスを追加しよう。

麺はほんのり小麦の甘さを感じる。スープの旨辛さを絡めながらも、しっかりと麺本来のおいしさを主張し、バランスのよい1杯に仕上がっている。

麺はツルッとした表面で食べやすく、スープに負けない旨さをしっかりと感じる。
麺はツルッとした表面で食べやすく、スープに負けない旨さをしっかりと感じる。

違った辛さを楽しめるつけ麺と夜メニューにも注目を

つけ汁に入った具のシャキシャキ感もたまらない、台湾つけ麺。
つけ汁に入った具のシャキシャキ感もたまらない、台湾つけ麺。

台湾つけ麺890円についても紹介したい。辛さはラーメンと同じく3段階から選べる。つけ汁には、挽き肉はもちろん、モヤシやネギ、味玉などがたっぷり入っているため、辛さがやわらかく伝わってくる。麺はソフトな食感でモチモチとし、麺そのもののおいしさを感じる。

ランチには、麺料理にプラス150円で唐揚げ、またはシュウマイをセットにできるほか、人気の魯肉飯850円もあるので合わせて頼んでみるのもいいだろう。

夜のメニュー見てみると、手頃な価格で本場台湾料理の小皿がライナップされる。今度は友人を誘ってこちらも試してみたい。

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町4-25-7/営業時間:10:30~22:30LO(台湾ラーメンは16:30LO、17:00以降は台湾料理提供。木は終日台湾ラーメン提供)/定休日:無/アクセス:JR中央線・京王電鉄井の頭線吉祥寺駅から15分

取材・文・撮影=千葉香苗 構成=アド・グリーン