おやじビルらしい昔ながらの喫茶店にほっとする
JR新橋駅に程近いニュー新橋ビル。街歩きが好きな人や新橋界隈に勤めている人、新橋で飲む機会の多い人ならだれでも知っているおやじの聖地だ。このニュー新橋ビルに、日本で3店でしか食べることのできない超レアなメニューをいただける店があると聞いて、早速、新橋へ向かうことにした。
今回の目的の店『喫茶 きまぐれ』はニュー新橋ビルの3階にある。1階の格安チケット屋さんや地下1階の居酒屋などの飲食店を利用する人は多いようだが、筆者の周りの人に聞いても、2階より上の階に行ったことのある人は少ないようだ。
「このお店は2021年11月に開店したんですよ。開店した目的の1つが焼きめんを皆さんに食べてもらいたいということなんです」とお話ししてくれたのは『喫茶 気まぐれ』のママ・石本京子さん。昭和スタイルど真ん中の雰囲気の喫茶店なのに令和になってからの開店と聞いてびっくり!
ママさんの出身は山口県。周南市にある喫茶店『赤鬼』で食べた焼きめんのおいしさが忘れられず、ついにお店を出したそう。「焼きめんを食べられるのは『赤鬼』、東京上野にあるふぐ料理店『上野 さんとも』とここの3カ所だけなんです」。ママさんのお話を聞いて、新しい味と出合えるかもしれないと期待が高まる。
新しい味を発見! 絶妙な焼き具合とお焦げで香ばしい焼きめんはクセになりそう
焼きめんとは、わかめを練り込んだ細打ちうどんを焼いて、あつあつのジンギスカン鍋にのせ、牛肉と大量の錦糸たまごと刻みのりをトッピングし、かつお出汁のつゆにつけていただく周南市の喫茶店発のオリジナルメニュー。考案した『赤鬼』のホームページによると、同じ山口県でご当地グルメとして有名な瓦そばをヒントにしたそう。
それでは、お店を出してまで皆さんに食べてほしいという焼きめんを注文!
10分ほど待つと、ジンギスカン鍋に盛った焼きめんがテーブルに届く。あつあつの鍋の熱で刻みのりが踊っている。たっぷりの錦糸たまごと刻みのりでボリューム感たっぷりだ。それではいただきます!
たっぷりの錦糸たまごと刻みのりを麺にからめて、つゆにつけて、パクリ。錦糸たまごとしっかり味のつゆとの相性も抜群だ。
外側はカリカリ寸前なのに中は柔らかさが残る絶妙な焼き加減の麺とつゆの旨味が口の中に広がる。麺の焦げの食感も焼きめんのおいしさの大事な部分だ。
さらに薬味の紅葉おろしで辛さを足すと、焼いた麺の香ばしさのアクセントになる。レモンの酸味で味変も楽しめ、紅しょうがもよい引き立て役だ。薬味やトッピングを組み合わせていただくと、さまざまな味わいを楽しむことができる。
かなりのボリュームだったが、あっという間に完食。確かに多くの人に知ってもらいた味だと納得。ごちそうさまでした!
昭和の喫茶メニューも充実! 普段使いでもゆっくりくつろげる喫茶店
『喫茶 きまぐれ』は看板メニューの焼きめんだけではなく、昔ながらの喫茶メニューも充実している。定番のナポリタン900円やカレーライス950円、オムライス950円も大人気だそう。
モーニングは洋風780円、和風830円、ランチも1100円でカレーライスやオムライスがいただけるので、近くに勤めている人は朝食や昼食にぜひ利用したい。
そして、『喫茶 気まぐれ』を魅力的な喫茶店としている一番の理由は、ママさんの人柄だ。お客さんに対するさりげない気遣いとあたたかい笑顔。明るく気さくなママさんと話しているとだれでも幸せな気持ちになるだろう。ママさんの人柄を慕って来店する常連客も多いそう。
昭和の空気を感じるお店に大満足。新橋に来たときには、必ず『気まぐれ』に寄って、ママさんとの会話を楽しみながら、新しく見つけたお気に入りグルメの焼きめんを食べようと決めて新橋を後にした。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=羽牟克郎