常春の南房総 「房総フラワーライン」で春うららなドライブを

「常春(とこはる)の地」とも呼ばれるほど温暖な気候の千葉県・南房総では、毎年真冬の時季から色とりどりの花が咲きます。ここでは早くも12月には菜の花が咲き始めて、1月にはポピーやストック、キンセンカなどの花が次々に見ごろとなり、たくさんの人でにぎわいます。

早春の南房総を訪れるならドライブがおすすめです。館山市下町から南房総市和田町までを結ぶ海岸線の道路は「房総フラワーライン」と呼ばれていて、冬から春にかけては菜の花、夏にはマリーゴールドなど季節の花が咲き誇ります。およそ46キロメートルにも及ぶシーサイドラインでは、バイクや自転車でツーリングを楽しむ人も多く、早春に可憐な黄色い菜の花と青い海を一緒に撮影できる写真スポットとしても注目されています。

「日本の道100選」にも選定されている房総フラワーライン。
「日本の道100選」にも選定されている房総フラワーライン。
菜の花がいっぱいの中、ドライブを楽しめると人気。
菜の花がいっぱいの中、ドライブを楽しめると人気。

あたたかな日差しと心地良い潮風を感じながら楽しめる絶景は南房総ならではの魅力です。よく晴れて空気の澄んだ日には富士山や伊豆大島などを眺めながらドライブできます。

寄り道したい絶景が盛り沢山 海を臨めるお花畑は春らんまんの映えスポット

房総フラワーライン周辺には洲崎灯台や安房神社などの観光スポットがたくさんありますが、ぜひ寄り道してほしいのが、美しい砂浜が広がる平砂浦海岸です。ここでは海岸と道の間に冬季の強い南西風を防ぐため、クロマツが植林されています。この砂防用のクロマツ林と砂浜が美しいと平砂浦海岸は「白砂青松100選」にも選ばれています。

平砂浦海岸沿いには強い南西風を防ぐためのクロマツ林が広がる。
平砂浦海岸沿いには強い南西風を防ぐためのクロマツ林が広がる。

早春の南房総でカラフルな花畑と太平洋のコラボレーションを楽しめるのが「白間津のお花畑」です。南房総市千倉町の白間津では、1月から3月にかけてキンセンカやストックなどの花々が咲きそろいます。ここでは自分で気に入った花を選んで持ち帰る花摘みを楽しむこともできます。ピンクに赤、紫、オレンジと色とりどりの花の絨毯と日差しでキラキラと輝く青い海は、ひとつながりのパッチワークのような絶景で、SNSでもよく映えると人気です。潮風の運ぶ花の香りに包まれながら春を満喫できますよ。

カラフルな花畑の向こうには太平洋が広がっている。
カラフルな花畑の向こうには太平洋が広がっている。
写真は2月半ばに撮影。キンセンカやストックなどの花は摘み取って持ち帰ることもできる。
写真は2月半ばに撮影。キンセンカやストックなどの花は摘み取って持ち帰ることもできる。
潮風を感じながら花畑でのんびり散歩を楽しめる。
潮風を感じながら花畑でのんびり散歩を楽しめる。

南房総はなぜ暖かい?温暖な気候の理由とは?

南房総が冬も温暖な気候をしている理由は、沖合を流れる暖かい「黒潮」の影響を受けるためです。真冬でも急激に冷え込むことは少なく、霜が降りにくいため都心部に比べて一足早く花開きます。暖かい海から吹く南風が強まりやすいため、同じ首都圏でも都心部や内陸部とは気温差が大きくなることもよくあります。たとえば、関東沿岸部で南風が強まった2月19日には、正午の気温は館山市では19.4℃だったのに対し、東京都心は13.0℃と気温の差は6℃以上開きました。

南房総は暖流である黒潮の影響を受けるため、温暖な気候に。
南房総は暖流である黒潮の影響を受けるため、温暖な気候に。
都心部と沿岸部で気温差が大きく開くことも。(出典:ウェザーマップ)
都心部と沿岸部で気温差が大きく開くことも。(出典:ウェザーマップ)

「道の駅」で南房総の食を満喫しよう 海鮮にフルーツに千葉は食の宝庫

さて、ドライブ中におなかが減ったらぜひ「道の駅」へ寄り道しましょう。房総フラワーライン周辺には、「南房パラダイス」や「ちくら・潮風王国」などの道の駅が集中していて、千葉のグルメを思う存分に堪能できます。三方を海に囲まれ黒潮の恩恵を受ける南房総は海の幸が豊富で、アジにイワシ、タコ、アワビのほかイセエビやクジラなどの多彩な海鮮料理を楽しめます。このほか、温暖な気候の南房総ではびわやいちご、みかんなどの栽培も盛んで、果物を使ったスイーツなどもそろっています。

新鮮なネタが盛り沢山の海鮮丼に、揚げたてのアジフライ。海の幸を堪能しておなかいっぱいに。
新鮮なネタが盛り沢山の海鮮丼に、揚げたてのアジフライ。海の幸を堪能しておなかいっぱいに。

春とはいえ、まだ空気の冷たさが残るいまの季節。次のお休みには温暖な南房総へ一足早く春を満喫しに出かけてみませんか?(ただし、強風が予想されるときは「東京湾アクアライン」で速度規制が行われるなど交通への影響が出る可能性があるため注意してください。)

写真・文=片山美紀