熊本県直送の高品質馬肉を提供

4人掛けのテーブル席を中心に、奥には4人ほどで利用可能な半個室も備える。
4人掛けのテーブル席を中心に、奥には4人ほどで利用可能な半個室も備える。

店内に入るなり、壁面に掲げられる短冊メニューが飛び込んでくる。「コウネ、カクマク、バラウス……」あまり耳にしたことのない部位の名前が並び、どこの部位を食べられるのかとワクワクしてくる。

店長であり、店舗運営元の会社の営業本部事業部長も務める猶本広志(なおもとひろし)さんがこう話てくれる。

「コウネはたてがみ部分の肉で、カクマクは横隔膜、バラウスはバラの外側ですね。部位の言い方は熊本流で表記しています。と言いますのも、当店で使う馬肉は、安全で高品質な食品であることを認定したSQF取得の熊本県にある創業200年の老舗馬肉メーカーのものを中心に使っています」

品質に自信があるから、馬一頭分のあらゆる部位を焼き肉や刺し身で提供できるのだ。

猶本店長(左)とスタッフのタパ・マガール・プラカシュさん。
猶本店長(左)とスタッフのタパ・マガール・プラカシュさん。

品質管理も徹底!果実から作るサワーも美味

繊維から旨味が逃げないよう、引き切りでカットする。
繊維から旨味が逃げないよう、引き切りでカットする。

馬肉は熊本県が主だが、生産量が全国第3位の青森県からも仕入れている。「熊本県産の馬肉は、サシが多くて柔らかく甘みが強いのが特徴です。青森県はそれに比べて脂はさっぱりしているように思いますね」と猶本店長。

冷凍で仕入れた馬肉は、お客様に提供する時に程よい口溶けになるよう保管しており、注文を受けてからカットすることできれいな桜色で、鮮度のよいおいしさを楽しんでもらえるよう配慮している。

果実の薄皮をむき、種も除いて、砂糖を入れてじっくりと煮詰めていく。
果実の薄皮をむき、種も除いて、砂糖を入れてじっくりと煮詰めていく。

コンロでは大鍋で何かを作っていた。たずねたところ、自家製サワーの元を作っているのだとか。レモン、グレープフルーツ、オレンジの3種類あり、どれも皮をむき、種も除去して元から作っている。

手間をかけて作った三馬力サワー各550円は、サイコロを振って出た目の数で1杯無料や半額などの「チンチロリン祭」でお得に味わえるので、馬肉と一緒にぜひ楽しみたい。

こうしてできあがった3種類のサワーの元。
こうしてできあがった3種類のサワーの元。

焼き加減も部位によって異なる馬焼肉

写真は2人前。部位を書いた短冊の黒文字と赤文字は、焼き加減に違いだ。
写真は2人前。部位を書いた短冊の黒文字と赤文字は、焼き加減に違いだ。

注文したのは馬焼肉5点盛り合わせ(1人前)1900円。バラ、クラシタ、ロース、ヒモ(あばら骨の間の肉)、ギザギザ(お尻の一部)の異なる部位が盛られ、脂身を楽しむものや赤身の部位など肉質や味の違いを楽しめる。

鉄板をまんべんなくコーティングできる大きな馬脂にも驚く。
鉄板をまんべんなくコーティングできる大きな馬脂にも驚く。
最初は部位の説明をしながら、お手本の焼き方を見せてくれる。
最初は部位の説明をしながら、お手本の焼き方を見せてくれる。

最初だけスタッフが焼き方を指導してくれる。部位名を書いた短冊は、黒文字がミディアムで約1分、赤文字がレアで約10秒と、各部位による焼き加減を示すものだ。

タレは3種類。やや酸味のきいたさっぱり味と、リンゴのすりおろしを入れた甘めのタレのほか、やわらかな塩けを感じる雪塩。脂身の強い部位なら、雪塩で甘い脂と肉の旨味を味わうのがおすすめだ。

濃いめとさっぱりの自家製タレと、雪塩の3種類で楽しめる。
濃いめとさっぱりの自家製タレと、雪塩の3種類で楽しめる。
馬肉は低カロリー、高タンパクなので、どの部位も胃にもたれにくい。
馬肉は低カロリー、高タンパクなので、どの部位も胃にもたれにくい。

三馬力サワーはレモン味を注文したのだが、レモンの爽やかさと風味が口の中に広がり、馬肉との相性も抜群だ。飲んでいる間も、食べる箸の手がとまらない。

カットレモンを一搾りすれば、よりレモンの濃さが加わっておいしい。
カットレモンを一搾りすれば、よりレモンの濃さが加わっておいしい。

限定数量の貴重なレバー刺しも登場

極上馬刺し5点盛り合わせ(1人前)1340円。写真は2人前。
極上馬刺し5点盛り合わせ(1人前)1340円。写真は2人前。

馬刺しも合わせて楽しみたい。焼き肉と同じ部位もあるが、馬脂がおいしいフタエゴ(バラの一番外側)や、柔らかく厚みのあるヒレなどは刺し身だからこそ旨い。

入手困難なレバー刺し1420円。
入手困難なレバー刺し1420円。

追加で味わうなら、仕入れ状況によって手に入らない時もある数量限定のレバー刺しを。クセもないので食べやすく、口溶けのよさがたまらない。

歯ごたえのあるタン芯を使った炙りタン刺し1400円。
歯ごたえのあるタン芯を使った炙りタン刺し1400円。

炙りタン刺しも試してほしい。サシが程よく入ったタンとゴマ油の風味が口の中で一体となり、旨味と香ばしさが広がるのだ。

馬肉の特徴なのか、サワーのおいしさも加わって、量がいくらあっても食べられてしまいそうだ。だが、まだまだ気になる部位が多くて制覇しきれない。今度はグループで来ようと心に決めた。

住所:東京都豊島区池袋2-35-2 第三工藤ビル1F/営業時間:16:00〜23:00(土・日・祝は12:00〜)/定休日:不定/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩5分

取材・文・撮影=千葉香苗、構成=アド・グリーン