代表格はタコのすべり台じゃないだろうか
「水の生き物のすべり台」と聞いてまず真っ先に思い浮かぶのは、タコではないだろうか。グネグネと複雑に入り組んだ足から滑り降りるタコすべり台は、子どもたちの人気も高く、現在では全国に設置されている。
中でも初めてタコすべり台が設置されたという足立区には11基が集中し(※注1)、区のホームページでも所在地や特徴が紹介されているほどである(※注2)。
それぞれに個性豊かな塗装がなされているので、タコすべり台好きはぜひ足立区に巡礼に訪れて欲しい。
また各地には一般的なタコすべり台の造形とは多少異なるデザインのものもあり、その違いを楽しむのもよいだろう。
タコ以外の水の生き物はどうだろうか
ところで、タコ以外の水の生き物はどうか。その大きさから、クジラがモチーフとして選ばれることも多い。
浅草・隅田公園のクジラすべり台は、頭の方から登って尾の方に滑り降りる形になっており、大きなクジラと遊んでいるような気持ちになれる。
一方で普通の魚がすべり台になっている場合には、尾の方から登って口から滑り降りる形状が多いようで、大きさの違いから来るものなのか、あるいは別の理由なのか、興味深い。
水の生き物はそもそも、その造形が複雑にできているものが多いように思う。それをすべり台にする場合、どこから登ってどこに滑り降りるようにするかというのは、制作者の腕の見せどころなのかも知れない。
東保木間公園にある巨大カメのすべり台は、そもそも登るための階段やはしごなどが見当たらず、
甲羅の頂上に登るには鎖を使ってよじ登らなければならないという上級者向けの造りである。
一方豊洲の巨大カニすべり台は、カニの顔やハサミの部分から登り、甲羅部分から滑り降りる形になっていてわかりやすい。
その中でも、もともとのモチーフと、すべり台としての造形がうまく合致していると感心したすべり台を宇都宮で発見した。サザエである。
背後にあるはしごから登り、巻貝の中をらせん状に滑り降りる形で、さざえ堂を連想させる。いい大人である私は、中で詰まってしまうことを恐れて実際に滑り降りることはできなかったが、子どもであればさぞ楽しいに違いない。
ここまで、生き物がモチーフとなったすべり台を見てきた。ところが、すべり台のモチーフとなるのは何も生き物とは限らないのである。生き物以外にすべり台モチーフとして用いられるものとは何か……?来年もまたすべり台探索の旅は続く。
※注1=出典:「読売新聞」2022年5月2日( https://www.yomiuri.co.jp/national/20220501-OYT1T50206/ )
※注2=出典:足立区ホームページ( https://www.city.adachi.tokyo.jp/koen/takosan.html )
イラスト・文・写真=オギリマサホ