ゾウじゃなければなにをすべり台にするか

「ゾウの次にすべり台にしたい生き物」ナンバーワンは、キリンではないだろうか。何にせよ体の一部に長い部分を持っている生き物は、すべり台にするには最適だ。

写真では死角になっているが、計3頭のキリンが首を下げている(北区・赤羽公園)。
写真では死角になっているが、計3頭のキリンが首を下げている(北区・赤羽公園)。

しかし、特に長い生き物でなくてもすべり台になることがある。たとえば町屋・荒川五丁目公園には、座ったフタコブラクダをモチーフにしたすべり台がある。

.ラクダのつぶらな瞳がかわいらしい(荒川区・荒川五丁目公園)。
.ラクダのつぶらな瞳がかわいらしい(荒川区・荒川五丁目公園)。

前脚というには不自然な位置と、左わき腹部分にすべり台が設置されており、子どもたちはコブによじ登ったり、好きな位置からすべり降りたりと、多様な遊び方ができる。この公園ではラクダは単なるすべり台ではなく、複合遊具の役割を果たしているのだ。

特にそうしたレジャー要素はなくても、おそらく「かわいいから」「子どもに人気がある動物だから」という理由のみですべり台にされた生き物もいる。

前から見るとかわいらしいが、後ろから見ると背中に哀愁が漂う(藤沢市・後河内公園)。
前から見るとかわいらしいが、後ろから見ると背中に哀愁が漂う(藤沢市・後河内公園)。

藤沢・後河内公園にあるパンダのすべり台は、お腹からすべり台が出ている形で、特にパンダの造形とすべり台に直接的な関係性はなさそうだが、子どもには大人気だろう。

子どもに大人気、と言えば恐竜である。

よく見ると横っ腹に穴が開いているのでちょっと怖いが、子どもたちは大はしゃぎである(江戸川区・総合レクリエーション公園)。
よく見ると横っ腹に穴が開いているのでちょっと怖いが、子どもたちは大はしゃぎである(江戸川区・総合レクリエーション公園)。

葛西・総合レクリエーション公園には、背中に帆を持つ巨大な恐竜(スピノサウルスだろうか)のすべり台があり、尾の部分からすべり降りることができる。恐竜の大きさはまた、すべり台化するには大変適していると思われる。

一方、子どもに大人気ではあるが、だいぶ巨大化させなければすべり台にできない生き物もいる。昆虫だ。

昆虫の細い脚は遊具で省略されがちだが、忠実に再現されている(豊島区・西巣鴨公園)。
昆虫の細い脚は遊具で省略されがちだが、忠実に再現されている(豊島区・西巣鴨公園)。

大塚・西巣鴨公園の巨大なカブトムシのすべり台は、大きな角や足など造形的に楽しい作りになっている。カブトムシがここまで大きいとなると、ここで遊ぶ子どもは自らがアリになったような気分になるのではないか。

亀戸・竪川第一公園のテントウムシもだいぶ巨大だが、

テントウムシは丸いので、そのままだと上りづらそうだが、ネットを張るなど工夫がされている(江東区・竪川第一公園)
テントウムシは丸いので、そのままだと上りづらそうだが、ネットを張るなど工夫がされている(江東区・竪川第一公園)

こちらはつるっとした丸いフォルムで親しみやすい。

こちらは割と普通サイズ?のカマキリすべり台。すべり台部分がカマだろうか(豊島区・南長崎はらっぱ公園)。
こちらは割と普通サイズ?のカマキリすべり台。すべり台部分がカマだろうか(豊島区・南長崎はらっぱ公園)。

陸の生き物に含めてよいのかは微妙だが、立川・錦第二公園には巨大なオニのすべり台がある。

鬼の肩?部分から上り下りできるようになっている。目玉の部分が案外かくれんぼに役に立つ(立川市・錦第二公園)
鬼の肩?部分から上り下りできるようになっている。目玉の部分が案外かくれんぼに役に立つ(立川市・錦第二公園)

電車の車窓からも見える大きな赤鬼の顔は、地域の人々のシンボルにもなっている。子どもが泣きはしないかと不安になるが、ここまで巨大だと逆に怖さも感じないのであろう。私が訪れた際も、多くの子どもたちがすべり台遊びに興じていた。

illust_14.svg

ここまで陸の生き物すべり台について見てきたが、恐らくは海の生き物のすべり台も各種あるに違いない。そう期待して、また公園を散策する日々が続く。

イラスト・文・写真=オギリマサホ