ここに来ないと食べられない!何系とも形容しがたい、新感覚のつけ麺が売り。

店主の佐野さん。錦糸町にお店をオープンし、2022年12月で丸8年となる。
店主の佐野さん。錦糸町にお店をオープンし、2022年12月で丸8年となる。

錦糸町北口から押上方向へ歩く。公園や商業施設を通り過ぎ、都道315号を一本入ったスカイツリーの見える道にあるのが『麺屋 りゅう』。店主はラーメン店で店長を勤め、有名つけ麺店で5年間修業をした佐野さん。その店主が独立して開店したお店がこの『麺屋 りゅう』である。

決して主張することのないシンプルな佇まい。
決して主張することのないシンプルな佇まい。

それぞれスープの異なるつけ麺、塩らーめん、醬油らーめんや限定の煮干しそばなど、個性豊かな顔ぶれのらーめんが揃っている。その中でも、元々つけ麺屋で修業を積んだという店主のおすすめはもちろんつけ麺。他店では決して味わうことのできない唯一無二のつけ麺をご紹介しよう。

 

満足感と食べやすさの共存した変わり種スープ

つけ麺のスープとは思えないサラサラとした見た目。
つけ麺のスープとは思えないサラサラとした見た目。

『麺屋 りゅう』のつけ麺の特徴は、スープにある。ドロッとしたイメージのあるつけ麺のスープだが、『麺屋 りゅう』のつけ麺は珍しくサラサラとした見た目。このスープは、一般的に使用される煮干しではなく鮮魚を活かして作られる。一見シンプルな醤油ベースにも見えるが、鶏、豚、魚の中骨に加え、トマトやカボチャ、ナッツも入っているというのだから驚きだ。

このスープにチャーシュー、メンマ、ネギ、ショウガが載って提供される。早速スープから一口いただいてみると、まず魚介の香りがしっかりと前に出てくる。あっさりしているようにも思えるが、味わっていくと次第に濃厚に感じるようになる。トマトやカボチャ、ナッツ由来なのであろうか、ポタージュのようにも思える。

「子どもにも食べてほしいので、食べやすいスープを」と店主。実際に、小学1年生ほどの子どもでもぺろりと一人前平らげるのだという。

冷水でしめた中太麺。
冷水でしめた中太麺。

麺はコシのある中太麺。このコシは茹でた後に冷水でしめることによって出てくるものであるのだが、夏や冬、気候によって茹で加減や冷水でのしめ加減を数秒単位で調整しているのだそう。麺の適切な硬さを手で触れただけでわかってしまう店主は、まさに職人である。

綺麗なピンク色が特徴的な低温調理のチャーシュー。
綺麗なピンク色が特徴的な低温調理のチャーシュー。

そしてトッピングのチャーシュー。ジューシーで肉肉しくはありつつもさっぱり食べられるチャーシューは、低温調理で作られる。チャーシューと聞いて思い浮かべるようなホロリとした繊維感と脂のくどさはなく、低温調理ならではの柔らかさとしっとりとした食感。この綺麗なピンク色も、10時間かけて低温でゆっくりと火を通した証である。

スープに入れる焼石のサービス。一気に沸騰して、アツアツに。
スープに入れる焼石のサービス。一気に沸騰して、アツアツに。

食べ進めているうちにどうしてもスープが冷めてしまい、冷水でしめられた麺と温かいスープのコントラストが楽しめなくなる。しかし、『麺屋 りゅう』では、冷めてきたスープに焼石を入れてもらえる。提供時のアツアツのスープが蘇るだけでなく、スープがより香ばしくなる。まさに、一石二鳥。

様々な調味料で好きなように味変ができる。
様々な調味料で好きなように味変ができる。

また、テーブルには味変のための調味料が置いてある。調味料は、ごま、胡椒、一味唐辛子や玉ねぎを揚げたあげねぎなど様々。食べ進めると飽きてきてしまうこともあるらーめんでも、これらがあれば最後まで美味しくいただけることは間違いない。

筆者が特に好きだったのが、カレー塩。はじめは半信半疑だったが、これがびっくりするほどスープに合う!店主曰く「洋風な食材が入っているからでは」と。スパイシーなカレー粉がトマトやカボチャ、ナッツのまろやかさや甘みを引き立て絶妙にマッチする。カレー塩を足した後は、全く別のものをいただいているような感覚だった。

つけ麺以外にも個性派揃い

背脂煮干しそば 並900円。煮干しそばを食べた後に和え玉を注文するのが流行しているよう。
背脂煮干しそば 並900円。煮干しそばを食べた後に和え玉を注文するのが流行しているよう。

最近流行しているという和え玉200円と、限定の煮干しそば900円もいただいた。

煮干しそばは、カタクチイワシやアジの煮干し、イカの煮干しで取ったスープにつけ麺と同じ中太麺が入っている。スープをいただくと、イカの煮干しの風味を強く感じる。多少好き嫌いはありそうだが、味わったことのないスープが面白い。この煮干しそばは、らーめん好きのお客さんに特に人気だという。

 

和え玉200円。カルピスバターが贅沢にのる。早く提供できるよう細麺の工夫も。
和え玉200円。カルピスバターが贅沢にのる。早く提供できるよう細麺の工夫も。

和え玉は、麺の下にタレが敷かれ、サバ節やカルピスバター、角切りのチャーシューが載っている。全体を混ぜた後、そのまま食べるも良し、スープを少しだけかけて油そば風にするも良し、スープに入れて替え玉にするも良しと、3通り楽しめるのだ。さらに、煮干しそばには太麺を使用していたが、和え玉の場合細麺を使用するため、麺の違いも堪能することができる。カルピスバターの癖のない濃厚さと香り、サバ節の燻製の香りも相まって至高であった。

一席一席が比較的広々としているカウンター。ランチ時には満席になる。
一席一席が比較的広々としているカウンター。ランチ時には満席になる。

多すぎず、でも満たされる量の麺で一杯がちょうどいい量。物足りない人は無料の麺大盛りや平日ランチの白米サービス、和え玉を注文するのもいいだろう。

食べる速度も、量も、好きな味わいも異なるお客さんたち。『麺屋 りゅう』では、どんなお客さんでも楽しめるよう工夫され、いつでも温かいつけ麺・らーめんが待っている。

『麺屋 りゅう』店舗詳細

住所:東京都墨田区太平3-12-3 石川ビル 1F/営業時間:11:30~14:00・19:00~22:30/定休日:不定/アクセス:JR・地下鉄錦糸町駅から徒歩7分

取材・文・撮影=佐藤 澄美麗