ここに来ないと食べられない!何系とも形容しがたい、新感覚のつけ麺が売り。
錦糸町北口から押上方向へ歩く。公園や商業施設を通り過ぎ、都道315号を一本入ったスカイツリーの見える道にあるのが『麺屋 りゅう』。店主はラーメン店で店長を勤め、有名つけ麺店で5年間修業をした佐野さん。その店主が独立して開店したお店がこの『麺屋 りゅう』である。
それぞれスープの異なるつけ麺、塩らーめん、醬油らーめんや限定の煮干しそばなど、個性豊かな顔ぶれのらーめんが揃っている。その中でも、元々つけ麺屋で修業を積んだという店主のおすすめはもちろんつけ麺。他店では決して味わうことのできない唯一無二のつけ麺をご紹介しよう。
満足感と食べやすさの共存した変わり種スープ
『麺屋 りゅう』のつけ麺の特徴は、スープにある。ドロッとしたイメージのあるつけ麺のスープだが、『麺屋 りゅう』のつけ麺は珍しくサラサラとした見た目。このスープは、一般的に使用される煮干しではなく鮮魚を活かして作られる。一見シンプルな醤油ベースにも見えるが、鶏、豚、魚の中骨に加え、トマトやカボチャ、ナッツも入っているというのだから驚きだ。
このスープにチャーシュー、メンマ、ネギ、ショウガが載って提供される。早速スープから一口いただいてみると、まず魚介の香りがしっかりと前に出てくる。あっさりしているようにも思えるが、味わっていくと次第に濃厚に感じるようになる。トマトやカボチャ、ナッツ由来なのであろうか、ポタージュのようにも思える。
「子どもにも食べてほしいので、食べやすいスープを」と店主。実際に、小学1年生ほどの子どもでもぺろりと一人前平らげるのだという。
麺はコシのある中太麺。このコシは茹でた後に冷水でしめることによって出てくるものであるのだが、夏や冬、気候によって茹で加減や冷水でのしめ加減を数秒単位で調整しているのだそう。麺の適切な硬さを手で触れただけでわかってしまう店主は、まさに職人である。
そしてトッピングのチャーシュー。ジューシーで肉肉しくはありつつもさっぱり食べられるチャーシューは、低温調理で作られる。チャーシューと聞いて思い浮かべるようなホロリとした繊維感と脂のくどさはなく、低温調理ならではの柔らかさとしっとりとした食感。この綺麗なピンク色も、10時間かけて低温でゆっくりと火を通した証である。
食べ進めているうちにどうしてもスープが冷めてしまい、冷水でしめられた麺と温かいスープのコントラストが楽しめなくなる。しかし、『麺屋 りゅう』では、冷めてきたスープに焼石を入れてもらえる。提供時のアツアツのスープが蘇るだけでなく、スープがより香ばしくなる。まさに、一石二鳥。
また、テーブルには味変のための調味料が置いてある。調味料は、ごま、胡椒、一味唐辛子や玉ねぎを揚げたあげねぎなど様々。食べ進めると飽きてきてしまうこともあるらーめんでも、これらがあれば最後まで美味しくいただけることは間違いない。
筆者が特に好きだったのが、カレー塩。はじめは半信半疑だったが、これがびっくりするほどスープに合う!店主曰く「洋風な食材が入っているからでは」と。スパイシーなカレー粉がトマトやカボチャ、ナッツのまろやかさや甘みを引き立て絶妙にマッチする。カレー塩を足した後は、全く別のものをいただいているような感覚だった。
つけ麺以外にも個性派揃い
最近流行しているという和え玉200円と、限定の煮干しそば900円もいただいた。
煮干しそばは、カタクチイワシやアジの煮干し、イカの煮干しで取ったスープにつけ麺と同じ中太麺が入っている。スープをいただくと、イカの煮干しの風味を強く感じる。多少好き嫌いはありそうだが、味わったことのないスープが面白い。この煮干しそばは、らーめん好きのお客さんに特に人気だという。
和え玉は、麺の下にタレが敷かれ、サバ節やカルピスバター、角切りのチャーシューが載っている。全体を混ぜた後、そのまま食べるも良し、スープを少しだけかけて油そば風にするも良し、スープに入れて替え玉にするも良しと、3通り楽しめるのだ。さらに、煮干しそばには太麺を使用していたが、和え玉の場合細麺を使用するため、麺の違いも堪能することができる。カルピスバターの癖のない濃厚さと香り、サバ節の燻製の香りも相まって至高であった。
多すぎず、でも満たされる量の麺で一杯がちょうどいい量。物足りない人は無料の麺大盛りや平日ランチの白米サービス、和え玉を注文するのもいいだろう。
食べる速度も、量も、好きな味わいも異なるお客さんたち。『麺屋 りゅう』では、どんなお客さんでも楽しめるよう工夫され、いつでも温かいつけ麺・らーめんが待っている。
『麺屋 りゅう』店舗詳細
取材・文・撮影=佐藤 澄美麗