デザイナーとしてのセンスも光る店づくりやPOP
店内はわずか5席のカウンター席のみで、驚くほどコンパクトな店だ。以前はデリバリー専門店の「豚ラーメン榊 池袋本店」で、一部の内装は変えたものの、ほぼそのまま引き継いだ形でオープンした。
店主の稲田勇貴さんは、「修業していた先の『自家製熟成麺 吉岡』のオーナーが榊と同じで、独立の際この場所を譲り受ける形でオープンしました。ラーメンは、自分でいろいろ探求する中で、塩そばを看板メニューにすることにしました」と話す。
オープン準備は、別店舗で働きながらやっていたので、合間をみながらベースとなるスープ作りを行っていたとのこと。
「以前、居酒屋でも働いてたこともあるんですが、その頃から店のチラシやPOPなどを作るようになったんです。ですので、ロゴやメニュー表は自分で作っていますし、店名の三原色=RGBもここからヒントを得て付けました。コンセプトとしては、「“おいしいこと・たのしいこと・ときめくこと”です」と稲田さん。
コンセプトに合わせたおしゃれなロゴや、きれいな暖簾のグラデーションなど、デザイナーとしてのセンスも光る稲田さん。この手で作られるラーメンにもますます期待がかかる。
鶏スープの深い旨みがたまらない1杯
食券を買って、看板メニューの特製塩そば1100円を注文した。
「スープには徳島県産・神山鶏のモミジと、根昆布を使っています。上品で味わい深いダシが出てるんですね。これにホタテやカツオ、サバなどを加えた塩ダレを合わせています」と稲田さん。メニューには塩そば以外に、豚そば880円や濃い魚そば900円などがあり、メニューに合わせて3種類のスープを作っているのだそうだ。
かなりの手間だと思うのだが……。「そうなんです。けっこう大変なんです、厨房も限られていますので。だから、それぞれ作り置きをして、注文を受けるごとに温めて使うようにしています」。
話を聞きながら待つこと数分。目の前に出された丼を見て、感動した!とにかくスープがきれいで、透き通っている。ふんわりと有明産岩のりが香り、食欲をそそられる。
真っ先にスープをすくい上げ飲んでみると、コクがありながらも、とてもやさしい飲み口だ。まろやかな塩けが口の中にふわりと広がっていく。これはおいしい!
麺は、低加水細ストレート麺を選んだのだが、スルッとすすり心地がよい。スープの旨みをしっかり持ち上げるから、鶏スープのおいしさを存分に堪能できる麺だ。
トッピングはゆで卵、2種類のチャーシュー、有明産岩のり、小松菜やほうれん草など青菜が定番となっている。
2種類のチャーシューは豚肩ロースを使用し、低温調理したものと、さらに醬油に漬け炙ったものをトッピングしている。4枚もあるから食べごたえもあり、食感の違いを楽しめるスープに負けないインパクトだ。
シャッキリとした青菜や、磯の風味がよい岩のりも主張しているものの調和がとれていて、スープ、麺、トッピングの三位一体のバランスがよい1杯といえる。
炙りチャーシューのおいしさを楽しむ人気のサイドメニュー
塩そばと一緒にオーダーしたのが、サイドメニューのネギ叉焼丼。トッピングにも使われている炙りチャーシューが主役なのだが、塩そばに次ぐ人気メニューとなっているという。
醬油の味がしっかり染みこんだ歯ごたえのあるチャーシューは白いごはんとの相性も抜群で、ネギやユズのさっぱり感がよりおいしさを際立たせる。少し大きめのご飯茶碗なので量もあるが、ペロッと食べられしまう。
慣れた人は、塩そばで残ったスープを合わせて楽しむ人もいるとのこと。塩そばをしっかり味わった後なのだが、丼もしっかりいただいた。
『ラーメン三原色』店舗詳細
取材・文・撮影=千葉香苗 構成=アド・グリーン