本場韓国の家庭料理そのままの味にホッとする
池袋西口から5分。昔ながらの飲食店も数多く残っている一角だ。「古き良き池袋の名残りが残る地域なんです」と語るのは店長の宮崎正寛さん。
『自起屋』(じきや)のオープンは2001年。流行りのメニューを出すのではなく、本場韓国の家庭料理を丁寧に仕上げる、オモニの味にこだわっている。
「お客様は韓国の方も多いんです。納得の味なんでしょうね」と嬉しそうに宮崎さんが話す。
池袋のこの界隈にはさまざまな国籍の人が多く住む。彼らを満足させ、さらに池袋のビジネスマンや学生さんたちも足繫く通う店として安定の地位を築いている。
ランチは入り口、ワンコインでも本気の手間ひま
『自起屋』の日替わりランチメニューはなんとワンコイン。しかも夜のメニューもオーダー可能だ。
キッチン担当のオモニに話を聞く。
「ランチはワンコインだけど、いわゆるワンコインなりの作り方はしていない。手間ひま時間をかけて、丁寧に作っています。
今はランチだけで100人分以上の仕込みをしています。手がかかるから大変だけど、おかげさまで評判がいいのよ。ランチが美味しければまた来てくれるでしょう。夜も来てくれる。だから頑張ってます」。
100人分……! それはすごい!
「サムゲタンは店で仕込んでいます。手がかかるから既製品を使うお店が多いけど、ウチでは手作りにこだわってるの。インサン(高麗人参)は韓国から直輸入したものを使ってるし、ナツメも入ってます。鶏の臭みのない、澄んだスープが自慢。ぜひ一度チャレンジしてみて」。
バラエティ豊かなメニュー、毎日通う人も
筆者が気になったのはサムギョプサル丼なるメニュー。
サムギョプサルって、焼いてハサミで切りながら食べるから、ランチではなかなか手が出せないと思っていた。服にも匂いが付くし。
「お昼にも食べたいですよね、サムギョプサル。『自起屋』では、ランチでも気軽に食べられるよう、オリジナルで開発したのがサムギョプサル丼です」と宮崎さん。
お、美味しそう!! サムギョプサル好きとしては、嬉しい発明! さらにスタミナが付きそうなので、大切な仕事の前に食べるのも良さそう。
メニューが多いですね。スンドゥブだけで6種類も。麺類も美味しそう。
「スンドゥブは牛骨で出汁を取ってるからコクがある。麺類のスープにも使用してるので、ラーメンも人気です。これだけメニューがあるから、お客さんに、毎日通っても飽きないお店って言われるの」とオモニ。
「美味しかったよと言って帰るお客様のホッとした顔を見ると、満足されたんだなって嬉しく思います。これからも美味しい韓国料理を作っていきますよ!」。
店長さんはじめ、スタッフの皆さんの笑顔には料理への自信と仕事への情熱が光っていた。
次は何を食べようか。目移りしながら迷うのもまた、楽しみなお店だ。
構成=フリート 取材・文・撮影=逸見チエコ