土産物のキーホルダーをどうにか活用できないか
土産物店の店先に、必ずと言っていいほど陳列されているキーホルダー。安価で小学生にも買い求めやすく、子どもの頃はお土産としてもらうことも多かった。キーホルダーをランドセルに付ける期から、ケータイにご当地ストラップをジャラジャラ付ける期を経て、大人になってからはキーホルダーを買う機会ももらう機会も激減している気がする。それでも観光地に生き残っているキーホルダーをなんとか活用したい、と思った私は、キーホルダーをピアスに加工することを思いついたのである。
以降、観光地に赴いては手頃な大きさのキーホルダーを求めているうちに、観光地のキーホルダーにはいくつかの傾向があることに気が付いた。
汎用型の縁起物タイプ
まず、熱海の土産物店で売られていた七福神の根付やひょっとこ、
高尾山の恵比寿と大黒が両面になったキーホルダーなど、縁起物がモチーフとなっているもの。
なぜ熱海でひょっとこなのか、高尾山で大黒なのか、考えても仕方がない。このジャンルは「その土地の土産物」というより「縁起の良いものを身に着けること」に重きが置かれているからだ。
大阪のビリケンさんはまだご当地色の濃い縁起物だが、
高尾山の托鉢僧はおそらく、日本全国を回れば同じ僧に出会えそうな気がする。
自ら運を掴み取る系の縁起物として、おみくじキーホルダーも根強い人気を誇る。小学生時代、「飛び出る系」や「中を覗ける系」のキーホルダーは特に人気が高かった。今の子どもたちもそうなのだろうか。私は清里で入手したが、同じものを他の観光地で見かけたことがある。
みやげ物感じ強めのご当地キャラクタータイプ
縁起物のような「汎用系土産」に対し、ご当地のキャラクターがデザインされたキーホルダーは、土産物感を高めてくれる。千葉県のキャラクター・チーバくんや大阪のくいだおれ太郎、広島のカープ坊やをデザインしたマンホールのキーホルダーなどはその一例だ。
国立歴史民俗博物館(千葉)のショップで入手したキーホルダーも、芝山古墳群で馬型埴輪が出土していることを思えば、ご当地キャラと言ってもいいのかも知れない。
しかし高尾山のタヌキやサルとなると、確かに高尾山にはタヌキやサルは生息しているだろうが、果たしてこれをご当地キャラと呼んでもよいものか、判断に迷うところだ。
キャラクターではないが、その地を走る鉄道、名所などもご当地感溢れるモチーフである。
とは言え、東京タワー下の土産物店で入手したタワー型キーホルダーは、どう見てもエッフェル塔のような……?
現物とともにお土産にしたい、ご当地グルメ系タイプ
普通ならば現物をお土産にするご当地グルメも、キーホルダーになるとまた違った味わいが出る。
先日熱海に行った際、アジの干物やサザエ、キンメダイといった海産物には目もくれず、それをモチーフとしたキーホルダーを購入して帰った。
干物は食べればすぐになくなってしまうが、キーホルダーをピアスにすれば、いつまでもその思い出を耳に飾っておくことができる。
また最近ではご当地お菓子のキーホルダーも多く発売されているが、パッケージを見ているだけでも楽しい気分になる。
キーホルダーをふたつ買う気持ち
ここまでさまざまなキーホルダーを見てきたが、世の土産物店には一定数「なんだかよくわからないキーホルダー」が存在する。なぜ高尾山で糸巻きなのか、なぜ熱海で竹馬なのか。縁起物の時にも同じ疑問を抱いたが、縁起物であれば身に着ける理由もわかる。もし友人から熱海土産として竹馬のキーホルダーを渡されたら、私はどうすればよいのだろう。複雑な気持ちを抱きながら、私は竹馬をピアスに加工した。
今後も各地の土産物店で味わい深いキーホルダーを発見していきたいとは思っているが、問題は「ピアスに加工する場合、同じものを2つ買わなければならない」という点だ。2つのキーホルダーをレジに持っていく際、「家で待っている双子にあげるんです、双子なので同じものじゃないと喧嘩になるんです」などと、空想の双子をでっちあげて、自らの心に言い訳をしている自分を少々いじらしく思う。
絵・文・写真=オギリマサホ