愛してやまない「ラーメンショップ」のインスパイア系
「ラーメンショップ」通称ラーショは全国に300店以上をフランチャイズ展開するラーメンチェーン。左右に「うまい」、真ん中に「ラーメンショップ」と書かれた真っ赤な看板といえば思い出す人も多いはず。『ラーショ マルミャー』はラーショのチェーン店ではなく、オーナーのラーショ愛とリスペクト、さらに上の味に挑むインスパイア系の店だ。
そもそもラーショにはフランチャイズとしての決まりがほとんどない。ロイヤリティを支払う必要もなく、本部からラーメンタレや麺などの食材を購入してもいい(購入しなくてもいい!)というルールなので、個店ごとにまったく違うラーメンを提供する。強いて共通点をあげるなら背脂豚骨系で、ネギを味付けるための辛味のある粉末調味料「クマノテ」を本部から買って使う店が多いということ。もちろんこの店は本部から買うことができないので、「食材や調理方法は秘密」という自家製のクマノテを使用している。
たっぷりネギとはみ出したチャーシューのインパクト!挑み甲斐感じるビジュアル
ラーメンは醤油、塩、味噌の3つの味が基本で、プレーンな状態の「白」と辛味をつけた「赤」のどちらかを選ぶ。今回は、ネギチャーシューメンの醤油・白、味の濃さ・油の量・麺のかたさすべて「ふつう」、麺の量は210gの中盛にした。オーダーしてから待つこと数分。ダイナミックにチャーシューがはみ出し、山のようにネギののった丼が眼の前にやってきた。
海苔からふんわり磯の香りが漂う中、まずは背脂の浮いたスープをひと口。おや?このビジュアルなのに意外にもくどさがなく、むしろスッキリした感じだ。豚ガラや背ガラ、あとでチャーシューになる腕肉の塊、香味野菜などを5時間以上炊いた出汁を作り、腕肉は取り出して真空調理でチャーシューに、ガラは除いた出汁はスープと背脂に分けておく。スープ自体は淡麗であっさり、背脂は好みの量に調節できるスープのできあがりだ。良質な背脂はしっとり感と甘みがプラスされるので、程よくこってりじわり。あっさりとこってりが共存してるから、スープもじゃんじゃん飲めちゃうなあ……。おっと!麺だ麺だ。麺も食べなきゃ!
中細ストレート麺はツルツルモッチリ、軽くスルスルっとすすれる滑らかさ。スープの粘度がちょうどよく、絶妙に麺と絡みつく。適度なコシと弾力で、喉越しも楽しめる。一人前約100g使用するという大量のネギは太めの白髪ねぎぐらいに切りそろえられていて、軽い辛味とシャキシャキとした歯ごたえが◎。唐辛子はもちろん、柑橘系やスパイスなど複雑な味わいで、これだけで食べてもとてもおいしい。時間が経つと、ネギがちょっとしんなりしてくる。シャッキリ感は減るが、味が濃くなってくるので筆者はこうなってからがお気に入りだ。
真空調理したチャーシューは肉々しさがありつつも、しっとりやわらかく臭みもまったくない。適度に脂も抜けているのでくどさもない。薄切りだからこその醍醐味は、麺を巻いて食べること。食べやすいし肉と麺の旨みが最高だ。思いのほかよかったのがわかめのトッピング。コリコリとした肉厚のわかめの食感と磯の風味がいいアクセントになっていた。
味変グッズでさらに自分好みに。それもラーショの楽しみ方
ガッチリ味変に行ってみよう。今回はたっぷり刻みショウガと黒胡椒、ニンニク少々を投入!すっきりスープにどかんとパンチが加わって、この味もアリ。豆板醤を入れるのもいいかななど、自分の好みの味を追求するのも楽しい。店長の齊藤さんも「思い切り好きなように味わって楽しんでほしい」と話す。
ほぼ毎月限定メニューを提供しており、楽しみにしている常連も多く、ラーショの各店と比べても高い評価と人気を誇るこの店。日々少しずつ味を変化させ続け、さらに上のおいしさを目指している。
取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ 構成=アド・グリーン