レインボー
1989年生まれ千葉出身のジャンボ(トップ写真左)と1993年生まれ大阪出身の池田(トップ写真右。共にNSC東京18期生)が2016年に結成。2018年に『ぐるぐるナインティナイン』の「おもしろ荘」優勝。中毒性のあるリアルなコントでブレイク中。
今回訪れたのは…… 『よしもと幕張イオンモール劇場』 [ 幕張 ]
「メイク道具も衣装も、とりあえずここで全部揃います」という池田の言葉どおり、ここに来れば衣食住すべてがまかなえる幕張イオンモール内にある常設劇場。
途中ふらりと買い物している芸人さんに遭遇する率も高い!?
ようこそ、ジャンボのふるさと幕張へ
――レインボーさんが初めて幕張のステージに立ったのはいつでしたか?
ジャンボ 俺らが1年目の時にここができたんです。だからよく「幕張に手伝いに行け」って言われたんですけど、俺、出身幕張なんで、逆に嫌で。
池田 呼び込みしてて「おー、実方(ジャンボ)じゃん、出るの〜?」とかあったな。
ジャンボ あれがほんと嫌でしたね。だから幕張初めて立ったの、下手したらレインボーになってから(2016年)かな。
池田 イオンモール幕張新都心には『カンドゥー』っていうアミューズメントパークがあるんですけど、芸人はみんなそこでバイトできるんですよ。行き帰りはちょっとしんどいですけど、バイト代は結構もらえて。でもそのバイトをジャンボだけやらんかった。
ジャンボ ちなみにひょっこりはんはそこで出会った女の子と結婚してます(笑)。
俺、それこそイオンモールができる前からずっと住んでるんで、ここが空き地だった時代から知ってるんすよ。ずっと「なにができんの!?」って思ってた。最初にぽつんとコストコができて。それからイオンができて、お笑いの劇場が入るっていうのにもビックリして。
――幕張はどういうイメージの劇場ですか?
ジャンボ 「兄さん方の劇場」ってイメージでした。若手が出る劇場じゃないっていう。
池田 遠い以外は完璧です。楽屋もめちゃくちゃ広いですし綺麗ですし。
ジャンボ 楽屋で上の先輩たちとずっと一緒だと肩身狭いじゃないですか。でも一番奥の端っこは若手の楽屋って感じで。だから若手だけでキャッキャやってるのに、たまにフルーツポンチの亘さんだけここ来るんですよ。勘弁してよぉ〜。
池田 なんで若手のとこ来ちゃうの〜。
ジャンボ 舞台も抜群ですね。ここはもう「お笑いの劇場にしよう」と思って作ってますからね。俺らの単独もやりました。
池田 『ようこそ、ジャンボのふるさと幕張へ』っていうタイトルで。ジャンボのふるさとっていうのがうれしいですね。
ジャンボ 吉本芸人で唯一らしいですよ。5000人くらいいる中で、幕張出身って多分俺だけ。
池田 幕張、お笑いの文化ない(笑)。
ジャンボ しょうがないです、埋め立て地なんで(笑)。
先輩たちとの楽しい“小旅行”
――幕張の忘れられない思い出やエピソードはありますか?
池田 僕『カンドゥー』でバイトしてたんですけど、1年目なんでちょっと舞台観に行きたいじゃないですか。当時は配信もなかったんで、生で舞台観たいな〜と思ってたら、その時の支配人が「休憩時間全部観ていいよ」って言ってくださって。その時『爆ハリ!』っていう、ジャルジャルさんとかしずるさんとかはんにゃさんが1週間毎日(曜日ごとにコンビが固定されて)やってるライブがあって。そういう定期公演をバイトの合間に観られるっていうのが一番ありがたかった。
ジャンボ ネルソンズさんにすっごいお世話になっているんですけど、ネルソンズさんと2カ月に1回一緒のライブがあって、昼公演終わったらみんなでごはん食べに行くんですよ。フードコートとかで、今日みんなどこ行く〜? ってキャッキャして。そのあとに(ネルソンズ)和田さんが「コーヒー飲むか?」って喫茶店連れてってくれて、コーヒーとかアイスクリームごちそうになって。そこからみんなで服見たり……えっこれ旅行? みたいな。2カ月に1回、ライブというよりは、ちょっと旅行に来ているみたいな。ライブ終わった後、幕張の公園でお花見したこともありました。
池田 僕はライブ終わったらすぐ帰る組(笑)。車で来てるんで、コストコの会員になって、帰りにコストコで歯ブラシやパン買って帰ります。幕張のコストコ、信じられないくらいデカいんですよ。
ジャンボ 俺、人生で1回もコストコ行ったことないです。地元すぎて。ほんと行く気しないです。
池田 めっちゃ寿司とかうまいで。
ジャンボ そんなん大した事ないって、コストコだろ。うちのお母さんが(コストコ)できた当時に「あんなのデカいだけで行くとこじゃない、うちら行くとこじゃない」って言ってたもん。
池田 コストコ何やと思ってんねん(笑)。
僕は駅前のアウトレットも行きますし、めっちゃお金使うんですよ幕張来ると。危うくイオンモールでウォーターサーバー契約しそうになりました。
ジャンボ うちお兄ちゃんが足31㎝あったんで、あそこのアウトレットにはよく買い物に行きました。当時ヨーカドーには31㎝の靴ないですからね。
――お二人の幕張の使い方が本当に対照的ですね(笑)。
池田 イオンモールのマッサージ屋さんにも行きます、舞台の合間。眼科に行くこともあるな。
ジャンボ なんで俺より幕張楽しんでるんだよ。俺の幕張だぞおまえ。
――幕張に来るお客さんはどんな方が多いですか?
ジャンボ 夏休みになると、一見(いちげん)さんが増えますね。今日も野球部の男の子たちが観に来てましたし。
池田 ファミリー系が多いなあ。映画館の横なんでね。
ジャンボ 休みの日にイオンモールに来るじゃないですか。そのイベントの1つとしてお笑いがある。これは多分他の劇場にはないんじゃないかなあ。
池田 他の劇場にはみんなお笑いを観るために来てるけど、(幕張は)何しようか? ああ、お笑いもあるなあって。
ジャンボ ルミネはチケット4000円するんですけど、それこそ幕張は1500円なんで、映画感覚かも。
劇場は芸人だけの“特権〟
――芸人さんにとってテレビやYouTubeやラジオなどメディアが色々ある中で、劇場でお客さんに向かってネタをするって、どういう意味があると思いますか?
ジャンボ 大変恐縮ですけど、芸人だけの特権だと思います。だからこそみなさん、どんなに売れても劇場出られるんでしょうね。目の前のお客さん笑わすって、こんな素敵な特権を失いたくないから。
池田 今ジャンボ、見出し言うたかもしれん。「これは俺だけの特権」。
ジャンボ よく言うじゃないですか? ドラマは脚本家のもの。映画は監督のもの。舞台は俳優のもの、みたいな。だからマジで、多分そうなんでしょうね。
池田 そうですね、舞台に育ててもらったというのはありますね。
ジャンボ やっぱり楽しいから。「学祭の究極版」みたいな気持ちでずっとやらせてもらってます。
『よしもと幕張イオンモール劇場』詳細
取材・文=西澤千央 撮影=三浦孝明
『散歩の達人』2022年9月号より