赤鶏を大量に使った濃厚鶏白湯
一番人気の鶏そば880円を注文。
ややとろみのあるクリーミーな鶏白湯は、濃厚な鶏の旨みが感じられ、仕上げに入れた鶏油(ちーゆ)が味の奥行きを生んでいる。さぞかしコラーゲンもたっぷりだろう。
スープの味の秘訣は?と店主の柳川隆博さんに聞くと「赤鶏の丸鶏を大量に使い、鶏ガラやモミジ、野菜などを加え、丁寧に長時間手間暇かけて作っています」と教えてくれた。
麺はオーダー時に細麺か太麺が選べるが、細麺を選んでみた。しなやかな麺と味わい深い鶏白湯の組み合わせは絶妙で、思わずうなってしまうほどだ。
トッピングはトロッとした脂身の甘みが広がる炙りバラチャーシューや、柔らかな食感とほんのり香る醤油の風味がいい穂先メンマ、コリッとした歯ざわりのキクラゲのほか、刻み玉ネギや焼きネギ、水菜などが味と食感にアクセントを与えている。
「いろいろなラーメンの名店で修業をし、いろいろな味を食べてきましたが、自分の好みにピタッと合ったのは鶏白湯でした。そこで、独立するなら鶏白湯で勝負しようと思っていました」という柳川さんの熱意が伝わってくるようだ。
ピリッとした辛みと味噌の風味で鶏白湯が際立つ
辛いものが好きなら赤塩そば930円を。真っ赤に染まったスープには、油の膜が張り、見ているだけでも汗が出てきそうだ。
鶏白湯をベースに、3種の味噌をブレンドし、そこに辛みや風味を変えた自家製の3種のラー油を加える。見た目ほど辛くはなく、やや酸味を感じるピリ辛風味。濃厚な鶏白湯の旨みをさらに引き立てるようなちょうどいい味に仕上がっている。
赤塩そばでは麺を太麺にしてみた。モチッとしたややウェイビーな中太麺は、スープがまとわりついて一体感がある。
トッピングは塩そばのものにプラスしてワカメも。一緒に食せば、磯の風味も加わり、さらに複雑な味わいを楽しめる。
ラーメンの味がさらによくなるおしゃれな造り
外観は周囲の店とは一線を画すようなおしゃれな造り。柳川さんは「近未来のNEO TOKYOをイメージした造りにしています」と話す。店頭のウィンドーサインは職人が金箔を使っての手描きをしたもの。般若や店名が描かれたネオンサインもオリジナルだという。柳川さんの実家が呉服店いうこともあって女性スタッフは着物がユニフォームだ。
近未来感がある内装と、着物の組み合わせはは面白い。「お店の雰囲気はラーメンのスパイスと考えています」とも話してくれた。
醤油や味噌、塩、豚骨などと並び、すでにラーメンの一ジャンルになっている「鶏白湯」。クリーミーで、まるで鶏ポタージュのような一杯は試す価値があるだろう。
取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン