店内には生ビールのタップがずらり
JR秋葉原駅電気街口を出ると目の前に立つUDXビル。駅前からビルに向かって昇るエスカレーターに吸い寄せられるように乗り、広い通路を進む。レストラン街入り口の脇の外階段を下り、1階へ。エスカレーターに乗らずに横断歩道を渡ってもよかったのでは、と考えながら階段を下りきると、右側にかわいいネオン看板が見えてきた。
店内に入ると、まずオープンカウンターにずらりと並ぶ生ビールのタップに目を奪われる。『ウルビアマン』では常時12~13種類以上の樽生ビールが用意されていて、さらに瓶ビールも含めると、なんと80種類ほどのベルギークラフトビールが楽しめるんだそう。
店に入るなりビールが気になって仕方ないのだが、まずは今日の目的であるランチをいただくことにしよう。
2種類のお肉が堪能できるお得なランチ
『ウルビルマン』のフードのメインは、ビールに合わせたお肉料理。ランチタイムも、お肉中心のメニューとなっている。注文したのは、2種類のお肉が楽しめる若鶏のグリル&豚肩ロースのグリル1100円。
若鶏は皮が香ばしくパリパリに焼かれていて、中はジューシー。蜂蜜を加えたまろやかな粒マスタードとの相性も抜群だ。豚肩ロースは絶妙なやわらかさで、噛みしめると肉の旨味が口の中に広がる。そしてバルサミコソースがいいアクセントに。香味和風ドレッシングでいただくサラダと付け合わせのポテトフライもたっぷりでうれしい。
これ、休日のランチだったら、確実にビールを頼んでしまう。実際にお昼からビールを注文されるお客さんもいるという。ランチの常連さんはビジネスマンがほとんどで、さすがに昼から飲むわけにもいかないが、仕事帰りにまた寄ってくれる人もいるんだとか。「あー、ビールが飲みたくなっちゃったなー」と思いながら午後の仕事に突入して「これが片付いたらビール!」と気合をいれれば仕事もはかどりそう。
おいしいビールとおいしいお肉の最高の組み合わせ
「店名の『ウルビアマン』は、このお店でメインにしている“ウルビア”というビールの作り手さんが描いたビールの酵母のキャラクターの名前です」と教えてくれたのは店長の田中章裕さん。
ウルビアを作っているのは、ベルギーの西フランダース州にあるデ・ドレ醸造所。ここの作り手さんが、田中さんいわく「かなりぶっとんだ人」で、ビールを作るだけでなく、絵を描いたりデザインをしたりと、アーティスティックな活動もしているんだとか。
「ベルギービールの中でもデ・ドレ醸造所のビールが一番好き」と話す田中さんは、東京のご出身。学生の頃、お酒好きの先輩に誘われていろいろ飲み歩くうちに、「こんなに種類がたくさんあるなんてすごい」と、ベルギービールに興味を持ったんだそう。
大学に在学中からベルギーに足を運び、醸造所や個性的な飲食店をたくさん見てきた。そして大学卒業後、ベルギービールをテーマにした店舗を展開する会社に入社。「酒屋さんやネットでは見たことのない種類のビールを扱っているところに魅力を感じた」という。
夜のメニューには、こだわりの熟成肉が並ぶ。このビールにはこの肉、といった組み合わせがあるのかと聞くと、「おすすめはありますけど、あまり決めつけたくはない。それぞれ好みやクセがあるので、いろんなものを試しながら、それぞれで自分の気に入った物を見つけてもらいたい」と田中さんは言う。
もちろん、おすすめを聞かれれば答えてくださるそうなので、田中さんチョイスを注文するのもいいし、自分の味覚でいろいろ試してみるのも楽しそう。
「デ・ドレ醸造所のビールが大好きなので、店で直接お客さんにおすすめできるのはうれしい」と笑顔で話す田中さん。「ランチ目的で来られたお客さんにも、それをきっかけにベルギービールに興味を持っていただければ。もちろんお昼でもビールのご注文は大歓迎です」。
この次来るときは、昼間からテラス席でビールを飲もう。絶対そうしようと思う。
取材・文・撮影=丸山美紀(アート・サプライ)