立石の路地裏で“ホームパーティー”
京成立石駅から線路を背に、真っすぐ歩いた先の路地を一本入ると、鮮やかな黄色の門壁が見えてくる。玄関を入って早速目に飛び込んできたのは、壁に描かれた大空翼。サッカーをこよなく愛す店主の佐藤さんが、この店にお客さんとして訪れた高橋陽一さんに直筆のイラストをお願いしたのだそう。店内へ足を踏み入れると、ゆったりとしたスペースのフロアが広がる。8名掛けの長テーブルや、大きなテーブルを囲んだソファ席など、大人数で楽しむことができる空間となっていた。それもそのはず、門壁にもある「F.C=Festa Casa」とは、イタリア語で“ホームパーティー”を意味し、この店のコンセプトにもなっているのだ。
お客さんの人数によって、座席のレイアウトを変え、貸し切りパーティーなどにも対応できる。2Fにも席を用意しており、人数を気にせず集えるキャパシティも自慢のひとつだ。日常よりワンランクアップした空間で、ホームパーティー気分を味わってほしいという佐藤さんの思いから、内装はもちろん、料理にもその雰囲気が表れている。
高い食材は使わず、手間暇かけることで、手頃ながら贅沢感を味わえる料理の数々。どれも身近な食材を使用しているが、家庭ではなかなか作れないものばかりだ。その代表格といえる「手作りコロッケ」は、トロッとしたポテトベースの生地と、まわりのトマト&チーズのソースが絶妙な、お酒と相性のよい一品に仕上がっている。お通しも、4~5種類のフィンガーフードを日替わりで提供。そのほか、ピザや丸パンも生地から手作りするという手仕事の多さには驚きだ。
生のりスープパスタは、別の店で飲んだ後、わざわざシメに食べに来るお客さんもいるというほどの人気メニュー。パスタというよりもラーメン感覚であっさりといただけて、これを目当てに来る人の気持ちが分かるような気がした。
「移転前の『ABURI』時代はバルとして、ワインをはじめとする豊富な種類のお酒を売りにしていたことから、比較的若いお客さんが多かったが、この場所で心機一転イタリアン居酒屋としてオープンしてからは、女性や家族連れのお客さんも増えた」と佐藤さん。親子3世代でアットホームな時間を過ごすお客さんもおり、客層の幅も広がっているようだ。もちろん、アルコールメニューの豊富さは今も健在。他店ではなかなか味わうことのできない珍しい銘柄もそろう。
佐藤さんをはじめ、このお店で働く人たちは皆、お客さんを喜ばせることが好きな、おもてなしの名手ばかり。ホールを任されている松本さんの人柄もとても気さくで、気持ちのよい接客が光る。自分や身近な人にちょっぴりご褒美をあげたい時、ここに来ればそれが叶う、そんな店のように感じた。
『LABURI』店舗詳細
取材・文・撮影=柿崎真英